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教職 その働き方を考える

高野敬三

教職 その働き方を考える[第8回]外部人材の活用

NEWトピック教育課題

2019.10.28

教職 その働き方を考える
[第8回]外部人材の活用

明海大学副学長 高野敬三

『リーダーズ・ライブラリ』Vol.8 2018年11月

●本稿のめあて●
学校には、教員、事務職員のほか、いわゆる外部からの人材が導入されて教育指導等に当たっているケースがあります。今回は、この「外部人材」についての実態と今後求められる外部人材を明らかにします。

外部人材

 学校における児童生徒に対する教育については、すぐれて、教員がその任をまかされてきました。しかしながら、かねてから教員の教育指導を補完する形で、ゲストティーチャーとして、斯界の専門家と呼ばれる地域の方々などを学校に招聘して教育の充実を図ることもありました。こうした取組は、予算や学校における年間指導計画の関係、さらに言えば、実施に至るまでの事務的な業務の関係から、単発的とならざるを得ない状況がありました。こうした中、平成10年12月及び平成11年3月に告示された学習指導要領で、「総合的な学習の時間」が創設され、その目標である「変化の激しい社会に対応して、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること」を達成しようと、各学校では、多彩な外部人材を学校に導入する取組を展開するようになりました。

多彩な外部人材

 それでは、外部人材といっても、どのような方々が外部人材として活躍されているのでしょうか。外部人材は大きく、学校の授業等の教育指導に当たる方々、児童生徒等の健全育成に当たる方々に大別されるかと思います。

(1)授業等の教育指導に当たる外部人材

 教育職員免許法上、当該教科の教員免許を取得している者のみが授業を行うことができることになっているため、こうした外部人材の方々はティーム・ティーチングといった協働授業の形態で、免許を持つ教員とともに授業に当たります。その最たる例が、自治体が時間単価で契約して導入したALTと呼ばれる外国語(英語)のネイティブの方々です。日本人の英語の教員とともに、教室内で、発音のモデルを行ったり、児童生徒の英語によるコミュニケーション活動のサポートをしています。次に、実際の授業とは少し異なりますが、大学生や退職教員などが理科等の授業での観察や実験の充実を図るため導入されているのが、観察実験アシスタントです。理科等の授業では、観察や実験を通して児童生徒に理科的な考え方を教えることが大切でありますが、特に理科の先生方は、授業前に観察実験の準備に多くの時間がかかることから導入されたものです。

 さらに、教育課程に位置付けられたものではないのですが、多くの学校で導入されていたものの代表としては、部活動に関する外部人材がいます。この部活動に従事する外部人材については、これまで、事故等が発生した場合、その責任の所在が不明確であり様々な課題が大きかったことから、国は、学校教育法施行規則の一部を改正して、平成29年4月に部活動指導員という名称で制度化しました。そして、その職務を実技指導、大会・練習試合等の引率などと明文化しました。

(2)児童生徒等の健全育成に当たる外部人材

 国が平成7年度に制度化して順次拡大してきているものとして、スクールカウンセラーがいます。近年のいじめの深刻化や不登校児童生徒の増加などに対応するため、臨床心理に専門的な知識・経験を有する学校外の専門家をスクールカウンセラーとして積極的に活用して一定の成果を上げてきました。その後、国は、平成20年度には、スクールカウンセラーの配置に加えて、児童生徒の生活指導上の課題、児童生徒の心の在り様と関わる様々な問題が生じていることを背景として、児童生徒や保護者の抱える悩みを受け止め、学校におけるカウンセリング機能の充実を図るため学校、家庭、専門機関相互の連携を通して解決を図ることを目的に、スクールソーシャルワーカーを導入しました。こうした方々は、関係機関等とのネットワークを活用したりするなど、多様な支援方法を用いて、課題解決への対応を図っています。

 この他にも、特別支援学校における介護やキャリア教育の充実のためなどの外部人材など、各自治体は、じつに多くの外部人材を学校現場に派遣する単独事業を行っています。

今後求められる外部人材

 国が毎年度実施している、学校における情報化に関する実態調査等において、授業におけるICT活用をサポートしてくれる人材が必要であるとの回答が、小中学校、高等学校とも非常に多い結果となっています。現在、国は調査研究を行っている段階ですが、今後、こうしたニーズに対応するとともに、小学校におけるプログラミング学習の開始などを踏まえると、自治体の単独事業としてではなく、学校における外部のICT人材(ICT支援員)の制度を早急に確立することが国としての責務と言えます。

チーム学校答申の早期の具現化と多忙化への対応

 平成27年12月21日に答申のあった「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」においては、子供と向き合う時間の確保等のための体制を整備することが求められました。そして、専門性に基づくチーム体制の構築を提唱し、その中で、教員以外の専門スタッフの参画を求めています。具体的には、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの法令上の位置付け、学校司書の配置の充実、部活動指導員の法令上の位置付け、医療的ケアの必要な児童生徒に対応するための看護師等の配置の促進をあげています。前述のとおり、部活動指導員については法令化されましたが、それ以外は未着手の状況です。

 また、平成29年12月26日に文部科学省から出された「学校における働き方改革に関する緊急対策」を具現化するためにも、多角的視野から学校における外部人材の一層の活用を図ることができるように国として財源を確保することが望まれます。このことに加えて、各学校が外部人材を活用するに当たって、自治体ごとに人材バンクを創設することが急務であると言えます。

 

Profile
明海大学副学長
高野敬三

たかの・けいぞう 昭和29年新潟県生まれ。東京都立京橋高校教諭、東京都教育庁指導部高等学校教育指導課長、都立飛鳥高等学校長、東京都教育庁指導部長、東京都教育監・東京都教職員研修センター所長を歴任。平成27年から明海大学教授(教職課程担当)、平成28年度から現職、平成30年より明海大学外国語学部長、明海大学教職課程センター長、明海大学地域学校教育センター長を兼ねる。「不登校に関する調査研究協力者会議」委員、「教職課程コアカリキュラムの在り方に関する検討会議」委員、「中央教育審議会教員養成部会」委員(以上、文部科学省)を歴任。

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