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スクールリーダーの資料室 「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」審議のまとめ(案)

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2020.09.10

スクールリーダーの資料室 「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」審議のまとめ(案)
〔抜粋〕

令和2年7月13日
学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議(令和2年度)(第3回)

『新教育ライブラリ Premier』Vol.2 2020年8月

1.学校における携帯電話の取扱い等に関する検討 の経緯について

(1)これまでの学校における携帯電話の取扱い等について

 児童生徒の学校における携帯電話の取扱い等については、従来、文部科学省として、「学校における携帯電話の取扱い等について(通知)」(平成21年1月30日付け20文科初第1156号文部科学省初等中等教育局長通知)(以下、「平成21年通知」という。)により、学校及び教育委員会の取組の基本とすべき事項を示しているところである。

 具体的には、小・中学校での携帯電話の持込みの原則禁止、高等学校での校内における使用制限、学校における情報モラル教育の充実、「ネット上のいじめ」等に関する取組の徹底等について周知を図ってきたところである。

(2)平成30年6月の大阪府北部地震の発生と大阪府教育庁での検討について

 平成30年6月に登下校時間帯に発生した大阪府北部地震を発端とし、大阪府教育庁では、災害発生時や連れ去り・痴漢等の犯罪に巻き込まれた(あるいは巻き込まれそうな)際の緊急の連絡手段や犯罪の抑止力として、携帯電話の活用の検討が開始された。検討の結果、登下校時に限り児童生徒が携帯電話を所持できるよう、「持ち込み禁止」の方針を「一部解除」することとされた。

(3)学校における携帯電話の取扱い等に関する文部科学省での検討について

 近年の自然災害(大阪府北部地震等)や犯罪の発生等を踏まえ、災害発生時や児童生徒が犯罪に巻き込まれた時などに、携帯電話を緊急の連絡手段として活用することが期待されている。この点、児童生徒への携帯電話の普及が進む状況等も踏まえた際、登下校時の児童生徒の緊急時の連絡手段として、携帯電話を活用するという視点からの学校における携帯電話の取扱い等についての検討が必要である。

 このような状況を踏まえ、令和元年5月、省内に、「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」を立ち上げ、学校への携帯電話の持込みを認めている高等学校、教育関係団体、保護者団体、携帯電話やインターネットの利用環境に関して専門的知見を有する団体、児童生徒の健康面等に関して専門的知見を有する団体等からのヒアリングを行いつつ、学校における携帯電話の取扱い等について検討を行ってきた。

 この度、本有識者会議は、これまで検討した結果を「審議のまとめ」として公表する。

(4)「携帯電話」の範囲・定義

 今回の検討に当たって、「携帯電話」の範囲・定義については、学校への持込みを認める趣旨・目的に照らして検討することが適当である。この点については、大阪府教育庁のガイドライン(「小中学校における携帯電話の取扱いに関するガイドライン」)も踏まえ、登下校中の緊急時の連絡手段として活用するという視点が第一に挙げられる。

 また、近年では、個人の情報端末を学校に持ち込み、教育活動に用いる BYOD(BringYourOwnDevice)の取組が一部の学校で進みつつあるが、本有識者会議は、登下校時の児童生徒の緊急時の連絡手段の確保等のために、携帯電話をどのように活用するかを検討するものであり、教育活動を目的としたICT機器の持込みについては、教育におけるICTの利活用の在り方との関連で検討されるべき事柄であることから、今般の議論の対象からは外すこととした。

 なお、教育におけるICTの利活用については、学校や教育委員会において、その積極的な利活用に向けた取組を進めていくことが望ましい。

これらを踏まえ、「携帯電話」の範囲・定義としては、①フィーチャーフォン(いわゆる「ガラケー」)、②スマートフォン、③子供向け携帯電話(基本的な通話・メール機能やGPS機能のみを搭載しているもの)とした。

 また、携帯ゲーム機や携帯音楽プレーヤーについては、その主たる目的が娯楽であり、連絡手段にあるとは考え難いことから、インターネット回線への接続の可否に関わらず、「携帯電話」には含めないこととした。タブレット型端末については、インターネット回線に接続でき、一部には電話機能を備えているものもあるが、その主たる目的が連絡手段にあるとは考え難いことから、インターネット回線への接続の可否に関わらず、「携帯電話」には含めないこととした。

2.学校における携帯電話の取扱い等に関する考え方について

(1)携帯電話を巡る社会環境の変化や、学校における携帯電話の位置付けについて

 携帯電話について、技術の進歩に伴い、スマートフォン等が誕生したことで、社会環境や児童生徒の状況が変化しつつあることは事実である。一方、こうしたスマートフォンをはじめとする携帯電話の学校への持込みを無条件に認める場合、様々なトラブル等が発生し得ることも事実である。携帯電話が正しく使用されれば、児童生徒にとって大きなメリットとなるが、間違った使用がなされた場合、その負の影響は大きい。特に、SNS(ソーシャルネットサービス)等を介して不特定多数の者とつながるインターネットが使用可能なスマートフォンが普及している状況を鑑みれば、平成21年通知の発出時と比較して、間違った使用がなされた場合の負の影響は、より大きくなっていると考えられる。

