【リレー連載】「自治体×デジタル」を考える 東西南北デジデジ日記

千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

東西南北デジデジ日記 vol.48 今週の担当:【西】多田功

地方自治

2022.09.15

「自治体×デジタル」を多彩な切り口からゆるっと考えてみる、現役&元自治体職員4名によるリレー日記。「外部人材」をテーマとした2周目。外部人材をめぐってニュースも続きます。(※本連載は毎週木曜更新です)

―――――2022年9月15日 Thu.―――――――

 

今年度の折り返し

9月も中盤に差し掛かり、今年度の前半戦が終了しようとしています。

時期的には、前年度決算について監査委員の審査が終わり、議会の認定を受けているところでしょうか。
これが終わるとすぐさま来年度予算要求が始まっていきますね。

今回も前クールに引き続き「こんな外部人材はうまくいく」というテーマで書いていきたいと思います。 *前クールはこちら
vol.42vol.43vol.44vol.45

 

GovTech東京

とてもタイムリーな話題として、東京都の「GovTech東京」のニュースが9月9日に入ってきました。

都や都内自治体のDX人材の確保の課題に対し、DX分野に精通した人材を集めて必要な業務に充てる新たな団体を東京都が出資して法人を立ち上げるようです。

「GovTech東京」は東京都庁だけでなく、東京都内の区市町村全体のDX推進に向け、行政・民間の協働のための団体と位置づけられているようで、(1)都庁各局のDX化、(2)区市町村DX、(3)デジタル基盤強化・共通化、(4)デジタル人材確保・育成、(5)データ利活用推進、(6)官民共創・新サービス創出といった活動を進めていくとのことです。

東京都が出している「東京のDX推進強化に向けた新たな展開」に詳しい資料が掲載されていますのでぜひご覧ください。
*東京都「東京のDX推進強化に向けた新たな展開」
https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/policy/dx_newpolicy.pdf

上記資料内にあげられている「DX推進の課題」のうち「DXの担い手となるデジタル人材が大幅に不足している」という観点の中に「行政組織では、給与制度・水準、勤務時間、兼業などの各種制度が法令上規定されており、民間のように迅速・柔軟に、給与等の待遇を変えることは容易ではありません」とありますので、新法人における新たな給与体系が人材不足への課題の解決に向けた大きな一歩になるのかもしれません。

2023年には法人が作られるようですので、まさに外部人材をフルに活用した先進的な事例になるのではないかととても期待しています。

 

変えるのか変わるのか

人材は育成・採用するばかりでなく、外部人材を活用するという選択肢があります。

もちろん内部で育成することも大事ですが、やはり専門的な知識を持っている方から学ぶ機会はとても有益です。

ただ、その機会に職員が参加するのかどうかは本人次第です。

まさに「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」ということわざがあるように、機会を与えることはできたとしても、それを実行するかどうかは本人の気持ち次第であるということです。

例えば子供に無理やり「勉強をしなさい」とたくさんの教材を買い与えても子供に勉強する気がなければ全く効果がないですよね。
一方で興味関心があることに対して機会を与えることで、ものすごい勢いで成長することもあります。

「好きこそものの上手なれ」という状態にどうやって導くか、そしてその機会を自分のものにするかどうかが、その人の将来を左右しているように思います。

外部人材を活用するのはいいのですが、何を聞きたいのか、何を解決したいのかということをまず明確にする必要があります。

なので、みなさん、
「のび太くんになりましょう!!」。
(のび太くんがわからない方はvol.2vol.6を参照してください。)

 

外部人材ガイダンス

また、外部人材について、経済産業省関東経済産業局が令和元年度に「外部人材活用ガイダンス」という資料を出されていました。   *経済産業省関東経済産業局「外部人材活用ガイダンス」
https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/jinzai/data/kengyo_hukugyo_guidance.pdf

ここでは外部人材を「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」と定義づけられています。

資料の中にある「外部人材の活用が注目されているのはなぜですか?」という質問に対する回答に「生産年齢人口」の減少という言葉が挙げられていますが、必要技術やノウハウの共有を図ることでより高付加価値を生み出すといったところが一番大事なのでしょう。

「餅は餅屋」とはよく言ったもので、内部だけでは生み出せない新たな視点を取り入れることも重要ですが、外部人材とのコミュニケーションによる内部人材のスキルアップも図れることから、大いに活用していきたいところです。

その一方で、外部人材も人ですから、「言えば何でもやってくれる」ではなく、対価は金銭的以外にも、本人のやりがい、手応え等を感じられるようにしなければ、応じてくれることは難しいですし、何でも丸投げするのではなく一緒に考えるというスタンスは大事だと思います。

初心者のオーケストラに世界的名手が一人来ても、全体のレベルが上っていないといい演奏はできません。
個々人が課題と向き合い演奏技術を向上することで、より演奏ができるというところでしょうか。

外部人材は一定の期間の協力をしていただけるものの、永続的に事業をやっていくのは自治体側にあるということを忘れないようにしたいところですね。

それではまた来週。デジデジ!


~次回の日記は9月22日(木)に更新予定です!~

 

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