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ミドルリーダーが創るこれからの学校

大脇康弘

ミドルリーダーが創るこれからの学校 第11回 課題共有型チーム形成

NEWトピック教育課題

2019.07.23

ミドルリーダーが創るこれからの学校

第11回 課題共有型チーム形成
『新教育課程ライブラリ Vol.11』2016年11月

チーム形成のイメージ

 連載第10回を受けて、学校のチーム形成について考えてみよう。学年・教科・分掌単位のチーム、学校全体としてのチーム、さらに、学校教職員と専門人材・ボランティアが協働する「チームとしての学校」など、多様な単位・レベルで構想できるが、ここでは学年・教科・分掌単位のチーム、学校全体のチームについて考える。

 まず、チーム形成をどのようなイメージで考えるか。チームリーダーからすれば、チームの現状と課題を見定めて目標・活動を構想し、メンバーと意見交換しつつ同調調達して、チームの目標を設定し計画を具体化していく。その時々のチームの課題に対処し人間関係を円滑にして、組織の目標を達成するよう取り組んでいく。

 チームリーダーは、個別多様なメンバーを組織目標と人間関係の軸で調整し巻き込みながらチームを組織していく。この場合、学校の問題状況や領域課題に応じて必要なリーダーシップ・スタイルは異なる。一般には連絡調整型リーダーとして行動するが、生徒指導や研究推進の領域では牽引型リーダーとして企画展開し、問題解決に強力に取り組むことも少なくない。

 2004年以降は組織マネジメントの思想と方法が学校に導入され、ミドルリーダーはPDCAサイクル(計画・実施・評価・更新サイクル)、目標管理法(MBO)をふまえて行動し、メンバーを積極的に組織することが期待されてくる。

 松尾睦著『成長する管理職』(東洋経済新報社、2013年)によれば、企業経営では課長級のミドルリーダーは、目標共有力、情報分析力、事業実行力の三つの能力が求められるとし、目標共有力は、①自分が管理する部門で理念や目標を浸透させ巻き込む力、②組織の将来ビジョンや自らの方針を明確に定める力、③新しい方向性を示し、率先垂範する力から構成されるとする。

 企業経営ではこの明確なリーダー行動を取ることが必須である。しかし、この組織マネジメントを学校に応用するには、いくつかの超えるべき障壁がある。学校では牽引型リーダーシップは、リーダーのキャリア・能力・人柄が揃ってはじめて教師に受容される。一般には、この積極的なリーダー行動は教師に冷ややかに受け止められるか、あるいはそれに依存されるかであろう。それはなぜだろうか。

教師の同僚性を基盤にした水平的協働

 この組織マネジメントとは異なる立場から、学校組織の特性をふまえて教師の同僚性と協働性を基盤にして「学校の内発的改善力を高める組織開発論」が提起され実践されている。鳴門教育大学の佐古秀一教授が組織開発モデル(以下、佐古モデルと略)を構築し、現職教員院生が勤務校で実践して検証し、モデルの再構成を図ってきた。この佐古モデルのキーワードは、「学校の内発的改善力を高める」「教育課題を生成する」「価値的目標を形成する」組織開発である。

 佐古の問題意識の起点は、学校の個業性を縮減し、教師の自律性と学校の協働性を高めることにある。学校の組織特性は「教育活動における不確定性に由来する組織」「教員の裁量性に依存した組織」「個業性を備えた組織」「慣例主義・前例主義的な組織」「学校としての共通目標に曖昧さをもった組織」という5点である。

 この学校組織は個業化に傾くと、学級崩壊などの問題に対処できないだけでなく、学校の組織力を発揮することができないので、この個業化を縮減し学校の内発的改善力を高めることが課題となる。そのためには、教師の自律性を高めると共に学校の協働化を併せて促進していくことが基本となる。その方略として、教師が「実態認識→課題生成→実践展開」という良循環サイクルを、個人レベルで廻すと共に集団レベルで共有し連携していくことを基本に据える。そして、そのサイクルを支える学校の組織形態として、コア・システムとプロセス・ファシリテート・チーム(PFチーム)を提起するのである。

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大脇康弘

大脇康弘

大阪教育大学連合教職大学院教授

教育経営学・教師教育学専攻。大学・教育委員会の連携事業としてスクールリーダー・フォーラム事業を組織し、日本教育経営学会実践研究賞を受賞。『学校をエンパワーメントする評価』『「東アジア的教師」の今』『学校を変える授業を創る』など。

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