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【新刊紹介】「中学校 数学」 各観点の特性を活かした評価の充実を―『シリーズ・学びを変える新しい学習評価 理論・実践編2 各教科等の学びと新しい学習評価』より

NEW授業づくりと評価

2019.12.17

(株)ぎょうせいはこのほど、新しい指導要録にもとづく学習評価が、新学習指導要領の完全実施と同じく、小学校は2020年度、中学校は2021年度スタートすることを受け、『2019年改訂指導要録対応 シリーズ・学びを変える新しい学習評価』(全5巻)を一斉刊行いたしました。

ここでは、特に『シリーズ・学びを変える新しい学習評価 理論・実践編2 各教科等の学びと新しい学習評価』第8章 各教科の学習評価のポイント から内容の一部を抜粋してお届けいたします。(編集部)

 

第8章 各教科の学習評価のポイント
中学校 数学 各観点の特性を活かした評価の充実を

(1)中学校数学科の目標に照らした指導の重点

 中学校数学科の教科目標については、その柱書において、数学的な見方・考え方を働かせ、数学的活動を通して実現を図ることとされている。このうち、数学的活動については、従来から中学校数学科において重視されてきたものを「事象を数理的に捉え、数学の問題を見いだし、問題を自立的、協働的に解決する過程を遂行すること」と捉え直すことで、その位置付けをより明確にしている。指導に当たっては、指導内容に応じて生徒が遂行すべき活動を具体化する必要がある。また、数学的な見方・考え方については、『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』で「数学の学習において、どのような視点で物事を捉え、どのような考え方で思考をしていくのかという、物事の特徴や本質を捉える視点や、思考の進め方や方向性を意味すること」とされており、例として「関数」領域において「一つの数量を調べようとするとき、それと関係が深い他の数量を見いだし、それらの数量との間に成り立つ関係を明らかにし、その関係を利用する」ことが示されている。また、文部科学省初等中等教育局の合田哲雄氏は、その著書の中で、「各教科固有の『見方・考え方』とは、その科目を学ぶことによってできるようになる発想や思考で、社会生活においてより質の高い意思決定を行うに当たって必要となるもの」とした上で、数学的な見方・考え方の例として「因数分解」を挙げ、複雑な事象を因数に分解して考えるという発想は、社会生活においても様々な形で活用されていることを指摘している。
 子どもが数学的な見方・考え方を働かせることができる指導を実現するためには、その前提として、指導内容と適合する数学的な見方・考え方を整理し明確化することが必要である。

(2)中学校数学科における学習評価のポイント

① 「知識・技能」について
 近年、全国学力・学習状況調査では、「数学的な技能」の観点に改善の傾向が見られる一方で、「数量や図形などについての知識・理解」の観点にはいまだに課題が多いことが指摘されている。これまで二つの観点で把握してきたこうした状況を「知識・技能」という一つの観点でどのように評価としてまとめるのかを検討する必要がある。また、特に知識に関しては、深い学びの視点から、個別的な知識の習得と、知識の概念的な理解の状況を捉えるようにしたい。例えば、第1学年における「一次方程式の解の理解」と、3年間の指導を通じての「方程式の解の理解」の状況を区別して捉えることが考えられる。
② 「思考・判断・表現」について
 習得した知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等を身に付けているかどうかを評価するためには、子どもの学習過程における活動を的確に捉える必要がある。解答に至る思考の過程の記述やレポートの作成、発表やグループでの話合いなどを目的に応じて意図的に設定する指導の工夫が求められる。例えば、各単元末にその単元の学び全体を振り返る時間を設け、子どもの気付きを自由に記述させ、その変容を見取ることで、単元や領域、学期等を通じての成長を把握することが考えられる。
③ 「主体的に学習に取り組む態度」について
 知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた子どもの粘り強い取組の中で、学習内容のよさを見いだそうとしたり、その後の学習に活かそうとしたり、自らの学習を調整しようとしたりしているかどうかを捉え評価することが求められる。例えば、授業における問題解決の過程や解決した後の振り返りの場面で、自らの解決方法を見直し、多面的に考えることを通して、よりよい解決の方法を目指して評価・改善を図ろうとしているかどうかを把握することが考えられる。

(3)学びを変える評価活動の工夫

 実際の評価の場面では、各評価の観点の特性を活かした評価活動を工夫する必要がある。「知識・技能」の観点については「点の評価」を意識し、子どもの学習状況を必要に応じて授業の中でピンポイントに把握し、フィードバックすることを心がけたい。そのためには、小テスト等のペーパーテストを活用したり、実際に知識や技能を用いる場面を設定したりすることが考えられる。
 「思考・判断・表現」及び「主体的に学習に取り組む態度」の観点については「線の評価」を意識して、単元や領域、学期、学年など、ある程度長いスパンを見通して子どもの学習状況を把握し、その成長の度合いを評価することを心がけたい。
 この際、特に「主体的に学習に取り組む態度」の観点については、他の観点から切り離して特別に評価の場面を設けることなどが適切でないことに注意する必要がある。
(永田潤一郎)

●参考文献
文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』日本文教出版、2018年
合田哲雄『学習指導要領の読み方・活かし方』教育開発研究所、2019年

 

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