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ミドルリーダーが創るこれからの学校

大脇康弘

ミドルリーダーが創るこれからの学校 第11回 課題共有型チーム形成

NEWトピック教育課題

2019.07.23

課題共有から課題解決へ向かうチーム

 佐古モデルの特徴は、教育実践を個人的振り返りと共に集団的に省察し、漸進的に組織開発を進めるが、その初期段階で「課題生成・共有」のための短期集中的な取組みを徹底的に行い「好循環サイクル(元気サイクル)」を生み出す点にある。 例えば、佐古秀一・中川桂子(日本教育経営学会紀要 No.47、2005年)の実践報告でみてみよう。

 事例校は、児童数200名、教師数20名弱の小規模校であるが、佐古モデルを導入する段階で、全教師が学級ごとの子どもの実態と教員の問題意識を記述する「教室のカルテ」を作成する。これを基に教師間の実態認識を交流し共有することを基礎に、学校の課題を生成し共有し、実践展開を図るのである。この佐古モデル(学校変革プログラム)を導入実施する過程で、教員は①協力姿勢、②不安・批判の顕在化、③生成された学校課題案の拒否と再設定という段階を経る。これは4月にモデル導入して、5月~6月には全体会を10回も毎週1回以上重ねた中での出来事である。

 教師はこうした取組み、すなわち、自己の学級づくり・授業づくりの実践をレポートすること、他教員に公開すること、それを基に教師集団で討議すること、そして、学校の課題を見出してまとめていくことの大切さは認識しても、いずれの経験もあまりなく、抵抗感も強い。この一連の取組みを担い支援するものとして、コア・システムとプロセス・ファシリテート・チーム(PFチーム)を独自に設ける。コア・システムは全体研修会や学年研修会など、教員が対等に研究協議する場である。そこで交流された情報や意見を整理・集約しフィードバックするために、教頭、教務主任、研究主任、養護教諭、研究者からなるPFチームが独自に設定されている。教師の同僚性に基づく水平的協働性を基盤に、それをファシリテートするところに独自性がある。通常、スクールリーダーは学校の企画立案と組織づくりを表舞台で牽引するのに対して、ここでは促進支援役に止まり、教師の自律性・同僚性を高めることを優先している。

 この初期段階を効果的に通過することは容易くないが、その後は教師の同僚性・協働性がスイッチオンされ、「実態認識→課題生成→実践展開」という良循環サイクルが生み出されるのである。この点、時間をかけて論議されるが、具体的なビジョンや方針がまとめられず、現状を微修正する取組みに陥るという陥穽を回避できる。その意味で、この「学校の内発的改善力を高める組織開発論」は十分検討されるべきである。

 

Profile
大阪教育大学連合教職大学院教授
大脇康弘
おおわき・やすひろ 教育経営学・教師教育学専攻。大学・教育委員会の連携事業としてスクールリーダー・フォーラム事業を組織し、日本教育経営学会実践研究賞を受賞。『学校をエンパワーメントする評価』『「東アジア的教師」の今』『学校を変える授業を創る』など。

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大阪教育大学連合教職大学院教授

教育経営学・教師教育学専攻。大学・教育委員会の連携事業としてスクールリーダー・フォーラム事業を組織し、日本教育経営学会実践研究賞を受賞。『学校をエンパワーメントする評価』『「東アジア的教師」の今』『学校を変える授業を創る』など。

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