【図書案内】『2019年改訂 速解 新指導要録と「資質・能力」を育む評価』(ぎょうせい、2019年)
トピック教育課題
2019.08.09
『2019年改訂 速解 新指導要録と「資質・能力」を育む評価』(ぎょうせい、2019年)
「はじめに」より
「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」の解説書
平成28年12月の中央教育審議会答申、平成29年3月の学習指導要領の改訂を受けて、中教審の教育課程部会の中に、「児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ」が設置された。本書は、その審議を経て取りまとめられた「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」(平成31年1月21日)のポイントを平易に解説し、さらに各教科等での評価方法を具体的に示したものである。
ワーキンググループで改めて問われた「評価の在り方」
ワーキンググループの審議においては、指導要録の改訂についてはもちろんのこと、評価の在り方について基本に立ち返った議論がかなりなされた。学校教育では何をどう育てるのか、評価の目的や機能は何かといったことである。もちろん、その基礎になるのは、学校教育法、中教審答申、新学習指導要領などであるが、その理念を実現させるためにも、学習プロセスにおける形成的評価や、知識・技能のみならず思考・判断・表現、学びに向かう力などを多面的に評価していくことの重要性が再確認された。
「指導要録の変化」の重要ポイント
結果的に、指導要録上の大きな変化としては、観点別評価が4観点から3観点に整理されたこと、高校にも観点別評価を導入すること、「関心・意欲・態度」という観点が「主体的に学習に取り組む態度」となったことなどがある。とくに、主体的に学習に取り組む態度については、学習の「自己調整」という視点が強調されている。問題は、これらをどのように具現化し、日常的な学習改善、授業改善にも結び付けていくかということになる。
カリキュラム・マネジメントが強調される今、教育のPDCAサイクルにおける評価の重要性を再確認し、有効な評価を実現するために、本書を参考にして実践に活かしていただけることを執筆者一同、切に願っている。
編者 市川伸一(東京大学大学院客員教授、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会 児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ主査)
市川伸一(いちかわ・しんいち)
1953年生まれ。77年東京大学文学部心理学専修課程卒業。80年同大学院博士課程中退(心理学専攻)。88年文学博士。埼玉大学、東京工業大学を経て、94年より東京大学助教授、教授。2019年4月現在、東京大学大学院客員教授。中央教育審議会初等中等教育分科会委員、同学習評価ワーキンググループ主査。今次学習指導要領改訂の中心的存在として、改訂作業から学習評価の策定までに関わった。