リーダーのためのマナーアップ講座
リーダーのためのマナーアップ講座[第1回] 第一印象UPの話し方
トピック教育課題
2020.08.28
リーダーのためのマナーアップ講座[第1回]
第一印象UPの話し方
人財育成トレーナー
美月 あきこ
(『新教育ライブラリ Premier』Vol.1 2020年5月)
コミュニケーションの要素
仕事をしている中で、生徒や保護者、同僚などに対して、同じことを話しているにもかかわらず、反応が人によって異なる、というご経験をされたことはありませんか?それはきっと、あなたが相手に与える印象の違いによるものです。
とりわけ、第一印象というものは非常に重要になります。第一印象が良ければ、相手とのコミュニケーションは円滑なものになりやすいです。逆に、第一印象が悪いと、どんなに良い内容のことを話しても、相手はすんなりと受け入れてくれません。
第一印象についてお伝えする前に、まずは、コミュニケーションとは何か、ということを考えてみましょう。
コミュニケーションは、大きく二種類に分けることができます。一つは「バーバル」、もう一つは「ノンバーバル」と呼びます。日本語で言うと、バーバルは「言語情報」のことで、ノンバーバルは「非言語情報」を意味します。つまり、前者は言葉や文章を用いたコミュニケーションであり、後者はそれ以外のコミュニケーションと言えます。
「それ以外」の部分を、もう少し詳しくお伝えしましょう。ノンバーバルには、「周辺言語的」な要素があります。言葉に関連しているものではありますが、バーバルの範疇には入りません。具体的には、声の特徴や大きさ、テンポ、リズムです。
ノンバーバルには、「身体的な現象」の要素もあります。これは、外見の特徴や表情、視線、動作などを指します。
メラビアンの法則とは
第一印象を決定付けるのは、ノンバーバルの要素です。「人は見た目が9割」とも言われますが、あながち大げさではありません。
それを実験し、法則として立証した人がいます。アメリカ・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学者である、アルバート・メラビアンです。
メラビアンは、1971年、言葉の内容や声、見た目が矛盾している状況で、それを受けた人がどんな印象を抱くのか、実験を行いました。例えば、「とても気分が良い」と言葉では言いながら、声のトーンは低く、見た目にも沈んでいる、という風にです。
実験の結果は、数値として出されました。言葉の内容=言語情報が人に与える影響度は全体の7%、声の大きさやテンポなど=聴覚情報の影響度は38%、表情やしぐさ、見た目=視覚情報の影響度は55%でした。
これを、「メラビアンの法則」と称します。
聴覚情報は、前記の通り、ノンバーバルに入ります。視覚情報と合わせると、実に93%にのぼることになります。
いかがでしょうか。「人は見た目が9割」が立証されていることが、おわかりになるかと思います。
とはいえ、高級なスーツを着用しなければいけないとか、無理なダイエットをしなければならないというわけではありません。
「人に見られている」意識を持つことが大切なのです。その意識があれば、衣服は決して高級でなくても、常に清潔に保とうと思えるでしょう。ボサボサの寝ぐせ頭ではいけない、と気を付けるようになるでしょう。相手にちょうど良く聞こえる声の大きさや、相手と目を合わせて話す、といったことも考えた上で、相手とコミュニケーションを取るようになるはずです。
相手の心を掴むための表情
第一印象で相手の心を掴むためには、笑顔も重要です。ただし、作り笑いはいけません。これは、往々にして見抜かれてしまいます。見抜かれると、かえって信頼できそうにない人間と思われかねません。では、どうしたら良いかというと、日頃からポジティブな思考を身に付ける練習をすることです。
仕事をしていて、締切まで残り一時間だとします。とても忙しいあなたは、このとき、どう考えるでしょうか。「あと一時間しか無い」と、焦ったり、苛立ってはいませんか?そうではなく、「あと一時間もある」と考える癖を付けるようにしてみましょう。この練習を続けていると、いわゆるポジティブシンキングな人間になれます。
ポジティブな人は、いつも機嫌が良いです。どんなときにも明るく、誰かと会って話すときにも常にワクワクできます。すると、表情も自然と笑顔になるものです。
話すという行為の前に、「この人と話したい」と相手に思ってもらえるかが大切です。笑顔をたやさない人には、好感を持てます。場に、話しやすい空気も生まれます。そして、相手は「いっしょに話がしたい」と思うことでしょう。特に人の上に立つ人にとってとても大切なことです。
第一印象UPへの早道
ポジティブシンキングを身に付けるためには、ある程度の練習期間が必要になります。一朝一夕では、なかなか難しいところでもあります。
では、「手っ取り早く第一印象を良くしたい!」と思われる方に、良い方法をお伝えします。
ある民間企業の営業部門では、社員同士が写真や動画を撮り合って、写真映りや動画を見て受けた印象や感想を言い合っています。これは、見た目の印象をUPするトレーニングです。
誰かに撮ってもらわなくても、今はスマートフォンで簡単に、いわゆる「自撮り」ができます。日々を過ごしていると喜怒哀楽、様々な感情が起こりますが、その時々に、ぜひ自撮りをしてみてください。ご自身の印象を、客観的に確認することができます。
Profile
美月あきこ(みづき・あきこ)
大学卒業後、国際線客室乗務員として17年間国際線に乗務。人財育成トレーナーとして接客研修・コンサルティング業務に携わる。著書にベストセラーとなった『ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣』『1分でうちとけ30分以上会話が続く話し方』『15秒で口説く エレベーターピッチの達人』など、韓国、中国、台湾、シンガポールなどで翻訳語版を多数出版。AllAboutビジネスマナーガイド。日本経済新聞『マナーのツボ』連載。