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【確定申告Q&A】合計所得金額と総所得金額等はどう違う?

地方自治

2025.02.12

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    出典書籍:月刊『税』2025年2月号 別冊付録「地方税務職員のための 令和6年分確定申告期税務相談窓口対応の手引き」

     2025年2月17日から開始する確定申告に向けて知っておきたい「こんな場合は?」をQ&Aでご紹介。

     地方税務職員に長く参考書として使用されている「地方税務職員のための 令和6年分確定申告期税務相談窓口対応の手引き」(月刊「税」2025年2月号 別冊付録)より引用しています。

     この記事では、合計所得金額と総所得金額等はそれぞれどんなものか?また、2つの違いについて解説します。

    合計所得金額と総所得金額等との違い

    住民税の配偶者控除等の人的控除の適用要件として,一定額以下の合計所得金額を有する者とされており,また,雑損控除額や医療費控除額の算定においては総所得金額等の合計額の10分の1に相当する金額を超える場合におけるその超える金額とされています。
    この合計所得金額や総所得金額等とはどのようなものをいうのですか。

    「合計所得金額」とは,地方税法上,純損失の繰越控除等をする前の総所得金額,長期譲渡所得金額,短期譲渡所得金額,株式等に係る譲渡所得等の金額,退職所得金額及び山林所得金額の合計額をいう。合計所得金額から純損失等の繰越控除をした後の金額を一般的に「総所得金額等」と略称している。

    合計所得金額とは

    合計所得金額とは,次に掲げる所得金額の合計額(※)をいう。

    ① 総所得金額
    ② 土地等に係る事業所得等の金額
    ③ 土地建物等の短期譲渡所得の金額
    ④ 土地建物等の長期譲渡所得の金額
    ⑤ 上場株式等に係る配当所得の金額
    ⑥ 上場株式等に係る譲渡所得等の金額
    ⑦ 一般株式等に係る譲渡所得等の金額
    ⑧ 先物取引に係る雑所得等の金額
    ⑨ 山林所得金額
    ⑩ 退職所得金額(分離課税の対象となるものを除く)

    ※以下の繰越控除は適用しないで計算する。
    ・純損失の繰越控除
    ・居住用財産の買換え等の譲渡損失の繰越控除
    ・特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除
    ・上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
    ・先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
    ・雑損失のの繰越控除

    (地法292①十三,地法附則33の2⑦一,33の3⑦一,34⑥一,35⑧一,35の2⑧一,35の2の2⑤,35の4⑤一)


    ここで,土地等の譲渡の事業所得の金額については,平成10年1月1日から令和8年3月31日までの間の譲渡は課税の特例が適用されないため,これを除くこととされている(地法附則33の3④⑧)。また,分離課税の退職所得の金額は,この合計所得金額に含まれないので注意が必要である。

    こうして得た合計所得金額は,寡婦控除,寡夫控除,勤労学生控除,配偶者控除,配偶者特別控除及び扶養控除の人的控除が適用できるかの所得要件とされており,一定額以下の「合計所得金額」を有する者が対象とされている。また,均等割の非課税の判定にもこの合計所得金額が用いられている。

    総所得金額等とは

    総所得金額等は,地法税法上の定義規定はないが,

    ①総所得金額
    ②山林所得金額
    ③退職所得金額(分離課税の対象となるものを除く)

    に,以下の金額を加えた合計額のことをいう。

    ④土地等に係る事業所得等の金額
    ⑤土地建物等の短期譲渡所得の金額
    ⑥土地建物等の長期譲渡所得の金額
    ⑦上場株式等に係る配当所得の金額
    ⑧上場株式等に係る譲渡所得等の金額
    ⑨一般株式等に係る譲渡所得等の金額
    ⑩先物取引に係る雑所得等

    すなわち,総所得金額等は,合計所得金額から,一定の順序に従って,純損失の繰越控除等の適用をした後の金額であり,長い用語を避けるため,一般的に「総所得金額等」と略称されている。

    こうして得られた総所得金額等は,雑損控除及び医療費控除の控除額を計算する際の基準額とされているほか,所得割の非課税の適用する基準額とされている。

    合計所得金額と総所得金額等の違い

    合計所得金額と総所得金額等との違いは,純損失の繰越控除等を適用する前の金額が合計所得金額で,適用後の金額が総所得金額等であるということである。

    従って,純損失の繰越控除等の適用がない場合には,合計所得金額と総所得金額とは同額になる。

     

    「確定申告期税務相談窓口対応の手引き」では、他にも以下のような解説を確認できます。

    所得控除 ・所得控除の種類と所得税との相違点及びその取扱い ・災害により被った家財道具等に係る損失の取扱い(雑損控除) ・医療費控除の取扱いと所得税の場合との関連 ・社会保険料控除の内容と対象となる社会保険料 ・小規模企業共済等掛金控除の内容と対象となるものの範囲 ・生命保険料控除の内容と所得税の場合との相違点 ・地震保険料控除の内容と所得税の場合との相違点 ・障害者控除の内容と所得税の場合との相違点 ・寡婦控除・ひとり親控除の内容と所得税の場合との相違点 ・勤労学生控除の内容と所得税の場合との相違点 ・配偶者控除の内容と所得税の場合との相違点 ・扶養控除の内容と所得税の場合との相違点 ・基礎控除 ・所得控除の順序 ・所得控除の添付書類等

    「確定申告期税務相談窓口対応の手引き」
    全目次はこちら!(PDF)

     

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