【書籍紹介】『公務員男性の服――普通の服で好印象・信頼・清潔感は出せる』（古橋香織／著）

　公務員は、第一印象が非常に重要。清潔感がない、だらしないといった印象は、仕事能力や信頼性にも影響を及ぼします。書籍『公務員男性の服――普通の服で好印象・信頼・清潔感は出せる』では、そうしたマイナスの印象を払拭し、誰もが持っている「普通の服」を活用して、好印象を与える方法を具体的に解説しています。
　『公務員男性の服――普通の服で好印象・信頼・清潔感は出せる』から一部抜粋・編集して紹介する第１回目の今回は、Part３「公務員のためのアイテム選びのメソッド」の「５ クールビズのメソッド」をご紹介。
　クールビズは、夏を乗り切るための快適なビジネスファッション。しかし、どのように取り入れれば良いか迷っている公務員の男性も少なくありません。本稿では、毎年困るクールビズのアイテム選びのコツなどをご紹介します。
　本書を通じて、公務員男性が自信を持って、そして快適に仕事を進められるようになるための一助となれば幸いです。

クールビズのメソッド

OK!
■基本は夏も長袖シャツ。袖を七分まで折れば、涼しい＆すっきり＆こなれ感が出る ■半袖を着るならポロシャツ一択 ■ラベンダーや華美でないピンクのシャツも変化が出るうえ、合わせやすい ■ジャケットの胸元に白いポケットチーフを挿すと上品に引き締まる
NG!
■やっぱり、半袖ワイシャツはいいことない ■シャツの襟元から下着がチラリ… ■脇汗をかきやすい人は濃いグレーのポロシャツは危険 ■ふくよかな体型が気になる人は伸縮性のある素材のポロシャツは避ける

　環境省が音頭をとった具体的な期間を示すクールビズは2020年で終了したため、2021年以降はノーネクタイで働くシーンがますます増えそうです。しかし、公務員男性にとってクールビズスタイルは相当難易度が上がるようで、そもそもカッコいいクールビズスタイルなんて都市伝説なのではないか、と思っている人もたくさんいらっしゃいます。そのようなことは決してありません。服装のポイントをきちんとおさえればクールビズでもスタイリッシュな着こなしができますよ。
　クールビズでも、シャツのメソッドで紹介した長袖のシャツを基本としましょう。清涼感あるラベンダー（薄い紫色）や薄いピンクも素敵です。半袖がお好みならポロシャツ一択で。クールビズはとにかくトップスが命です。
　
　たとえば、こんなコーディネート。
　 　・定番：白シャツor薄い水色のシャツ×ベージュのコットンチノのパンツ　・洗練された印象：ラベンダー色orピンク色のシャツ×ネイビーのパンツ　・シャープ：黒色のポロシャツ×ベージュのコットンチノのパンツ

本音は着ないで！10代の学生感が出てしまう半袖ワイシャツ

　クールビズスタイルについて、皆さんが口を揃える悩みが「何をどうがんばっても中学生男子になってしまう」ことです。
　その原因はやはり半袖ワイシャツに尽きます。ビジネススタイルで半袖のシャツが存在するのは日本だけ。欧米のビジネスマンは半袖のシャツを着ることはありません。このため、半袖シャツは本来の着こなしの枠を外れ、機能性だけを追求した日本独自の産物です。職場で浮かないことを追求しすぎて、ファッションも横並び、そしてファッションセンスに自信がない人が多い公務員の世界では、無難で同業者に着用人口が多い半袖ワイシャツを手に取りがちです。
　しかし、全身のバランスを整え、誰が見ても「何かイイね」と言われる着こなしを目指すのであれば、このシャツはもうこの世に存在しないものとして考えてください。
　かっこいいクールビズスタイルの第一歩は、長袖シャツの袖を折り、七分丈で着ることです。どうしても半袖を着たい場合は色柄のあるシャツを着るか、ポロシャツにするのが賢明です。

