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次世代の学校を創る ─校長は何を考え、何をすべきか─

NEWトピック教育課題

2020.12.28

次世代の学校を創る
─校長は何を考え、何をすべきか─

東京都江東区立明治小学校統括校長
喜名 朝博

『新教育ライブラリ Premier』Vol.3 2020年10月

次世代の学校創りは、校長がそれを意識したときから始まる。時代の先を読み、新しい発想で考え、行動していく校長でありたい。

新しい時代は始まっている

 「多様な子供たちを誰一人取り残すことのない、個別最適化された学びの実現」「全国津々浦々の学校において質の高い教育活動を実施可能とする環境の整備」。これは中教審初中分科会が昨年12月に示した新しい時代の学校教育のイメージである。この前提には、ICTや先端技術の効果的な活用があり、GIGAスクール構想によって2023年度までに「1人1台端末」を整備する計画であった。しかし、コロナ禍における子供たちの学びの保障のため、構想を前倒して今年度中に実現することになった。新しい時代の学校教育、次世代の学校はいよいよ現実味を帯びてきた。

 コロナ禍にあって、改めて学校が当たり前に行ってきた教育活動の意味を問い直すことになった。ほとんど練習をしなくても立派に卒業式を終えた子供たちを見て、学校行事の練習に費やしてきた時間について考えさせられた。このような気付きが、次世代の学校創りにつながるのである。新しい時代は既に始まっている。新しい時代はやって来るのではなく、我々が創っていくのである。

変革期の校長の役割とは

 次世代の学校を創ることは、未来を志向することである。そのためのインフラをどう整備していくか、教育活動の基盤となる教育課程編成、授業を支える教材開発、多様な学びを保障するICT活用、学校力を高める教師の力量形成について、校長は何を考え、何をすべきか整理する。

(1)教育課程の重みを理解させる
 文科省はこの8月、臨時休業等で年度内に指導が終えなかった場合に限って学習内容を次年度等に先送りできる特例を告示した。教育課程の基準となる学習指導要領は、我が国の教育水準を保障するものであり、この告示は、学校の勝手な判断で先送りできないことを意味している。その重みを教職員ともに確認しておきたい。

 また、関わりを通して学ぶことで非認知能力が育つ特別活動についても、その意義を確認し安易な方向に流れないようにしたい。バランスのとれた教育課程編成に向け、校長自身が教育課程の構造的理解を深めておきたい。

(2)教材の共有化を推進する
 分散登校時、授業の効率化を図るためにパワーポイントとワークシートを連動させた授業を行ってきた。学年内で教科の担当を決め教材を共有した。誰もがポイントを絞った授業ができたが、他者が作ったワークシートは使いにくいという声も聞かれた。教師は自分の教え方にこだわる。これこそが学校特有の課題であり、長時間勤務の要因でもある。このことが担任による指導の差となり、子供たちの学力差につながっていることを理解させるべきである。どの教員も一定水準の授業ができるようにICT活用を前提とした教材開発を行い、それを共有した上で教師の持ち味を付加するという授業観へ転換していかなくてはならない。

(3)ツールとしてのICT活用を
 ICT 活用は目的ではない。ノートや鉛筆のようにタブレットも文房具として扱うべきである。ICT 活用はすぐに授業の標準となる。環境整備を待っていては対応できない。校長の決断によってすぐにでも研修を始めていきたい。

(4)教師の力量形成も個別最適化を
 次世代の学校を共に創っていく教職員の研修は、一律ではなく個々の育成課題に応じ個別最適化された研修やOJTが必要である。個々の得意分野を生かし、組織として学び合う集団を作っていく必要がある。我々自身が主体的・対話的で深い学びを体現することが次世代の学校の在り方であり、それをマネジメントするのが校長の役割である。

次世代の学校を創るための五つの提言

 新型コロナウイルスは、これまでの当たり前を見直す契機となった。新時代の学校を創る校長自身も自らの行動規範を見直さなければならない。自戒の念を込め、あえて否定形で提言したい。

Ⅰ 待っていてはいけない
 誰かがやってくれるだろう、教育委員会が示してくれるだろうという考え方は、自らの職責を否定することになる。待っていてはいけない、新時代の学校を創っていくのは我々自身である。

Ⅱ 前例にとらわれてはいけない
 次世代の学校の姿を考えるとき、前例にとらわれていては何も生まれない。発想の転換と前例を疑うことから始めるべきである。

Ⅲ 一人で考えてはいけない
 一人で考えても発想は広がらない。教職員に投げかけ、話し合い、共に考える過程で既に次世代の学校創りが始まる。

Ⅳ 言葉で人を動かしてはいけない
 校長が計画し、教職員が実行するという組織では次世代の学校は機能しない。これからの学校組織は、自立した進化型組織である。そのためにも行動する校長を目指したい。

Ⅴ 社会を無視してはいけない
 学校だから許されるという甘えは通用しない。地域と共にあり、社会のインフラとしても機能する学校を創っていくためにも独善的になってはならない。

 

 

Profile
喜名 朝博(きな・ともひろ)
 東京都公立小学校教諭、東京学芸大学附属大泉小学校教諭、町田市教育委員会指導主事、台東区教育委員会統括指導主事、中野区教育委員会指導室長を務めた後、江東区立枝川小学校、江東区立豊洲北小学校で校長・統括校長を務め現職。現在、全国連合小学校長会会長、東京都公立小学校長会会長、中央教育審議会初等中等教育分科会委員。

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