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教師のためのメンタルケア入門

奥田弘美

リーダーから始めよう! 元気な職場をつくるためのメンタルケア入門[第5回]ストレスサインが出現し始めた時のセルフケア〈その2〉

NEW学校マネジメント

2020.05.13

新型コロナウイルス感染症対策に伴う急激な環境の変化や病気への不安により、いわゆる自宅でコロナ鬱(うつ)に悩む方が増えています。ご自身やご家族に問題がなくとも、一緒に働く方の心の健康は大丈夫でしょうか。ここでは、精神科医・産業医として活躍する奥田弘美先生が学校の管理職層向けにメンタルヘルスを親しみやすく解説した「リーダーから始めよう! 元気な職場をつくるためのメンタルケア入門」(『学校教育・実践ライブラリ』連載)を12回にわたってご紹介いたします。(編集部)

リーダーから始めよう! 
元気な職場をつくるためのメンタルケア入門[第5回]
ストレスサインが出現し始めた時のセルフケア〈その2〉

精神科医(精神保健指定医)・産業医(労働衛生コンサルタント)
奥田弘美

『学校教育・実践ライブラリ』Vol.5 2019年9月

セルフケア

 前々回からストレスサインとその対処法についてお伝えしています。
 ストレスが蓄積し始めた時には、心や体から「ストレスサイン」が発生します。イライラする、倦怠感がひどくなる、甘い物や酒の量が増える、便秘や下痢がひどくなる......などなど、ストレスサインは人それぞれによって違います。自分自身に発生しやすいストレススサインは多彩で、サインを見つけ、ストレスに早く気付いてセルフケアしていくことが心身の不調を防ぐ秘訣です。

 前回はこのマイ・ストレスサインをキャッチした時に自分で行う心身のケア法について、「エネルギーの消費を減らす観点」からいくつかの手法をご紹介しました。ストレスサインが発生し始めた時というのは、ストレスによって心と体のエネルギーレベルがどんどん低下し始めている状態です。まずはストレスによるエネルギーの消費を速やかに減らすことが大切です(詳しくは前号をご参照ください)。

 さてストレスの消費を絞ったあとは、今度は心と体へのエネルギーの供給を増やすことが大切です。今回は心と体にエネルギーを供給する手法をいくつかご紹介したいと思います。

(手法1)自分の「〜したい」をいつもより優先する。
 「〜しなければならない」「するべきだ」と自分を叱咤鼓舞して行う行動は、心のエネルギーを奪うことがほとんどです。その逆に自分自身の素直な感情で「〜したい」と感じることは、エネルギーを補給してくれることが多いもの。ストレスサインの出ている時は、ちょっと自分に甘くなって、普段は抑えている「〜したい」思考を優先してみましょう。有給休暇を取得してしっかり寝てゆったりと過ごしてみる、ちょっと贅沢して美味しいものを食べに行く、気のおけない友人とおしゃべりを楽しむ、好きな趣味にかける時間を増やすなど、日常生活の負担にならない範囲で、心の「〜したい」を実現してあげてください。ただし注意するべきことは、健康に良い事柄に限ります。お酒をたっぷり飲む、甘い物を多量に食べる、夜更かししてゲームや動画に没頭するなど、健康に悪い事柄は、その時は楽しくてもエネルギーを大きく消費してしまい、結局心身をさらに疲れさせてしまいますので避けてください。

(手法2)自然と光からパワーをもらう。
 明るい太陽光線には、うつ的な気分を改善する効果があります。また植物や花々、緑の木々、海や川の水辺など、自然に接することで心は癒されリフレッシュします。心にエネルギーが不足しているときには、人工的な環境から離れて自然に触れる機会を意図的に増やしてみましょう。例えば昼休みに緑の木々の下でランチをとってみる、休日に近くの緑の多い公園や遊歩道、川岸などへ行きぶらぶらと歩いてみる、といった手軽にできる方法で十分です。

(手法3)手軽なリラックス・ツールを活用する。
 現在のストレス社会を反映して、巷には手軽に活用できるリラックスのためのシステムやグッズが溢れています。無理にお金をかける必要はありませんが、上手に活用することで手軽にリラクゼーションや休息効果を増すことができます。いくつかご紹介しますので、参考にしてください。

〇ゆったり入浴
 ぬるめのお湯で、ゆったりと時間をかけてくつろぐことでリラクゼーション効果がアップします。好きな音楽をかけたり、リラックス作用のある入浴剤を使うとさらに効果的です。
◯マッサージやリフレクソロジー(足裏マッサージ)
 マッサージチェアなどの電化製品でも良いですができるだけ人の手で触れてもらうタイプのマッサージのほうが癒し効果が得やすくなります。お店に行けなくても家族と交互にマッサージしあうなど工夫すれば人に優しくタッチングしてもらうことは可能。
◯即席アロマテラピー
 アロマ精油の心身に及ぼす効果は医学的にも証明されています。質の良いアロマオイルで、気軽に芳香浴をしてみましょう。入浴の際、数的湯船に垂らしてみる。ハンカチに数滴しみこませたものを枕もとや机の横に置くといった手軽な方法で十分です。リラックスして気分を穏やかにするにはラベンダー、カモミールなどがおすすめ。気分をリフレッシュし心地よい覚醒効果を得るには、グレープフルーツ、ペパーミント、レモングラスなどが効果的です。
◯お手軽な音楽療法
 一般的に長調で明るい曲想のゆったりした音楽はリラックス効果が高く、同じ長調でもテンポの速い音楽は意欲や行動力が湧く効果があるとされています。クラッシックでもポップスでもジャズでも良いので自分の好みの曲をじっくり聴いてみましょう。ちなみに悲しげな短調の音楽や悲しい歌詞の曲は気持ちを沈ませる可能性があるようなので、落ち込んでいるときには避けた方が良いでしょう。
 また過去に元気をもらったり嬉しかったりした記憶がある曲を聴くことでも、エネルギーがアップすることがあるようですので、いろいろ試してみてください。

 

Profile
おくだ・ひろみ
平成4年山口大学医学部卒業。都内クリニックでの診療および18か所の企業での産業医業務を通じて老若男女の心身のケアに携わっている。著書には『自分の体をお世話しよう~子どもと育てるセルフケアの心~』(ぎょうせい)、『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。

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奥田弘美

精神科医(精神保健指定医)・ 産業医(労働衛生コンサルタント)

平成4年山口大学医学部卒業。都内クリニックでの診療および18か所の企業での産業医業務を通じて老若男女の心身のケアに携わっている。著書には『自分の体をお世話しよう~子どもと育てるセルフケアの心~』(ぎょうせい)、『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。

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