●特集1 子ども・若者のいのちを支える
2022 年の子ども(小中高生)の自殺者は初めて500 人を超え、過去最多の514 人となった。日本の自殺者数が全体として減少傾向(コロナ禍によって近年は微増)にある中で、子どもにだけ歯止めがかからない深刻な状況だ。折しもこの4月には「こどもまんなか社会」を掲げる、こども家庭庁が発足。だが、コロナ後の“新しい日常” への適応をはじめ、VUCAといわれる不安定な社会状況の中で、子どもや若者を取り巻く環境は厳しさを増している。こうした中で、自治体や地域、そして大人は、社会の「宝」である子どもや若者のいのちをどう守り、支えていけばいいのか、考えてみたい。
■こどもの自殺対策政策元年──緊急プランの実践に向けて/清水康之
清水康之
NPO法人ライフリンク代表
いのち支える自殺対策推進センター代表理事
子どもたちは私たちの社会の未来そのものであり、その子どもたちの自殺が深刻な状況にあるということは、社会の未来が危機に瀕しているということに等しい。目の前の危機に最善を尽くす一方で、中長期的な視点での戦略も必要だ。問題を即座に解決する魔法の薬は存在しないし、求めるべきでもない。
■今、学校に求められる子どもの自殺予防/新井 肇
■自殺の危険性を抱えた子ども・若者へのアウトリーチ
どのように実施すべきか?/末木 新・伊藤次郎
■子ども虐待予防支援で自治体に期待すること/山縣文治■子どもたちの「声なき声」とおとなにできること/川口正義
●特集2 ヒューマンエラーとの付き合い方
仕事を進める上で、ヒューマンエラーはつきものです。知識・スキル・時間の不足、思い込み、うっかり、失念、後回し、連絡もれや想像力の欠如など、背景・原因はさまざま。AIなどの技術がいかに進展しようとも、それを使いこなすのは人であり、間違いやミスを「絶対に起こさない」人などいません。
そこで本特集では、職場におけるヒューマンエラーとの付き合い方について掘り下げ、どのようにエラーを限りなくゼロに近づければよいか、「最小化」を図るためのヒントを考えます。
■知っているようで知らないヒューマンエラーのメカニズム/中田 亨
■ヒューマンエラーと自治体組織のリスクマネジメント/森 健
■公務員のためのコミュニケーション術──これでヒューマンエラーを防ぐ!/宇於崎裕美
キャリアサポート連載
■管理職って面白い! ピグマリオン効果/定野 司
■「後藤式」知域に飛び出す公務員ライフ
3人の実践者から学んだアウトプットの大切さ/後藤好邦
■誌上版!「お笑い行政講座」/江上 昇
■〈公務員女子のリレーエッセイ〉あしたテンキにな~れ!/内山八千代
■自治体DXとガバナンス/稲継裕昭
■自治体職員なら知っておきたい!公務員の基礎知識/高嶋直人
■そうだったのか!!目からウロコのクレーム対応のワンヒント/関根健夫
■自治体法務と地域創生──政策法務型思考のススメ
/津軽石昭彦(関東学院大学地域創生実践研究所)
■キャリアを拓く!公務員人生七転び八起き/堤 直規
■〈リレー連載〉Z世代ズム~つれづれに想うこと/菅 花穗
■ただいま開庁中!「オンライン市役所」まるわかりガイド/窪西駿介
■地域の“逸材”を探して/寺本英仁
●巻頭グラビア
自治・地域のミライ
末松則子・三重県鈴鹿市長
ビヨンド・コロナを見据えて、地域課題の解決に取り組む
末松則子・三重県鈴鹿市長(52)。女性や母親の視点などを活かしながら、子ども医療費の窓口での無料化や5歳児健診などに先駆的に取り組んできた。今後は「こうした切れ目のない支援の拠りどころとなる子ども条例を制定してきたい」という。
取材リポート
