スクールリーダーの資料室 小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)〈抜粋〉

トピック教育課題

2019.09.03

3.指導要録の主な改善点について

 指導要録の改善点は以下に示すほか、別紙1から別紙3まで及び参考様式に示すとおりであること。設置者や各学校においては、それらを参考に指導要録の様式の設定や作成に当たることが求められること。

(1)小学校及び特別支援学校(視覚障害、聴覚障害、肢体不自由又は病弱)小学部における「外国語活動の記録」については、従来、観点別に設けていた文章記述欄を一本化した上で、評価の観点に即して、児童の学習状況に顕著な事項がある場合にその特徴を記入することとしたこと。

(2)高等学校及び特別支援学校(視覚障害、聴覚障害、肢体不自由又は病弱)高等部における「各教科・科目等の学習の記録」については、観点別学習状況の評価を充実する観点から、各教科・科目の観点別学習状況を記載することとしたこと。

(3)高等学校及び特別支援学校(視覚障害、聴覚障害、肢体不自由又は病弱)高等部における「特別活動の記録」については、教師の勤務負担軽減を図り、観点別学習状況の評価を充実する観点から、文章記述を改め、各学校が設定した観点を記入した上で、各活動・学校行事ごとに、評価の観点に照らして十分満足できる活動の状況にあると判断される場合に、〇印を記入することとしたこと。

(4)特別支援学校(知的障害)各教科については、特別支援学校の新学習指導要領において、小・中・高等学校等との学びの連続性を重視する観点から小・中・高等学校の各教科と同様に育成を目指す資質・能力の三つの柱で目標及び内容が整理されたことを踏まえ、その学習評価においても観点別学習状況を踏まえて文章記述を行うこととしたこと。

(5)教師の勤務負担軽減の観点から、【1】「総合所見及び指導上参考となる諸事項」については、要点を箇条書きとするなど、その記載事項を必要最小限にとどめるとともに、【2】通級による指導を受けている児童生徒について、個別の指導計画を作成しており、通級による指導に関して記載すべき事項が当該指導計画に記載されている場合には、その写しを指導要録の様式に添付することをもって指導要録への記入に替えることも可能とするなど、その記述の簡素化を図ることとしたこと。

4.学習評価の円滑な実施に向けた取組について

(1)各学校においては、教師の勤務負担軽減を図りながら学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう、学校全体としての組織的かつ計画的な取組を行うことが重要であること。具体的には、例えば以下の取組が考えられること。

・評価規準や評価方法を事前に教師同士で検討し明確化することや評価に関する実践事例を蓄積し共有すること。

・評価結果の検討等を通じて評価に関する教師の力量の向上を図ること。

・教務主任や研究主任を中心として学年会や教科等部会等の校内組織を活用すること。

(2)学習評価については、日々の授業の中で児童生徒の学習状況を適宜把握して指導の改善に生かすことに重点を置くことが重要であること。したがって観点別学習状況の評価の記録に用いる評価については、毎回の授業ではなく原則として単元や題材など内容や時間のまとまりごとに、それぞれの実現状況を把握できる段階で行うなど、その場面を精選することが重要であること。

(3)観点別学習状況の評価になじまず個人内評価の対象となるものについては、児童生徒が学習したことの意義や価値を実感できるよう、日々の教育活動等の中で児童生徒に伝えることが重要であること。特に「学びに向かう力、人間性等」のうち「感性や思いやり」など児童生徒一人一人のよい点や可能性、進歩の状況などを積極的に評価し児童生徒に伝えることが重要であること。

(4)言語能力、情報活用能力や問題発見・解決能力など教科等横断的な視点で育成を目指すこととされた資質・能力は、各教科等における「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」の評価に反映することとし、各教科等の学習の文脈の中で、これらの資質・能力が横断的に育成・発揮されることが重要であること。

(5)学習評価の方針を事前に児童生徒と共有する場面を必要に応じて設けることは、学習評価の妥当性や信頼性を高めるとともに、児童生徒自身に学習の見通しをもたせる上で重要であること。その際、児童生徒の発達の段階等を踏まえ、適切な工夫が求められること。

(6)全国学力・学習状況調査や高校生のための学びの基礎診断の認定を受けた測定ツールなどの外部試験や検定等の結果は、児童生徒の学習状況を把握するために用いることで、教師が自らの評価を補完したり、必要に応じて修正したりしていく上で重要であること。

 このような外部試験や検定等の結果の利用に際しては、それらが学習指導要領に示す目標に準拠したものでない場合や、学習指導要領に示す各教科の内容を網羅的に扱うものではない場合があることから、これらの結果は教師が行う学習評価の補完材料であることに十分留意が必要であること。

(7)法令に基づく文書である指導要録について、書面の作成、保存、送付を情報通信技術を用いて行うことは現行の制度上も可能であり、その活用を通して指導要録等に係る事務の改善を推進することが重要であること。特に、統合型校務支援システムの整備により文章記述欄などの記載事項が共通する指導要録といわゆる通知表のデータの連動を図ることは教師の勤務負担軽減に不可欠であり、設置者等においては統合型校務支援システムの導入を積極的に推進すること。仮に統合型校務支援システムの整備が直ちに困難な場合であっても、校務用端末を利用して指導要録等に係る事務を電磁的に処理することも効率的であること。

 これらの方法によらない場合であっても、域内の学校が定めるいわゆる通知表の記載事項が、当該学校の設置者が様式を定める指導要録の「指導に関する記録」に記載する事項を全て満たす場合には、設置者の判断により、指導要録の様式を通知表の様式と共通のものとすることが現行の制度上も可能であること。その際、例えば次のような工夫が考えられるが、様式を共通のものとする際には、指導要録と通知表のそれぞれの役割を踏まえることも重要であること。

・通知表に、学期ごとの学習評価の結果の記録に加え、年度末の評価結果を追記することとすること。

・通知表の文章記述の評価について、指導要録と同様に、学期ごとにではなく年間を通じた学習状況をまとめて記載することとすること。

・指導要録の「指導に関する記録」の様式を、通知表と同様に学年ごとに記録する様式とすること。

(8)今後、国においても学習評価の参考となる資料を作成することとしているが、都道府県教育委員会等においても、学習評価に関する研究を進め、学習評価に関する参考となる資料を示すとともに、具体的な事例の収集・提示を行うことが重要であること。特に高等学校については、今般の指導要録の改善において、観点別学習状況の評価が一層重視されたこと等を踏まえ、教員研修の充実など学習評価の改善に向けた取組に一層、重点を置くことが求められること。国が作成する高等学校の参考資料についても、例えば、定期考査や実技など現在の高等学校で取り組んでいる学習評価の場面で活用可能な事例を盛り込むなど、高等学校の実態や教師の勤務負担軽減に配慮しつつ学習評価の充実を図ることを可能とする内容とする予定であること。(以下、略)



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