ミドルリーダーが創るこれからの学校
ミドルリーダーが創るこれからの学校 第9回 スクールリーダーの「学びの場」をつくる
トピック教育課題
2019.07.12
スクールリーダー・フォーラムの特徴
さて、スクールリーダー・フォーラム自体は1日の大会であるが、単発の行事ではなく年間を通じて連携協力の取組みを重ねる。フォーラムの準備のために企画会議や意思疎通のための連絡調整はほぼ年間を通して行われる。事例報告校に対しては大学教員や指導主事が学校訪問をし、必要に応じて連絡調整、意見交換、助言指導が行われる。フォーラムの報告者は「原稿執筆要領」に沿って事前に論稿を提出することを求められるが、関係する三組織の企画委員が原稿を校訂し、報告者との意見交換・調整がなされ、完成稿となる。
提出された原稿は編集されて、フォーラムの報告書、冊子として刊行される。報告書はダイレクト印刷で平均130頁、1,200冊刊行され、冊子はカラー印刷で平均24頁、5,000部刊行される。これらは関係する教育委員会・教育センターを通して小学校・中学校・高校、(特別)支援学校などに配布される。また、大学を通して研究者、学会、大学に配布される。近年になると、参加者がフォーラムの当日だけではなく事前および事後にも学習できるよう一連のしかけを組み込んで、「読む・書く」と「語る・聴く」をクロスさせた学習活動を期待している。
フォーラムでは学校教職員・教育行政職員・教育研究者の三者が「同じ土俵」に上がり、学校づくりおよびスクールリーダー教育の理論・政策・実践を総合的かつ多元的に研究協議してきた。学校づくりの実践が複数報告され、それを基に実践方策だけでなく政策分析や理論的視野から研究協議してきた。これを通して、報告者はもちろん参加者は気づきと発見、刺激と元気を得てきた。フォーラムは教育関係者が実践の手がかりを得ると共に、その成果を教育研究や教育政策に反映させる契機となるよう工夫してきた。そして、スクールリーダーは実践を協働して省察する中で、明日への見通しを獲得し、教職アイデンティティを再構成していくのである。
第16回フォーラムの案内は大阪教育大学HPに10月中旬掲載される予定である。大阪府内のスクールリーダーが主対象であるが、他県のスクールリーダーも限定的に受け入れている。参加希望者は、申し込んでみてください。
日時 2016(平成28)年11月12日(土)
場所 大阪教育大学 天王寺キャンパス中央館
定員 スクールリーダー 84名
Profile
大阪教育大学連合教職大学院教授
大脇康弘
おおわき・やすひろ 教育経営学・教師教育学専攻。大学・教育委員会の連携事業としてスクールリーダー・フォーラム事業を組織し、日本教育経営学会実践研究賞を受賞。『学校をエンパワーメントする評価』『「東アジア的教師」の今』『学校を変える授業を創る』など。