 一方、児童生徒への携帯電話の普及率の上昇といった社会環境の変化や、近年の自然災害や犯罪の発生等を踏まえ、携帯電話を登下校時の緊急時の連絡手段として活用したいといったニーズが保護者等を中心に存在することも事実である。児童生徒が学校で活動している間は、保護者との連絡は学校が担うものの、登下校時については、児童生徒は、常に学校の管理・監督下にあるわけではないからである。

 この点、仮に今後携帯電話の普及率が更に上昇することや、緊急時の連絡手段としてのニーズが高まると予想した場合、たとえ引き続き持込み禁止にしていても、学校の許可なく持ち込まれる場合も考えられる。その場合、紛失や授業の妨げ等様々なトラブルへと発展していくことが懸念される。

こうした状況を踏まえた場合、従来の持込みの原則禁止のほかに、持込みに伴うトラブルや課題を予め適切に把握し、各学校や教育委員会において必要な措置や体制が整備される場合等に限り、登下校時の緊急時の連絡手段として、携帯電話の持ち込みを認めるとする考え方もあり得る。

(2)学校への携帯電話の持込みを認める場合の留意事項について

 一方、学校への携帯電話の持込みには、様々なトラブルや課題が指摘されるところ、これらトラブルや課題への対策について、持込みを認める場合の留意事項として検討した。

(各種のトラブルや責任問題)

 ヒアリング内容等を踏まえた場合、学校への携帯電話の持込みを認めることによるトラブルや課題については、主に以下の通り分類することができる。

① 機器を持ち込むことにより直接発生し得るトラブル

・紛失や盗難、破損、取り違え、またこれらに伴う責任の所在に係る問題

② 持ち込んだ機器を使用することにより発生し得るトラブル

・授業の妨げ、問題行動の助長(ネットいじめ、盗撮など)、マナー違反の増加(歩行中における携帯電話の使用等)

・上記トラブルに対する指導等のための教員の負担

③ 持ち込みを認めることから派生する影響

・児童生徒のインターネットへの依存度の高まり

・携帯電話非所持者の新規購入に伴う保護者等の経済的負担

・携帯電話所持者と非所持者の分断

(対策)

 上記トラブルや課題への対応として、ヒアリングによれば、以下の取組が挙げられた。

① ルールの設定や、責任の所在の明確化

・ルールの設定に当たっては、学校や地域の実態を踏まえて、児童生徒や保護者が何らかの形で議論に参加し、児童生徒・保護者と学校との間の共通理解を図った上でルールを設定・運用することが望ましい。

・責任の所在の明確化のため、保護者に持込みを認めるに当たっての留意事項や紛失等のトラブルが発生した場合の責任の所在等について記載した同意書の提出を求めることも考えられる。

② 指導体制の整備

・携帯電話の持込みを認めるに当たってのルールや、携帯電話の意義・危険性等について、予め、学校から児童生徒に対し十分に指導を行い、児童生徒の自覚を促す必要がある。

・上記については、各家庭においても同様に児童生徒への適切な指導やルール作りが行われるよう、保護者にも協力を求める必要がある。

③ 保管方法について

・児童生徒自身が鞄に入れて保管する、鍵付きのロッカーに入れて保管する、移動教室の際は教室を施錠して保管する、学校が回収して一つの鞄に入れて保管するなどの方法が考えられる。

(3)学校種ごとの携帯電話の取扱いについて

 以上の観点から、本有識者会議では、児童生徒への携帯電話の普及が進む状況や近年の自然災害や犯罪の発生等を踏まえ、登下校時の緊急時の連絡手段として、携帯電話を活用するという視点から、まず、現状各学校種において、携帯電話を登下校時の緊急時の連絡手段として活用する状況にあるのかどうか、

 ①児童生徒への携帯電話の普及状況
 ②通学区域の状況等による安否確認の必要性

について、ヒアリング内容(別添参照)も踏まえつつ、平成21年通知の再検討を行った。

 その上で、学校への携帯電話の持込みには、様々なトラブルや課題といった負の影響も指摘されるところ、これらトラブルと課題への対策、すなわち、持込みを認める場合の留意事項について検討した。

(ア)小学校

 小学生のスマートフォン・携帯電話の所有・利用率は、平成29年度において、55.5%である(内閣府「平成30年度青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」(以下、「実態調査報告書」という)。また、小学校の通学距離は、法令上、おおむね4キロメートル以内とされており(義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律施行令(以下、「義務法施行令」という。)第4条第1項第2号)、ヒアリングにおいても、地域差はあるものの、登下校に当たってさほど長い距離や時間がかかるわけではないとの指摘があった。

