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ここがポイント!学校現場の人材育成[第3回]新任教員の即戦力化〈その3〉

NEW学校マネジメント

2019.09.14

ここがポイント!
学校現場の人材育成

[第3回]新任教員の即戦力化〈その3〉

(『学校教育・実践ライブラリ』 Vol.3 2019年7月

●本稿のめあて●
今回は、新任教員の即戦力化の最終回として、教員の任命権者である教育委員会で作成しなければならない教員育成指標について取り上げます。特に大卒後すぐに現場に立つ教員の育成に関しては、教育委員会が担う役割が大きいことなどについて説明します。

新任教員の増加による課題

 教員は学校現場で成長するものです。現場で成長するためには、本人の自助努力は必要不可欠ではありますが、やはり新人教員に対する組織的・計画的な研修が必要です。ところが新人教員に限ってみれば、教育公務員特例法上、任用1年目に実施が義務付けられている初任者研修のみしかありません。このほかに、同法で位置付けられているものとして、かつての10年経験者研修、現在の中堅教諭等資質向上研修(実施時期の弾力化は図られたものの教員経験10年程度で実施)はありますが、基本的に、大学卒業後の新任教員に限定すると、法令上の研修はこの初任者研修のみとなります。このため、どこの自治体においても、法定研修のほか、教育公務員特例法の別の規定により、経験年数等に応じた研修計画を策定して実施こそしてはいますが、これまでは教員の養成・採用・研修を一体のものと意識したものではありませんでした。

課題解決のための視点と方策―その2

 今回は、第3の視点として、平成27年12月の中教審答申「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」により、平成28年11月に公布された一連の教育公務員特例法の改正についてみていきます。まず、同法22条の2では、文科大臣は、校長及び教員としての資質の向上に関する指標(以下、「教員育成指標」)の策定に関する指針を定めなければならないとし、第22条の3では、校長及び教員の任命権者は、それを参酌して各自治体の教員育成指標を定めることとしています。そして、第22条の5では、この指標を定める協議会(以下、「教員育成協議会」)を教育委員会と大学等とで組織するものとしています。また、定められた指標を具現化するために、第22条の4では、指標を踏まえ、毎年度、教員研修計画を定めることとしています。なお、平成29年3月に文科大臣が定めた指標に関する指針では、「教員等の成長段階に応じた資質の向上の目安とするため、学校種や職の指標ごとに複数の成長に関する段階を設けることとする。その際、必ず、新規に採用する教員に対して任命権者が求める資質を第一の段階として設けることとする」としています。

 次の表は、東京都教育委員会が教員育成協議会の下で平成29年7月に策定した教員育成指標の一部です(9年目以降の充実期や教育管理職の指標は省略)。最下段の「教育課題に関する対応力」の具体例として、グローバル人材の育成、不登校、いじめ、障害のある児童生徒、学校安全など9つの教育課題を挙げ、成長段階毎に到達目標を示しています。

教委の取組と役割―その2

 教育公務員特例法では、各自治体は教員育成指標を定め、毎年、教員育成協議会を開催して研修計画の見直しを行うこととしています。つまり、教育委員会が担う重要な取組と役割は、教員育成指標の下で策定された研修計画がきちんと機能しているのか、PDCAを回して不断に改善することにあります。

 独立行政法人教職員支援機構次世代教育推進センターが平成30年8月に実施した第1回アンケート調査結果によれば、この教員育成協議会の開催回数について年1回と回答した自治体数は全67の自治体中で25団体となっています。これでは、PDCAを踏まえた教員育成指標達成のための研修計画の見直しができるかどうか疑わしいところです。さらに言えば、同センターが実施した第3回目のアンケート調査結果(平成31年3月)によると、教員育成指標で見直しを行ったものがあると回答した自治体数は18にしか過ぎません。

 各教育委員会においては、特に、新任教員の資質能力の向上に意を用いるべきです。毎年、新任教員に対する研修の評価を適正に行い、その結果を教員育成協議会で忌憚なく説明するとともに、必要に応じて大学等教員養成機関に改善すべき内容を伝えるなどして、教育委員会が積極的に発信して、教員の養成・採用・研修を一体のものとしていくことが必要です。

 

Profile
明海大学副学長
高野敬三

たかの・けいぞう 昭和29年新潟県生まれ。東京都立京橋高校教諭、東京都教育庁指導部高等学校教育指導課長、都立飛鳥高等学校長、東京都教育庁指導部長、東京都教育監・東京都教職員研修センター所長を歴任。平成27年から明海大学教授(教職課程担当)、平成28年度から現職、平成30年より明海大学外国語学部長、明海大学教職課程センター長、明海大学地域学校教育センター長を兼ねる。「不登校に関する調査研究協力者会議」委員、「教職課程コアカリキュラムの在り方に関する検討会議」委員、「中央教育審議会教員養成部会」委員(以上、文部科学省)を歴任。

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