シャツの襟から下着を覗かせない

　夏場の役所の執務室でよく見かける光景の１つ。それは襟元から下着を覗かせながら平然と仕事をする職員さんの多さ……。
　襟元からの下着チラ見せは絶対にＮＧです。
　最も危険なシチュエーションは、座っている自分のそばに相手が立っている状態。たとえば、仕事のちょっとした報告や雑談のときです。係長級が多く抱えるシチュエーションかもしれません。そばに立つのが女性の場合、「見たくもないものを見せられてしまった……」という非常に残念な気持ちになります。職場のコミュニケーションで損をしないためにも、ノーネクタイで仕事をする期間は、首元から見えない下着を必ず着てください。これは基本中の基本です。

脱・休日のお父さん！ポロシャツは襟の形を見る

　ポロシャツの着用が禁止されている職場もまだあるようですが、夏場のポロシャツは以前よりも格段にビジネスシーンでの着用の機会が増えました。なかには自治体のゆるキャラ付きのポロシャツで仕事をしている方もいらっしゃいます。
　ポロシャツは、清涼感という機能性では最高なのですが、着ることに抵抗がある方も少なくありません。理由は通常着用しているシャツのような「パリッと感」が出ず、ヘタッとして疲れた感じ、まるで休日のお父さんのようになってしまうからだそうです。たしかに、普段のシャツよりもふわふわっとしたやわらかい生地が使われているポロシャツは、どうしてもカジュアル寄りに傾倒しがちです。
　お仕事スタイル仕様にするため、夏場のポロシャツ選びで気をつけるパーツは「襟」です。
　襟の形がきちんとしていれば、ポロシャツスタイルからも「きちんとした印象」を出すことができます。
　では、具体的に襟のどこの部分に注目すればいいのでしょうか？　それは「台襟」の有無です。だいえり？？聞きなじみのない言葉ですが噛み砕いて説明をすると、襟の付け根の部分にある「スペース」のことです。シャツ（ワイシャツ）の襟をめくってみると台襟の存在に気づくはずです。この台襟により襟が立ち上がり、職場に相応しいきちんと感が出るわけですが、一般的に売られているポロシャツにはこの台襟がありません。台襟がないと襟が立ち上がらず、ぺちゃんこになってしまい、ジャケットを羽織っても決まらず野暮さが増します。ポロシャツスタイルが一般的になってきたため、今は台襟があるポロシャツも少しずつ増えています。ポロシャツを新調するときは必ず台襟の有無を確認してみましょう。
　また、素材は、コットンや、コットンとポリエステルの混紡といった、肌触りのよさと通気性に優れたものを選びましょう。ポリエステル１００％のポロシャツや、生地にシワがつきやすいリネン配合率が高いポロシャツはビジネススタイルには向きません。

濃い色のポロシャツは「脇汗」チェック

　職場で使えるポロシャツの代表的な色は白、黒、ネイビー、グレーといったベーシックカラーですが、そのなかで特に人気のある色がグレーです。
　ソフトでまろやかなグレーはお仕事スタイルに気品を与えてくれます。やさしく落ち着きあるように見えるので、若手から少し上の中堅どころの職員におすすめです。対人での印象の観点でも、夏場にグレーのポロシャツをサラリと着こなす様子は爽やかでとても好印象です。
　しかし、そのグレーにも落とし穴があります。それは、脇汗の目立ちやすさです。
　暑い時期、誰しも汗をかきますが、仕事のシーンでの脇汗は厳禁です。自治体の夏場の執務室は暑いところが多いので大目に見てほしいものですが、脇汗があるだけで不潔でだらしない人だと思われてしまいます。特にグレーは「脇汗が目立ちやすい」色ゆえ、着るときは脇汗が目立たないようにひと工夫する必要があります。
　そのひと工夫とは、下着に気をつけること。グレーのポロシャツを着るときは、汗取りパッドがある下着を着ます。シャツの色味によって下着を変えることは面倒くさいかもしれません。しかし、脇汗を気にしながら仕事をすると、印象も気になるうえ、仕事の効率が下がります。好印象とは少しの面倒くさいが伴う場合もあるのだということを理解していただけるとうれしいです。

