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トラブルの芽を摘む管理職の直覚

中山大嘉俊

トラブルの芽を摘む管理職の直覚 [第6回]学校事故を防ぐ体制づくりと安全点検のポイント

NEW学校マネジメント

2019.03.18

 (『リーダーズ・ライブラリ』Vol.6、2018年

「私も安全点検に参加している!」

 学校では、依然として様々な事故や不審者による事件が発生しています。さらに今年は、熱中症対策、地震や台風、大雨などの自然災害の対応にも追われました。濡れた廊下で滑り怪我をした、校門の扉が開きっぱなしになっていた、林間学習の登山で熱中症になったなど油断や判断ミスが重大事故の引き金となります。ここでは、事故の未然防止について考えたいと思います。

安全・安心に係る体制の一刻も早い確立

避難訓練の励行

 子供の安全・安心の確保は最優先事項です。新年度、そして2、3学期が始まり子供が登校してくる前には、防犯や防災など各種の危機管理マニュアルに基づいて教職員一人一人が状況に応じて的確に判断し機敏な行動がとれるように備えておく必要があります。実際にやってみることで危機管理マニュアルについての理解が深まりますので、本校では、不審者侵入に備えた防犯訓練、事故発生時の対応訓練、AED・応急手当の訓練を併せて実施しています。計画的な研修の実施とともに、学期当初の研修は前の学期に企画し準備すると余裕が持てます。
 危機対応は、教職員の危機意識をもとにした日常の対応の在り方が重要です。例えば、防犯では池田小の事件の教訓をもとに、来校者へ「どちらにご用事ですか」といった声掛けをして不審者侵入による事件の未然防止を図るといったことです。
 子供の事故対応に関しては、“首から上の事故”“骨折が疑われる事故”については躊躇せず病院へ運ぶことです。後で骨折が分かったような場合、「どうして救急車を呼んでくれなかったのか」という保護者の思いは当然ですし、私たちも子供が心配だからです。本校では、“見逃すよりは空振りがいい”を合言葉にしています。
 さらに、事故事例を共有し、スポーツや行事などでは、“無理をしない、させない”ことを共通理解します。議論はありますが、組体操やむかで競争の仕方の工夫もそうでしょう。今年は熱中症対策として、1学期の終業式を講堂でなく教室で行ったり、林間学習の登山のコースを変更したり、プール開放を気温と水温が高い場合にはやむなく中止したりした学校も多かったのではないでしょうか。

教職員が危機意識を示す

遊具にも危険は潜む

 避難訓練は、子供が自ら判断し、安全な行動が取れる能力を養うための活動ですが、同時に危機管理上必要な私たちの業務です。
 以前、避難訓練で子供がざわついたので朝礼台で「やり直し」を指示したことがあります。この突然の指示に慌てたのは担当者でした。やり直しは想定していなかったのです。年度当初の避難訓練であっても、子供は学年段階に応じた経験を積んでいるということを私たちは見落としがちです。そのことをふまえた目標設定と継続的な評価が必要です。目標に到達しなければ、何度でもするという姿勢が大切でしょう。避難訓練に対する教職員の真剣な雰囲気は子供に伝わるものだと確信しています。
 火災や防災などの避難訓練は、形式的・表面的にならないように想定場面や難易度を見直すようにします。ルーブリックを利用して子供自身に評価をさせることも有効です。また、防災に関する安全教育には、新聞の活用や安全マップの作製、大震災で被災された方との交流(スカイプを利用)、心理的バイアスの教材化、全校だけでなく保護者や地域の方への情報発信、AEDの練習、など様々な工夫の余地があります。

避難訓練、安全教育、安全点検は三位一体

風で吹き飛びそうになる帽子を押さえる子供

 安全教育の充実は子供及び教職員の危機意識を高めますので、避難訓練にも血が通うようになり、相乗効果が期待できます。同様に、学校内の施設・設備の安全点検と事後措置とを関連させた生活や行動に関する指導を一体的に進めることは、日常生活での事故を減らす上で欠かすことができません。
 施設・設備、用具などの安全点検は、目視だけでは不十分です。例えば、遊具の点検は教職員が実際に使ってみることが大切です。滑り台を滑ってみると地面が掘れていて躓き危なかったということもあります。また、“台風の目”の競技で竹棒の先が目に当たるという事故もあります。運動会や行事の前に用具を点検することも必要です。さらに、安全点検は天気のよい日だけでなく、雨の日にもするようにします。

雨の日の傘立て

 安全点検では、子供や保護者の視点を大事にして意見を聴き、危ないと思っている箇所の点検を行う仕組みをつくります。例えば、子供と「校内の安全マップ」を作る、子供が学校の拡大図に事故の場所を色シールで貼る、それらをもとに子供が全校に安全を呼びかけるなどします。これらのことで、安全に対する子供や保護者の意識も変わります。
 本校では、以前に玄関扉の蝶番側の隙間に指が挟まれる事故があり、ドアクローザーと覆いを取り付けました。校内で子供同士が衝突しにくい環境をつくる工夫も必要です。広い廊下には植物の鉢植えを配置して走りにくくしたり、曲がり角や階段と廊下の接続部などには出会い頭の衝突事故を防ぐために凸面鏡を設置したりしています。
 しかし、安全対策をしていても、清掃後にコーナーガードのない面が廊下側に置かれた傘立てを見かけることがあります。子供も教職員も事故の未然防止に向けた行動が自然にとれる、危険予測・危険回避できる力を高めるには継続的な取組と良循環サイクルの構築が必要だということを痛感しています。

中山校長の目

  • ❑ 各学期が始まる前に危機管理に対する校内体制が確立されているか
  • ❑ 教職員は、事故の未然防止に向けた取り決めを危機意識をもって実践しているか
  • ❑ 安全面から無理のない活動を行うため内容の変更が柔軟にできているか
  • ❑ 事故の未然防止に関するそれぞれの取組がつながっているか

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中山大嘉俊

大阪市立堀江小学校長

大阪市立小学校に40年間勤務。教頭、総括指導主事等を経て校長に。首席指導主事を挟み現任校は3校目。幼稚園長兼務。大阪教育大学連合教職大学院修了。スクールリーダー研究会所属。(2019年3月時点)

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