東西南北デジデジ日記 vol.43 今週の担当:【東】千葉大右

地方自治

2022.08.11

「自治体×デジタル」を多彩な切り口からゆるっと考えてみる、現役&元自治体職員4名によるリレー日記。連載担当が日頃感じる素朴なギモンに執筆陣が回答するスタイルとなり3回目。今回はさっそく自治体DXの真髄に迫るテーマ。各者各様の考えが聞けそうな予感!(※本連載は毎週木曜更新です)

―――――2022年8月11日 Thu.―――――――

 

今回のお題は「外部人材」

先月、今年度初の地域情報化アドバイザーの派遣がありました。
ほかにも某団体からの依頼で出講したり、某所で研修講師を務めたりしました。

私の場合、地域情報化アドバイザーは兼業届を出したうえで年休を取得し対応しています。
出講や研修講師はその内容によって公務と年休を使い分けています。
いずれの場合も活動の場所は庁外であり、依頼した団体から見た私は「外部人材」ということになるでしょう。

そうです。
今回のお題は前回(vol.42)山形さんがチョイスした「外部人材」です。

 

自治体窓口業務改革勉強会

今年度、デジタル庁が主催する「デジタル改革共創プラットフォーム」上で自治体職員有志による「自治体窓口業務改革勉強会」を開催しています。
*デジタル庁「自治体職員×政府機関職員「デジタル改革共創プラットフォーム」が始まります」
https://www.digital.go.jp/news/4PB81KNy/

職員有志にはそれぞれ所属団体があり、普段は所属団体で職務をこなしているわけですが、この勉強会で他団体に対してアドバイスを行うと、たちまち彼らは外部人材になります。

行政で外部人材というと、専門的な知識やスキルを有する高度な人材を想像しがちですが、私を含め普段はただの職員が、上記のように外部人材になるケースもあります。
地域情報化アドバイザー制度においても、私が委嘱を受けた2018年に比べると、現役自治体職員のアドバイザーが増えたように思います。
それだけ現役自治体職員の需要があるということでしょう。

 

現役自治体職員である外部人材に求められるもの

現役自治体職員である私たちに依頼する団体が求めているものはなんでしょうか。
それは「課題への共感」だと思います。

課題を解決する方法は様々あり、コンサルタントでもシステムベンダーでも解決方法を提供してくれるでしょう。
それでもあえて現役自治体職員にアドバイスを求めるのは、実体験に基づく共感がそこに生まれるからではないでしょうか。
自らの経験により、より自分事として課題を捉えることができるのは、現役自治体職員の強みだと思います。

もちろんいいことばかりではありません。
例えば、経験が乏しいことに対してはまるで反応できないこともあります(私の場合)。
ただしそこは依頼する側も承知していることと思いますので、あまり気負わずに臨むようにしています。

 

現役自治体職員をシェアする仕組み

私が構成員として参加している「地方自治体のデジタルトランスフォーメーション推進に係る検討会」の議論において、デジタル人材の確保・育成は常に盛り上がる論点です。
*総務省「地方自治体のデジタルトランスフォーメーション推進に係る検討会」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/chiho_dx/index.html

外部人材においては、確保のほかに、求める人物像とのマッチングという課題があります。
一般的な外部人材の場合、経歴や所持する資格で判断するしかありませんので、いざ招いてみたら自団体にマッチしなかったということも起こりえます。

現役自治体職員であれば、経歴からどのような知見を有しているかがわかりやすく、また実際に成果として残したものを確認することも容易です。
自団体では役割を終えた知識と経験が、他団体では今まさに必要な場合があります。
このようなとき、現役自治体職員を機動的にシェアする仕組みがあれば、多くの団体にとって大変有意義だと思います。

 

デジタル人材不足にどう対応するか

冒頭で申し上げたとおり、出講や研修講師であれば公務で対応することも可能です。
ただし、それには所属長や人事部門の理解が必要ですし、他団体に関することである以上、おそらく本人の評価にはつながらないでしょう。

デジタル人材の不足が明らかな今、他団体が必要とする職員をシェアし、本人の評価にもつながる仕組み作りが急務です。
例えば県単位でそういった仕組みが用意できれば、それは市区町村の枠を超えた地域課題の解決にもつながります。

デジタル人材の話はデジタルではなく人事の話です。
となると、自治体だけでは解決は困難ですので、ここは国のリーダーシップに期待したいと思います。
皆さんも、こういう仕組みが考えられるのではないかといったご意見があれば、ぜひお聞かせください。

それではまた来週。デジデジ!


~次回の日記は8月18日(木)に更新予定です!~

 

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千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

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