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指定金融機関とは|最新行政大事典【用語集】

地方自治

2025.04.29

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はじめに

 『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第7章 財政・予算」から、「指定金融機関」を抜粋して、ご紹介したいと思います。

指定金融機関

 指定金融機関とは、自治体が公金の収納、支払の事務を取り扱わせるために指定する金融機関で、議会の議決を経て1つの金融機関を指定される自治235自治令168)。都道府県は指定金融機関を必ず指定しなければならず(自治令168〔1〕)、市町村(特別区を含む)は必要に応じて指定することができる(自治令168〔2〕)。

 指定金融機関は銀行であることが多いが、地方の市町村では信用金庫農業協同組合を指定することもある。指定金融機関となった金融機関は、別途、自治体の長が指定する金融機関を指定代理金融機関に指名することができる(自治令168〔3〕)。さらに、当該自治体に支店を持つ金融機関(ゆうちょ銀行及び代理店業務を行う郵便局の貯金窓口含む)などを収納代理金融機関として収納業務のみを行わせることができる(自治令168〔4〕)。

 一方、指定金融機関を指定しなかった市町村は、収納事務取扱金融機関を指定して対応している(自治令168〔5〕)。金融業態毎に指定金融機関の指定状況をみると、都道府県については9割が県内に本店を有する地方銀行を指定し、市町も半数以上が地方銀行を指定している。また村は半数が農協を指定金融機関に指定している。金融機関は地方自治体の指定金融機関に指定されると、公金の出納事務にかかる資金を扱い、収益を確保された時代が長く続いた。

 しかし、金融緩和の長期化を背景に金融機関が取り扱っている公金収納業務の採算が悪化しており、一部メガバンクは中小自治体の指定金融機関業務及び窓口収納業務から撤退した。これに対応して政府は、令和4(2022)年3月、総務省自治行政局行政課長・自治税務局企画課長連名による通知「指定金融機関等に取り扱わせている公金収納事務に関する費用の取扱い等について」(総行第85号、総税第35号、令和4年3月29日)を発出し、各自治体も前向きな姿勢をみせている。

 この間、政府は令和2(2020)年12月に自治体デジタル化推進計画を策定し、翌令和3(2021)年9月にはデジタル社会形成基本法を施行して行政事務のデジタル化を本格化させている。その一環として公金収納を支えている決済インフラも刷新され、令和5(2023)年に電子交換所を創設し、令和6(2024)年には地方税統一QRコードを導入した。これにより金融機関は、全国どの地方団体の納付書であっても固定資産税・都市計画税・自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)等の収納が窓口で受付け可能となり、自治体と金融機関の関係も変わる可能性が生じている。


*『最新行政大事典』2024年9月より。長谷川 清/著
(有償版は本文に加え、法令へのリンク機能があります)

 

★この記事は「最新行政大事典」より引用しています。
現場に精通した執筆陣が行政用語を簡潔にわかりやすく解説

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