絶対満足できる!新しい英語授業

菅正隆

新教育課程実践講座Ⅰ 絶対満足できる!新しい英語授業[最終回]小学校から中学校に英語指導を円滑に引き継ぐ! 中学校で「英語嫌い」を量産しないために、小中で何をすべきか

トピック教育課題

2020.01.05

新教育課程実践講座Ⅰ
絶対満足できる!新しい英語授業

[最終回]小学校から中学校に英語指導を円滑に引き継ぐ!
中学校で「英語嫌い」を量産しないために、小中で何をすべきか

大阪樟蔭女子大学教授 菅 正隆

『リーダーズ・ライブラリ』Vol.12 2019年4月

1.教材・教具を考える

(1)「書く」ための英語4線譜の在り方

 小学校5、6年で行われる「書くこと」においては、4線譜(英語ノート)を利用して文字や英文を書くことになる。その際、4線はどのようなものを使用するのが効果的か考えてみる。以下の4線譜をご覧いただきたい。

 ①は、現在、小学校で使用されている“We Can!”の4線である。線と線との間隔は、上から5:9:5の割合であり、2線目と3線目の間が極端に広く、他の約2倍もの広さがある。これが、すこぶる評判が悪い。全国の小学校教員、管理職の方々、中学校英語教員、そして、大学の教員からも「使わない方がよい」とまで言われている。確かに、子供たちはこれを使用することで、バランスの悪い、不細工な文字を書いてしまう。それは、①の4線を使って書いた文字を見れば明らかである。大文字のAがロケットのようになり、小文字のhはnと区別がはっきりせず、yにいたっては、まるで水を集める「じょうご」状態である。ところが、線に沿わずに文字をバランスよく書けばよいと言う人がいるが、子供たちは文字を書くことに慣れておらず、線を指標として書くことに精一杯である。したがって、多くの小学校では、中学校で使用している等間隔の4線を拡大して、「書く」指導をしている。これにより、中学校とも連携が図られ、しかも、子供たちはバランスのよい文字を書くことができるのである。

 したがって、この5:9:5の割合の4線譜は極力使用させないほうがよいのである。中学校と連携も図れず、しかも、歪んだ文字に慣れることは、中学校での英語指導にも課題を残す。たかが文字と言うなかれ。文字指導の基礎・基本でつまずかせては、将来、今以上に必要性が増す英語運用能力に禍根を残すことにもなりかねない。

 また、②は2線目と3線目の間を若干広げた4:5:4や5:6:5などの4線譜である。これはGやdなど、特に丸い部分のある文字を書きやすくさせる配慮からである。文字のバランスも、等間隔の4線で書いた文字とさほど違いがなく、小学校で初めて文字を書くことの精神的な抵抗感を下げることにもつながり、効果的である。中学校で使用する等間隔の4線譜へ無理なくつなげるための過渡期としての4線と考えれば、使用することはよいことである。

 そして、③は、中学校で使用している等間隔の4線譜である。それをそのまま小学校の高学年に使用するためには、全ての線の間隔を広げるために、拡大して使用することである。

 一方、小学校の先生方に4線譜のノートについて尋ねられた場合には、次のノートをお薦めしている。それは、書くことへの抵抗感を感じさせない作りとなっているからである。

株)サクラクレパスの学習帳

 「サクラ学習帳英習罫8段エレファント」
 「サクラ学習帳英習罫10段ライオン」
 子供の状況を踏まえ、線と線との幅が広い8段か、狭めの10段かを選択して使用させる。

 

(2)ピクチャーカードとフラッシュカードの連携

 小学校と中学校の英語教育において、語彙指導で重要なアイテムとなっているものが小学校ではピクチャーカード(絵カード)、中学校ではフラッシュカードである。小学校では手作りのものから市販のものまでさまざまな種類のものが使われている。また、中学校においても、手作りのものから教科書準拠のものまでさまざまなものが使われている。そこで、それらはどのようなものを使用するべきであろうか、学年ごとに考えてみる。

①小学校(低、中学年)

 英語導入当初は、極力、イラストのみのピクチャーカードを使いたい。これは、子供たちが文字に気を取られないようにし、イラストと英語の音とが結びつくようにするためである。また、英語の学習が2、3年目からは、イラストの下に意味を表す英文字が小さく示されているものを使う。これは、英語の音にも慣れてきた子供たちに、音から文字へと徐々につなげていくためのものである。大きな文字のあるピクチャーカードでは、音の習得過程にある子供たちにとって、音よりも文字に気が取られ、音がインプットしづらくなりかねないからである。

②小学校(高学年)

 英語の授業も3年目となり、知的好奇心も増す学年となり、イラストのみのピクチャーカードでは真剣に学ぼうとしない子供も出てくる。そのために、イラストと文字の大きさを同程度としたり、文字の方を大きくしたりと、さまざまな工夫をしてピクチャーカードを利用することである。もちろん、子供の状況によっては、イラストが全くないフラッシュカードを利用することも考えられる。今後、高学年は教科「外国語」となることから、子供たちには教科書が配布され、教員にはそれを指導するための教師用指導書やピクチャーカード、音声CDなどの周辺教材が配布されることになる。しかし、この周辺教材は各市町村の経費で賄われているため、財政格差によっては、教員に1冊ずつ指導書が配布される学校から、学年に1冊しか配布されない学校までさまざまである。これが、指導に支障を来すことも考えられることから、管理職の方々は、教育委員会に現状を伝え、十分な確保を依頼する必要がある。

③中学校(1年)

 中学校入学当初には、イラストのないフラッシュカードを一気に使うのではなく、小学校での指導を踏まえ、イラストが小さく入ったピクチャーカードを使うことから始めたい。これは、中学校に入り、「英語=難しい」というイメージを抱かさないためでもある。これを使い、小学校と中学校との段差を無くし、ソフトランディングしたいものである。

④中学校(2、3年)

 2年生からは、イラストは知的に幼い感じがすることから、文字のみのフラッシュカードを使って指導することが重要である。

この記事をシェアする

  • Facebook
  • LINE

特集:新教育課程に向けたチェック&アクション

リーダーズ・ライブラリVol.12

2019/04 発売

ご購入はこちら

すぐに役立つコンテンツが満載!

ライブラリ・シリーズの次回配本など
いち早く情報をキャッチ!

無料のメルマガ会員募集中

関連記事

すぐに役立つコンテンツが満載!

ライブラリ・シリーズの次回配本など
いち早く情報をキャッチ!

無料のメルマガ会員募集中

菅正隆

菅正隆

大阪樟蔭女子大学教授

岩手県北上市生まれ。大阪府立高校教諭、大阪府教育委員会指導主事、大阪府教育センター主任指導主事、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官並びに国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官を経て現職。調査官時代には小学校外国語活動の導入、学習指導要領作成等を行う。

閉じる