ポロシャツの上に腹肉が乗っちゃう人のための解決策

　ジャケットやシャツ着用時はそんなに気にならないのに、ポロシャツのときに腹肉が急に気になる……、そんな方が多いようです。ポロシャツは少しのお肉でもその存在感を際立たせるんですよね。避けたいのは、横方向にもよく伸びるやわらかいフライス編みや、最近トレンドのニット素材です。お肉をやさしく「ぽよん」と包み込みます。
　公務員の仕事はデスクワークが多く、他の職種と比べると運動量が少ないもの。しかも質問待機やプレス待機などの待ち時間も存在するため、ついついお菓子に手が伸びます。このため、30歳を過ぎたくらいから日頃鍛えていない人は腹肉の存在が気になりはじめます。おなかが引き締まっていた20代の頃はポロシャツを着ても全然気にならなかった腹肉が、30歳を過ぎてベルトの上に乗ったのを確認すると、「もうポロシャツを着られないかもなあ……」と思いはじめるわけです。
　しかし、希望は捨てないでください。20代の頃のようにストレスフリーな状態で颯爽とポロシャツを着る自分の姿は必ず取り戻せます。ベストは痩せることですが、デザインでカバーする、色の錯覚を利用するなどの着痩せ効果に頼りましょう。ほんのいくつかに気をつけるだけで、ポロシャツの上の腹肉は気にならなくなります。
　腹肉を目立たせない方法として最も効果的なのが、「裾をインしないでポロシャツを着ること」です。このポロシャツインアウト問題は、ポロシャツＯＫの時期になると「どちらが正解なのだろう」と考えたことのある人もいるのではないでしょうか。
　答えはどっちも正解です。ポロシャツの裾をアウトにするとカジュアルダウンしてしまうのは、着丈が長いからです。腹肉が気になる人は着丈が短めのポロシャツを着ることで、おなか周りのお肉を目立たせなくすることができます。
　次に気をつけることはポロシャツの「色」です。膨張して見える白よりも、すっきりと見えるネイビーや黒を選びます。この際、パンツの色は、ポロシャツの色と違う色を選ぶと爽やかに見えます。ネイビーにはグレー系、黒にはネイビー系のパンツを選んでみましょう。少しカジュアルにベージュやブラウンのパンツを選んでもいいですね。

公務員よ、チーフを挿そう

　チーフとはポケットチーフのことです。テレビのアナウンサーやスーツ姿のタレントのポケットから出ている、あのおしゃれな布です。
　夏のオフィススタイルは、このチーフの有無が与える印象を大きく変えます。クールビズの集大成としてぜひチャレンジしてみてください。
　では、このポケットチーフを挿すことによってどのような見た目の効果があるでしょうか？スーツスタイルの軸である胸元が華やかに見えることは言うまでもないですが、公務員の場合はネクタイ着用時にチーフを挿すと、色柄によっては華美に見えてしまう可能性があります（エグゼクティブ対応が多い管理職やメディアに露出することがあるスーパー公務員さんはまた別です）。
　私が世間一般の公務員さんにおすすめしたいのが、白のシンプルなチーフです。有名セレクトショップでも３千円くらいで手に入る、ベーシックな形のチーフです。ノーネクタイのときでもジャケットを着ることがありますよね。そんなときにジャケットの胸ポケットにチーフをそっと挿します。
　挿し方はというと、四角くキレイにたたんでポケットに入れ、チーフは頭がちょこんと見える程度出すだけです。これは「ＴⅤフォールド」という最もベーシックなチーフの入れ方です。
　胸元に白のアクセントが入ることで服装全体が引き締まって見えます。ノーネクタイ期間では胸元に色がなくて物足りなく見えることが多いため、チーフを挿すことでちょうどいい「好印象お仕事スタイル」が完成するというわけです。ちなみに、ジャケットの胸ポケットにボールペンが挿さっているよりもはるかにウケはいいです。白チーフは挿してみると意外に派手ではないので、騙されたと思って挑戦してみてくださいね。


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