東西南北デジデジ日記 vol.46 今週の担当:【北】山形巧哉

地方自治

2022.09.01

「自治体×デジタル」を多彩な切り口からゆるっと考えてみる、現役&元自治体職員4名によるリレー日記。今回は、前回テーマの「外部人材」から派生して、【北】山形さんからこんな視点が。(※本連載は毎週木曜更新です)

―――――2022年9月1日 Thu.―――――――

 

「外部人材」の話で気づいた

もういくつ寝たら正月になるような歌がありますが、あと2カ月くらいで役場退職し1年です。
ほんとあっという間だなあ。

いただいていたお題もさっそく枯渇しまして、今回はどんなことを書いていこうかと、また悶絶の時間がはじまりました。

でも、前回のお題、「外部人材」をみんな一周し、ふむふむと読んでいましたが、どこか、一歩引いて見てしまっていることに気がつきました。   *前回のお題「外部人材」記事はコチラ。
 vol.42 vol.43 vol.44 vol.45

ああそうか。
これ、立場というか、身分というか、肩書きというか。
うん、それだ。

 

立場が違うと何が違うのか

公務員時代から考えて大きく変わったところはなんだろうと考えてみましたが、大きく分けると以下2つの観点かなあと思います。

 ・お金
 ・モチベーション

この2つの視点についてちょっとだけ深堀したいと思います。

 

まずは大切なお金の話

誤解を恐れずに書くと、僕、公務員時代、「お金」という概念は悪だと思ってました。

正確には、「公務員はお金の話をしてはいけない」という感じかもしれません。

例えば、テレビやパソコンといった手に取れるモノを買う場合、ある一定の予定価格を超えた場合は入札の原則がありますし、入札まで行かなくても見積り合わせなどとにかく調達費用を抑えるための努力を行っていました。

ただ、この近年はオープン価格という概念も多いものの、基本的には定価みたいなものがありますし、市場価格も何となくはわかるので、
「高いな。でも、これが世の中の適正価格なんだな」
みたいな気持ちで調達していたことが多かったと思います。

このあたりは普段の生活の感覚と同じで、ビールが第三のビールの価格が違うことを背景を鑑みて、「まあ、ビールだしな」と納得して買ったり、「第三のビールのコスパやべえw」と思いながら買ったりするのと同じです。

 

人件費

これが、目に見えないサービスになると話は別です。

先ほどのテレビやパソコンを購入する例でいえば、
「え! 設定料ってこんなにとられるの!? もっと安くやってよ!! 人件費でしょ!!」
と交渉するケース。
割と多いのではないでしょうか。
(もちろん、自治体組織の規模感にもよるでしょうし、部署にもよると思いますので一概にはいえませんけど。)

しかし、なぜここで「人件費でしょ!?」という発言につながるのか。

役所では、そもそも、「職員の人件費は自分たちの業務のコストとして見ていない」ケースがわりとあるように感じておりまして。
このせいなのか、サービスに存在する「人件費」をないものとしてしまう傾向があるのでは、と思っています。
なんなら、僕もそうでしたし。

でも、人って、動くと費用がかかるんですよ。
当たり前ですけど。

 

次にモチベーション

前回(vol.45)の今村さん、「やる気スイッチはどこにある」ということを書かれていました。
これ、そのとおりだなと思う反面、僕は違う側面を持っています。

特に僕は小さな町、都市とはほど遠い地域で育ってきましたし、僕の友人の言葉を借りるなら「生まれてこの方、縮小する街しか経験したことがありません」。

そんな街では、人的リソースというのは都会のそれとは全く異なりますし、
「外部人材? そもそも来ると思う?」
という状況です。

そんな中でも、外部のほうから「何かしたい」と言ってくれる場合があります。
その場合、外部と受け入れ自治体とのそもそものモチベーションが異なるので、地域としても「それを本当に受け止められるのか」という部分も課題感としてありそうだし、地域としてどこまでの変化・変革(トランスフォーメーション)を求めているのかなどをしっかりと見極める必要がある。

その見極め。
本当に役所だけでわかるのかな? と感じることもあります。

 

結局は人と話そうってことなのかなと

みなさんよく考えてみてもらいたいのですが、
「外部人材=他の地域」
では決してなく、同じ地域、なんなら街でも職種が違えば外部人材です。

普段役所が「役所の外」でもある住民にお願いして組織している各種委員会なども当てはまりますよね。
そういう方々の意見を、私たちは組織づくりとしてどこまで参考にしているのか。

これは役所だけではなく、地域自体「も」です。
『金を払って「やって」、委託して「やって」るんだから、やってあたりまえだし、責任もそちら側だ』
という考え方が横行しているケースもあるんじゃないかなって思います。

今村さんは「役所の手柄」としていましたが、そもそも「手柄すら」も全部アウトソースしてしまっているというか、思考停止をしてしまってることも多いなあという印象です。

こんな視点、正直言って立場が変わって初めて持ちました。

 

無意識前例踏襲やめとこ

役所あるあるとして、お金の部分もモチベーションの部分も、なぜ不幸せな方向にいってしまいがちです。
それは、よくも悪くも「前例踏襲」にあるのかなあと思います。

役所は前例踏襲が得意(というかそのような制度設計がされているというのが正解だなとは思いますけども)な組織です。

でも、そもそも「人」自体、「普段の生活」がクリエイティブで不確実なものです。

その生活の基盤を担う行政は、もっともっと不確かさを考えられる組織でなくてはならないと、立場が変わったら見えてきた視点がありましたよって話でした。(n=1)

変化は1日にしてならず。
ってことでみなさん、これからもがんばっていきましょう!! デジデジ!!

 

~次回の日記は9月8日(木)に更新予定です!~

 

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