連載 コミットメント ── 他責から自責文化の自治体職員 第19回 自分の「想い」をテーブルに出しあい、「気づき」につなげる【曽根川歌織(長野・東御市職員)】

地方自治

2022.09.16

本記事は、月刊『ガバナンス』2017年12月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会の修了生(マネ友)のメンバーがリレー形式で執筆します。

『やりたい感』で仕事をするには?

 東御(とうみ)市は2013年度から早大人材マネジメント部会へ参加し、これまでに15人の職員がマネ友となった。当初、研修は若手が行くもの、という思い込みからか、若い職員が参加する風潮があった。そんな中で、私も入庁3年目に当時20代の仲間3人で参加した。経営層はどういったことを考えているのか純粋に知りたくて、若さゆえの無鉄砲さで、課長全員と対話をしたりする中で「若手だけではなにもできないな」と打ちひしがれたりもしたが、「係長、課長補佐が参加するべきだ」と前向きに訴えた。

 仲間も増え、部会に課長補佐や係長が参加するようになった。やはりこれは大きな一歩で、新たな取組みをしたいと思ったときの実現スピードが速い。今年度は職員相互の対話を通じて、組織の一体感の醸成を目指すプロジェクトを職員研修に位置づけ、これまでの人マネ参加者が中心となって始めた。職階別に「やらされ感」「やりたい感」についてことばを定義し、「『やりたい感』で仕事をするには?」というテーマで対話をしてもらった。

 一番の気づきは若手職員が思ったことを発表するとき「こんなことがあって…」と具体例を出し、言葉を探しながら発言するということだ。「漠然とした不安」や「本当にこういうことを思っていいのか」といった気持ちの中での発言だったのだと思う。言葉をテーブルの上に出すことに慣れていない証拠だ。

 そんな中で若手は、自分のやりたい感で仕事をするためにはどうするか、管理職は部下がやりたい感で仕事をするためには、といういわば当たり前の流れをあらためて目の前にできたのは素直に嬉しかった。

 結局は、自分の想いをテーブルに出すことに慣れていないのが今の組織だ。想いこそあれど、言葉にできず人に伝えることができない。職階別の想いを全体で共有することで、新たな気づきと連鎖が生まれる。そもそも「若手だけではどうしようもない」という考えこそが、他責だったのだとやっと気づいた。一人称のことばをテーブルに出せる組織を目指す。

(長野・東御市職員/曽根川歌織)

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