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ガバナンス編集部

自治体最新情報にアクセス|DATABANK2022 月刊「ガバナンス」2022年8月号

地方自治

2022.08.31

自治体最新情報にアクセス DATABANK
(月刊「ガバナンス」2022年8月号)

●「いばらき幸福度指標」を導入

 茨城県(290万7700人)は、「いばらき幸福度指標」を導入した。今まで抽象的な概念に留まっていた幸福に尺度を設け、幸福を「見える化」する試みで、公表されている政府統計などを基に、客観的指標で幸福を定量的に把握する。

 総合計画に掲げるチャレンジごとに特色となるキーワードを抽出し関連する38指標を設定。先行研究を参考に、単位が異なる統計値を比較可能にするため統計値を標準化変量に変換し均等加重で合算。一つのキーワードに複数の指標を設定する場合、キーワード内の標準化変量の平均値を幸福度の算出に用いた。

 設けられた指標は、正規雇用率や一般廃棄物リサイクル率などの「新しい豊かさ」、健康寿命や自主防災組織カバー率などの「新しい安心安全」、合計特殊出生率や女性の管理職登用率などの「新しい人財育成」、起業率や本社機能流出・流入数などの「新しい夢・希望」といった4分野。その結果、茨城県は「豊かさ」(6位)「人材育成」(2位)で上位だったが、「安心安全」(38位)「夢・希望」(13位)の分野で課題があることが分かった。

(月刊「ガバナンス」2022年8月号・DATA BANK2022より抜粋)

●部品相互融通のプラットフォームの運用を開始

 京都府(253万600人)は、公民連携により、企業の垣根を越えて必要部品や在庫部品の情報を共有する「京都ものづくり部品相互融通プラットフォーム」の運用を開始した。世界的な半導体や回路部品等の不足で装置関連を中心に製造業が生産面で大きな打撃を受けている中、必要な部品を入手できるように企業間での在庫部品の相互融通や調達力のある大手企業を通じた部品調達などを促進するのが目的。京都府と(公財)京都産業21がシステム構築の支援や企業への協力依頼を行い、融通に協力してもらえる企業の機密を守るため、商社のたけびし社の機密保持に配慮したシステムで円滑な融通を進める。

 プラットフォームに参加できるのは、府内に拠点を有する製造業に限られ、参加希望企業は、府のHPで入手した「参加意向シート」に記入し、システムを運営するたけびし社にメールで送付する。堀場製作所、島津製作所、村田機械、電装工業(ワイヤーハーネス等)、イーエル・オカモト(部品調達もするEMS)、京都試作センターが参加しており、府では順次拡大していきたいとしている。官民連携による部品調達の取り組みは全国初とみられる。

(月刊「ガバナンス」2022年8月号・DATA BANK2022より抜粋)

●「動物園条例」を施行

 札幌市(196万1600人)は、「動物園条例」を施行した。前文と全24条の構成で、現在と将来世代のために野生動物を保全し、自然と人が共生できる持続可能な社会を実現することが目的。

 同条例では、動物園のあるべき姿を明確にするとともに、動物園・市・市民・事業者が「野生動物の保全を通じて、生物多様性の保全に貢献する」という共通目的を共有しながら各主体の取組みを促進する仕組みを規定している。動物園のあるべき姿では、市営・民営を問わず動物園の運営目的や活動理念、実施事業を明確化し、動物園に対して飼育動物の良好な動物福祉を確保するための環境や体制の整備などを求めている。併せて、市立円山動物園の取組みとして、運営方針と実施計画の策定、良好な動物福祉の確保と円山動物園動物福祉の日、動物の展示と教育活動における原則などを定めている。

 また、動物園の取組みを促進する仕組みとして、一定要件に適合した動物園を札幌市認定動物園として認定する制度の創設や、動物園の野生動物保全活動等への寄附文化醸成に資する動物園応援基金の設置、調査審議等を行う市民動物園会議の設置について規定している。

(月刊「ガバナンス」2022年8月号・DATA BANK2022より抜粋)

●電子契約システムの本格運用を開始

 鹿児島県奄美市(4万2600人)は、従来の紙と押印による契約に代わり、インターネット上のシステムを利用して電子文書と電子署名で契約を締結する電子契約システムの本格運用を開始した。GMOグローバルサイン・ホールディングスが開発・運営する電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン for 行革DX」を導入して実施したもの。市側は電子証明書で厳格な本人確認が行える安全性に優れた当事者型署名、契約相手方の事業者側はメールアドレス等により本人確認を行う利便性に優れた立会人型署名の両方の署名方式を用いるハイブリッド署名を採用した。市が締結する物品購入・業務委託・工事契約などの各種契約を対象としていく。

