【リレー連載】「自治体×デジタル」を考える 東西南北デジデジ日記

千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

東西南北デジデジ日記 最終回 今週の担当:【南】今村寛 ◆【自治体DX】デジタル分野のゴール設定って?④

地方自治

2023.03.30

身近な疑問や切り口で「自治体×デジタル」を考える、執筆者4人によるリレー連載は、今回で最終回です。「デジタル分野のゴールはどこだ!?」をテーマに、執筆陣による最後の鼓舞激励です! これからも自治体DXの推進に向けて、がんばっていきましょう!

―――――2023年3月30日 Thu.―――――――

 

今日でお別れ

2021年の10月にスタートしたおじさん4人の交換日記も今回が最終回です。

自治体DXという言葉がもてはやされ始め、けどなんか難しそうだな、ついていけるかなという気後れ感を持つ自治体職員が多数いる中、DX界隈の難しそうな話題をあえてゆるーく語り合うリレー連載として始まったこの企画ですが、とても楽しゅうございました。

私ひとりがDX門外漢という立ち位置や、先行3人の伏線を回収するしんがりとしての役割もですが、山形さん、千葉さん、多田さんのお人柄や話題の多彩さにも助けられ、専門家でない私も気兼ねなく一緒に遊んでいただくことができました。

読者の皆さんも私と同じように、職場でのかたーいミッションから離れて、肩の力を抜いて気楽に読める、いい連載記事だったのではないでしょうか。

 

終わりなき旅

最終ターンのお題は「デジタル分野のゴールはどこだ?」ということのようですが、デジタル分野に限らず、すべからく行政の施策には目的があり、その目的を達成できたかどうかを測定する時期があります。

まずは何を目指すのかを定め、そこまでどうやってたどり着くのかを考え、そして、その道のりが少し長い場合に、まずはここまでを目指そう、と一定の時期に到達すべきポイントを定める。
これが行政計画における目標年次ですが、それはゴールではなく通過点。

目指すべき姿への長い道のりに迷わないように、ところどころに到達ポイントを定め、そこに到達したら、道のりの連続性やベクトルを確認しながら次の通過点を定める。目指すべき姿に迷わず向かうための道しるべとなるわけです。

デジタル分野において、2025年までに云々と言っているのもその1つであって、2025年までに何かが成し遂げられるとか、それが成果だなどと言うつもりは国も自治体も毛頭ないのだろうと思います。
この点について千葉さん(vol.71)は「2025年はスタートライン」だと明言しています。

 

朝三暮四になっていないか

しかし、2025年にやっとスタートラインに立ち、まちの目指すべき姿に向かって歩みを進めていくとしても、将来に向かって時間が流れ、まちの現状が変わり、将来に対して抱く夢や希望が変化していけば、目標もまた変化していきますから、目標達成に向けては終わりなき旅が続くことになります。

また、自治体運営は選挙で選ばれる首長や議会によって主導されるため、有権者のウケを意識し一定の期間に目に見える成果を求める傾向があり、すぐには成果が出ないことについて着手を嫌う傾向があります。
その結果、場当たり的なつぎはぎの施策が展開され、総合的な成果を俯瞰しながら取り組むという姿勢に欠ける施策も散見されます。

この点について山形さん(vol.70)は、まちの目指す未来について「ちゃんと考えようよ」と言っています。

 

あんなこといいなできたらいいな

「ドラえもんがつくる未来はありません。
我々がドラえもんをつくり、未来を作り出すのです。」
連載初期に投げかけられた多田さん(vol.14)の金言を思い出しました。

ドラえもんのいる未来の夢を描かない限りはドラえもんを創る科学者は現れません。

今、我々公務員に必要なのは、世知辛く窮屈な、縮小する未来でも、その未来に暮らす住民の視点で夢を描き、その実現に向けて描いたイメージみんなの夢として共有することなのでしょう、と私は以前の記事(vol.16)に書いています。

ゴールは常に終わりなき旅のその先にありますが、それはみんなで共有し、みんなで目指そうと誓い合った夢の世界。

私たち公務員は、住民それぞれが描く夢を可視化し、統合し、住民みんなの夢として共有するお手伝いをするのが仕事です。

そこに向かってみんなで目指す最初の一歩を踏み出すきっかけを作り、みんなの足取りがそろっているか、共有した方向性からのブレはないか、を確認しながら我々公務員が住民の足取りを伴走していく。

どこがゴールで、いつまでにどこまでたどり着くかは、首長や役所が決めることではなく、結局は住民自らの意識と行動にかかっているのだと思います。

 

サヨナラは別れの言葉じゃなくて

山形さん、千葉さん、多田さん、1年半の間おつきあいありがとうございました。
またこの企画を提案し、奇跡のラインナップを引き合わせてくれたぎょうせいの永田さんにも大感謝です。

そして、この連載をご愛顧いただいた全国のデジデジ日記ファンの皆さん。
今回の連載企画はいったん閉幕のようですが、サヨナラは別れの言葉じゃなくて再び逢うまでの遠い約束ということにいたしましょう。

多田さんは、行政における「デジタル分野のゴール」への道は、このデジデジ日記を読んでくださっている方が達成するものだ、と厳しい言葉を遺しています(vol.72)。
この連載を踏まえて皆さんが切ったスタートと、そこで見据えたゴールについてお聞かせいただければ、それを肴にいつかまた4人で語り合いたいと思います。

名残惜しいですが、また逢う日まで。逢える時まで。
1年半の交換日記の最後を締めるにふさわしいオチは用意できませんでしたが、これにてしんがりの御役目御免とさせていただきます。

デジデジ日記、これにて終了です。
皆さんご愛顧ありがとうございました。

〜終〜

 

★2018年12月『自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?』という本を書きました。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885

★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』という本を書きました。
https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20210330-567/

★そのほか、自治体財政の話、対話の話など、日々の雑感をブログに書き留めています。
https://note.com/yumifumi69/

 

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