公務員が読みたい今週の3冊
公務員が読みたい今週の3冊【地方自治のしくみ/災害財政/都市法入門】
NEWキャリア
2025.04.29
今週、何読む?
読書の習慣をつけたいと思いながら、まだ始められていない…。
日々読書を嗜んでいるが、そろそろネタ切れ…「次は何を読もうか」検討中。
そんな公務員の方はいませんか?
「公務員なら読んでおきたい」業務に役立つ必携図書や、「公務員の皆様が楽しく読める」おすすめ図書をガバナンス編集部がピックアップ。毎週2~3冊をご紹介します。
「今週読みたい図書」の選定にぜひお役立てください。
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地方自治の入門書の決定版!

図解 よくわかる地方自治のしくみ
第7次改訂版
今井 照・著
学陽書房/2,300円+税
地方自治の仕組みをわかりやすく解説した本書は、入門書の決定版として長年読み継がれてきた。今回の第7次改訂版では、主に2024年の地方自治法改正について新たな項目を設定。さらに、最新の地方自治の動向も意識し内容のブラッシュアップがされている。
具体的には、改正法の「補充的指示権」「指定地域共同活動団体制度」「デジタル化」にまつわる解説に加え、「現在の地域社会の課題」「自治体DX」「大災害への対応」などにも言及。1テーマにつき1見開きで図解がされており、全体像を把握しやすい。また、要点を押さえた説明の中にも、それまでの背景や検討すべき課題について示されているのがうれしいポイントだ。これから地方自治の世界に足を踏み入れる若手職員にもおすすめの一冊。
住民の命を守るための財政担当の備え

災害が起こると、救助活動や被災者支援、ガレキ処理といった事務が次々と自治体に押し寄せる。一時的に膨大な財政負担が発生することは想像できるものの、事業ごとの交付税措置、国庫補助率を問われると、答えに窮する財政課職員も多いのではないだろうか。
財政課の災害対応では、こうした国の負担割合の見極め、翻って自治体の自腹部分の見積もりが肝要となる。本書はそのための制度知識を授ける。随所に著者の金言も光る。
発災時を想像してみてほしい。停電した庁内で必死に資料をかき集め、財政措置を調べる。理解があいまいなために補正予算編成が進まず、支出に踏み切れない。時間ばかりが過ぎていき、まちの被害は拡大していく。
手遅れになる前に、一読いただきたい。
都市法学の成果を未来へつないでいくために

都市法入門
久保茂樹・著
三省堂書店/創英社/2,200円+税
「都市法」という言葉になじみのない人も多いのではないか。比較的最近になって用いられるようになった言葉で、都市計画やまちづくりの問題を、法的な側面から読み解く学問である。もともとは開発事業や建築規制を中心としていたが、最近では空き家問題、災害復興などもテーマとして扱われている。本書はそんな都市法について、成り立ちから現在直面している課題までを網羅的に、また初学者にもわかりやすく解説したものだ。
人口減少を背景とする「都市の縮退」を迎え、これまでの「事業」と「規制」の2手法のみならず、「管理」という新たな視点も求められている。まさに転換期にある都市法のこれまでとこれからを、まちづくりにかかわる多くの人に読んでいただきたい。