 電子契約システムの利用に伴う事業者側の負担はなく、また、これまで受発注者双方で行っていた印刷・製本・押印・郵送などの作業は不要となる。その結果、作業時間の短縮とともに、印刷代や封筒代、郵送費、収入印紙代などの経費の削減が図られるのがメリット。年間で約250万円相当のコスト削減効果があると試算されている。電子契約の導入は県内自治体では初めて、ハイブリッド署名の採用は全国自治体初とみられている。

(月刊「ガバナンス」2022年8月号・DATA BANK2022より抜粋)

●地域マイクログリッドによる100%電力供給を実施

 沖縄県宮古島市(5万5600人)は、ネクステムズ(代表事業者)、沖縄電力、宮古島未来エネルギーと構成する「来間(くりま)島地域マイクログリッド構築事業コンソーシアム」において、市内の来間島で地域マイクログリッド(MG)による100%電力供給の実動訓練を実施した。

 地域MGとは、限られたエリア内において太陽光発電などの再生可能エネルギーで電気をつくり、蓄電池などで電力量をコントロールしてエリア内の電力供給を賄うエネルギーの地産地消のシステムのこと。同コンソーシアムは、経済産業省資源エネルギー庁の補助事業を導入して地域MG構築事業に取り組み、来間島の対象エリア(2.8㎢、96世帯165人、需要規模50kW~200kW)で21年度末から構築設備の運用を開始している。

 実動訓練では、宮古島系統の送配電ネットワークから切り離し、対象世帯に設置した太陽光発電(既設380kWと新設242kW)と325kWhの蓄電池、ならびに対象エリア全体の需給調整を行う800kWhのMG蓄電池の組み合わせだけで電力を供給した。その結果、対象エリア内の太陽光発電が需要を上回る場合はMG蓄電池へ充電し、下回る場合はMG蓄電池から放電するなど、再生可能エネルギーの地産地消となるMGが96世帯を含めた実系統で運用できることを確認した。大規模停電などの非常時には、条件が整えば、宮古島からの電力供給を切り離し、MGシステムで自立的に電力を供給することとしている。

 同コンソーシアムは、地域MG構築事業を通してMG技術を蓄積し、再生可能エネルギーの真の地産地消を推進。さらに非常時のエネルギー源確保による停電時間の短縮などにも取り組み、脱炭素化や電力レジリエンスの強化を目指していくとしている。

(月刊「ガバナンス」2022年8月号・DATA BANK2022より抜粋)

●溶融スラグによる農業用肥料が本登録

 静岡市(69万4300人)は、資源循環型社会の構築へ向け、西ケ谷清掃工場でのごみ処理過程で生成した溶融スラグ(焼却灰を溶融して生成した安全なガラス状の固化物)を建築資材などとして有効に活用し、最終処分場の延命化につなげている。その一環として、西ケ谷清掃工場で生成された溶融スラグが農業用の肥料として本登録された。

 溶融スラグの肥料化は、産学官連携により12年度から研究を推進。17年に農業用肥料として仮登録され、19年にJA経済連を通じて「SKケイカル」の商品名で販売を開始した。その後、生産農家の利用実態調査と農林水産省や農林水産消費安全技術センターとの協議を踏まえ、肥料の品質の確保等に関する法律第7条の規定に基づいて本登録されたもの。SKケイカルの保証成分量は、可溶性ケイ酸25%、アルカリ分30%、く溶性苦土1%で、稲作では茎が太く丈夫になって収穫量増加につながる効果が確認され、また、ケイ酸成分を必要とするワサビやマコモダケ等への効果が認められている。農業用肥料としての本登録は全国初で、市は静岡市発の一般廃棄物の肥料化の流れが全国へ拡大し、循環型社会の形成に貢献することを期待している。

(月刊「ガバナンス」2022年8月号・DATA BANK2022より抜粋)

●議会会議録視覚化システムを試行導入

 茨城県取手市(10万7200人)議会は、「議会会議録視覚化システム」を試行導入した。同様のシステム導入は全国の自治体として初めてという。市と市議会では、アドバンスト・メディア社と「音声テック協定」を結び、行政事務効率化に資するICT化技術開発に取り組んでおり、今回のシステムはその一環として試行導入されるものとなる。

 議会会議録視覚化システムは、音声認識システム「AmiVoice」により、全文テキスト化された議会での議論内容を、独自の自然言語処理技術を用いて解析。単語の重要度や単語同士の関係性を解析し、頻出語や特徴語を抽出して「見える化」する。単語は、発話される頻度によって色やサイズが分けて表示され、気になる単語をクリックすることで当該議事録が表示され、関連する発言の全文を確認することができる。

 システムを利用することで、「議会開催日」「発言者」などで絞り込み検索が可能なため、課題の変遷や議員ごとの発言を分かりやすく確認できる。これまでの全文表示の会議録と比べて協議の関係性を視覚的に把握することができることから、市では議論の流れが理解しやすくなることを期待している。

(月刊「ガバナンス」2022年8月号・DATA BANK2022より抜粋)

 

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