 このような状況に鑑みれば、小学校における、学校への児童の携帯電話の持込みについては、引き続き原則禁止とすることが妥当と考えられる。

 ただし、従前通り、次のような場合には、例外的に持込みを認めることも考えられる。具体的には、例えば、登下校時の児童の安全確保や遠距離通学、公共交通機関を利用した通学のためなど、携帯電話を緊急時の連絡手段とせざるを得ない場合その他やむを得ない事情がある場合には、保護者から学校長に対し、児童による携帯電話(例えば、子供向け携帯電話やフィルタリングによる機能の制限を設けた携帯電話など)の学校への持込みの許可を申請させるなど、例外的に持込みを認めることも考えられる。このような場合には、校内での使用を禁止したり、登校後に学校で一時的に預かり下校時に返却したりするなど、学校での教育活動に支障がないよう配慮する必要がある。

(イ)中学校

 中学生のスマートフォン・携帯電話の所有・利用率は、平成29年度において、66.7%である(実態調査報告)。また、中学校の通学距離は、法令上、おおむね6キロメートル以内とされている(義務法施行令第4条第1項第2号)。ヒアリングにおいては、通学に当たっての距離や時間について、学校によっては、学区の域外から通学する生徒も数人程度在籍しているものの、多くの生徒については、登下校に当たってそこまで距離や時間はかからないとの指摘があった。

 一方、原則禁止だった平成21年と比べて環境は変化し、スマートフォン・携帯電話の所有・利用率は上昇している。特に中学生については、携帯電話(スマートフォンを除く)の所有・利用率と、インターネットが使用できるスマートフォンの所有・利用率が近い値であることが特徴である。この点、スマートフォンを介しての、インターネットの使用に関連したトラブルの発生リスクも、小学生と比較して高いと考えられる。

 また、中学校については、部活動に参加する生徒が多いため、小学校と比較して、帰宅時間が遅くなる点も考慮する必要がある。実態として、ヒアリングにおいて、平成21年通知に沿って原則禁止としている学校も見られる一方、現行既に許可している学校もあるとの指摘もあった。

 このような状況に鑑みれば、中学校における、学校への生徒の携帯電話の持込みについては、持込みを原則禁止としつつも、一定の条件のもと、持込みを認めることが妥当と考えられる。

 具体的には、例えば、携帯電話を登下校時の緊急時の連絡手段として活用したいといった保護者の要望があることなどを理由に、学校又は教育委員会として持込みを認める場合、まず、生徒が自らを律することができるようなルールを学校や保護者が協力して作ることについて検討する必要がある。その上で、一定の条件として、学校と生徒・保護者との間で以下の事項について合意がなされ、必要な環境の整備や措置が講じられていることが求められる。持込みを認める場合は、校内での使用を禁止したり、登校後に学校で一時的に預かり下校時に返却したりするなど、学校での教育活動に支障がないよう配慮する必要がある。

(1)学校における管理方法や、紛失等のトラブルが発生した場合の責任の所在を明確にすること

(2)フィルタリングが保護者の責任のもとで適切に設定されていること

(3)携帯電話の危険性や正しい使い方に関する学校及び家庭における指導が適切に行われていること

(ウ)高等学校

 高校生のスマートフォン・携帯電話の所有・利用率は、平成29年度において、97.1%である(実態調査報告)。また、高等学校における通学距離は、ヒアリングにおいて、広範囲にわたることが指摘された。

 一方、生徒が授業に専念する観点から、携帯電話は、学校における教育活動(※教育活動を目的としたICT機器の持込みの場合は除く。)に直接必要のない物であるとの考え方は、依然有効であると考えられる。

 このような状況に鑑みれば、高等学校における、学校への生徒の携帯電話の持込みについては、引き続き従前通り、教育活動に支障がないよう配慮することを前提に、各学校において適切に定めることが妥当と考えられる。

(エ)特別支援学校

 特別支援学校の児童生徒に限った携帯電話の所有・利用率は不明であるが、ヒアリングでは、学校への携帯電話の持込みに関して、特別支援学校については、従来児童生徒や保護者のほか、学校としても、児童生徒の障害への対応等の観点から、携帯電話の必要性が高く、携帯電話については各学校でそれぞれ取扱いを定めている実態があるとの指摘がなされた。また、通学区域も各児童生徒で異なり、その距離や時間も様々であるとのことであった。

 このような状況に鑑みれば、特別支援学校における、学校への児童生徒の携帯電話の持込みについては、引き続き従前通り、各学校において定めることが妥当と考えられる。その際、学校での教育活動に支障がないよう配慮する必要がある。

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