□新版図の事情──“縮む社会”の現場を歩く/葉上太郎
全国新酒鑑評会でV10を逃した理由【汚染処理水放流.福島酒】
原発事故、続く模索
全国新酒鑑評会での10連覇がかかった今年、福島酒の金賞受賞蔵数はまさかの5位に終わった。原料米の山田錦が高温障害で硬くなり、溶けにくくて清酒の香りを十分に引き出せなかったのが理由という。風評被害が続く福島では、清酒が県産品の牽引役に位置づけられ、原発から汚染処理水が放流される今年はとりわけ期待が大きかった。周囲から残念がる声が聞こえる。
□自治体政策最前線──地域からのイノベーション
「バーチャルやぶ」+「やぶくる」
──先端技術と国家戦略特区で「出会い、つながり」を創出(兵庫県養父市)
人口減少が進む兵庫県養父市は、仮想空間(メタバース)上に独自の世界として「バーチャルやぶ」を開設した。吉本興業株式会社と連携し、バーチャルで養父市の観光資源の紹介や芸人によるイベントなどを行って、国内外の人たちに養父市を知ってもらう試みだ。また、国家戦略特別区域の一環として自家用有償観光旅客等運送事業「やぶくる」を運行し、市民と観光客の移動手段を確保。仮想と現実を結びつけた持続可能な地域づくりに挑んでいる。
●Governance Focus
□田んぼダム、時間30㎜の雨量に「効果あり」。──球磨川洪水から3年、熊本県が全県導入へ。/葉上太郎 ●Governance Topics
□激変する時代に地方議会として立ち向かうために──全国地方議会サミット2023□地方議会が住民のために作動するには──(公財)日本生産性本部「政策サイクル推進地方議会フォーラム」報告会
□〝近くて遠い〟政治の解像度を上げるには──国分寺の投票率を1位にプロジェクト□3年間のコロナ対策を振り返り、国と自治体の関係などを再考──地方行政実務学会春季大会
□「『助けて』といえる社会をつくる」をテーマに、フォーラムを開催──ILO -ろうきん共催フォーラム
連載
□ザ・キーノート/清水真人
□自治・分権改革を追う/青山彰久
□新・地方自治のミ・ラ・イ/金井利之
□市民の常識VS役所のジョウシキ/今井 照
□地域発!マルチスケール戦略の新展開/大杉 覚
□“危機”の中から──日本の社会保障と地域の福祉/野澤和弘
□地域経済再生の現場から~Bizモデルの中小企業支援/松田知子(ひむか-Biz)
□自治体の防災マネジメント/鍵屋 一
□市民と行政を結ぶ情報公開・プライバシー保護/奥津茂樹
□公務職場の人・間・模・様/金子雅臣
□生きづらさの中で/玉木達也
□議会局「軍師」論のススメ/清水克士
□地方議会シンカ論/中村 健(早稲田大学マニフェスト研究所)
□「自治体議会学」のススメ/江藤俊昭
□From the Cinema その映画から世界が見える
『アシスタント』/綿井健陽
□リーダーズ・ライブラリ
[著者に訊く!/『著者に訊く!/『インターネット・オブ・プレイス』高木聡一郎]
カラーグラビア
□つぶやく地図/芥川 仁
海とともにある夫婦の幸せ──宮崎県児湯郡川南町通浜
□技の手ざわり/大西暢夫
世代を超えて受け継がれる職人の手仕事──【竹細工職人】高江雅人さん/竹工房オンセ(大分県宇佐市)
□わがまちDiary──風景・人・暮らし
悠久の時を経て生み出された自然美に癒される「鳥取旅時間」(鳥取市)
□クローズ・アップ
唯一の窯元が受け継ぐ「1300年のとぼけ顔」──熊本県玉東町、郷土玩具「木葉猿」
■DATA・BANK2023 自治体の最新動向をコンパクトに紹介!
※表紙写真は「鳥取しゃんしゃん祭」
*「童門冬二の日本列島・諸国賢人列伝」は休みます。