東西南北デジデジ日記 vol.44 今週の担当:【東】多田功

地方自治

2022.08.18

「自治体×デジタル」を多彩な切り口からゆるっと考えてみる、現役&元自治体職員4名によるリレー日記。今回のテーマは連日のメディアの見出しで踊る「外部人材」。この言葉自体は目にも耳にもすっかりなじんでしまったように感じます。さて、実際の自治体現場ではどうなのでしょうか。(※本連載は毎週木曜更新です)

―――――2022年8月18日 Thu.―――――――

 

外部人材

今回のお題は「外部人材」ということで、連載担当さん、なかなか難しいところを突いてこられましたね。

千葉さん(vol.43)同様、今年度になり、地域情報化アドバイザーの派遣でそれぞれの地域に直接行かせていただくことが多くなってきました。
これまでも様々な機会がありましたが、それぞれの場において、外部人材に期待するものはとてつもなく大きいなというのが実感です。

私の場合、実体験に即した形でお話をさせていただくのですが、思いどおりに話ができなかったなといった反省が尽きないです。
「生まれながらの長老なし」という言葉があるように、はじめからうまく話ができる人などいるはずもありませんので、長い時間をかけて努力や経験を積むことで徐々にうまくできるようになってくると信じています。

ほとんどの場合、事前打ち合わせがあり、相手方の困りごとや目指すべき方向性とこちらが提供できそうなネタを可能な限りすり合わせてから、当日準備を行うようにしています。

お役に立てる場があり、お役に立てるのであれば、地域情報化アドバイザーをぜひ活用していただきたいのですが、外部人材を呼んで終わりではなく、結果どうなったのかについても、1年後、2年後でも構いませんのでフィードバックをお聞かせいただけると嬉しかったりします。

 

新・銀河系軍団に期待したもの

突然ですが、今年7月にサッカー・フランス1部リーグの「新・銀河系軍団」パリ・サン=ジェルマン(PSG)が来日して、サッカーファンを熱狂の渦に巻き込んでましたね。
そりゃ、メッシやムバッペ、ネイマールの3トップだけで年俸総額200億円を超えるスター選手が来たんですから。

チケット代が2,000円〜4,500円にもかかわらず公開練習だけで1万3千人を集め、川崎フロンターレとの試合は5,000円〜2万8千円、それに加えて10万円~100万円のVIP席、限定3枚の3,000万円(!)というとんでもない価格のチケットも完売したそうです。
テレビで見た方も多いでしょうから、新・銀河系軍団が来ただけで相当な収益につながったでしょうし、興行としても大成功だったのではないでしょうか。

大事なのは、試合をやって終わりや見て終わりではなく、その後に何を残すかです。
PSGの試合を見た子どもたちが、将来サッカー選手になろうと思ってくれたり、夢をあたえる仕事を目指そうと思ってくれたりすることが、我々の期待だったりするわけです。

「PSGすげ〜」で終わるのではなく、自分たちができることを考えないともったいないですよね。

 

外部人材に求められるもの

皆さんは、外部人材にどういったスキル、経験、役割、成果を求められますか。

スーパーマンみたいな方を想像されているのでしょうか?
全てを解決してくれる方がいつか現れることを期待されているのでしょうか?

そもそもスーパーマン、います???

「デジタル人材を〜」みたいな記事を最近よく見かけますが、外部人材を迎え入れる際には、マッチングの問題がよく起きますので、要件が明確でないまま迎え入れてしまうとお互い不幸な結末が待ってます。
特に採用する場合、役割や期待される成果に応じて、スキル要件を具体的にしながら「採用したい人材の要件を明確」にしない限り失敗するケースが多くなります。

 

雇い入れるのか派遣してもらうのか

必要な人材を、育成するのか、採用するのか、派遣してもらうのかによっても異なってきます。

派遣であれば、育成や採用よりも時間がかかりませんし、スキル要件や経験を持った人材を即戦力として呼ぶことができますが、その一方で、内部の組織文化に精通しているわけでも、内部の人脈があるわけでもありませんから、コミュニケーションが取れるまでに時間がかかりすぎて失敗する場合もあります。

例えば、実績のあるスポーツ選手を移籍させてきても、いきなり実力を発揮することはなかなか難しく、チームそのものが「新・銀河系軍団」ならまだしも、そもそもレベルが噛み合わず実力を発揮できないという自体も発生しかねません。

普通のチームにいきなりメッシを連れてきても。というやつですね。

実績のあるスポーツ選手を連れてきたときは一時的にチームの力は上がるかもしれませんが、長期的に見た場合、受け入れる側のチームも底上げが行われない限り、永続しないものとなってしまいます。

外部人材を短期的なテコ入れとして活用しながらも、当然ながら内部人材の能力向上も行わなれなければ組織力の向上は難しいというのは、皆さんもよくおわかりだと思います。

 

職員をシェアする仕組み

vol.43で千葉さんが書かれていた「自治体職員をシェアする仕組み」ですが、地域情報化アドバイザーの派遣状況でも明らかなように、現役自治体職員の需要が高くなってきているように思います。

今いる部署でやっていることをお話しすることは可能なのですが、人事異動があると守秘義務などにより、それまで培ったノウハウをお話しできない場合があります。
ノウハウは、担当者からの引き継ぎで自団体には残るかもしれませんが、他の自治体が欲するノウハウもあるので、知見を共有できる仕組みづくりが望まれます。

これはデジタル人材に限ったことではなく、あらゆる部門に人材が枯渇しているので、一定の期間、他の自治体に人材をシェアするような仕組みがあると、ノウハウも広めることが可能なのかもしれませんね。

国の「“人人若手” 未来の公務の在り方を考える若手チーム」の提言にある「カラフルな公務」の実現にも期待したいところです。
出典:内閣官房ホームページ「“人人若手” 未来の公務の在り方を考える若手チーム」の提言
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/wakate_r040428.html

提言書にある「私たちは、もっと、社会に貢献したい」、この言葉が全てだと思います。



~次回の日記は8月25日(木)に更新予定です!~

 

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