プレミアムPOCKET BOOK 伝わる! 信頼される! 「学校だより」のデザイン術 7:3の法則でデザイン
『ライブラリ』シリーズ/特集ダイジェスト
2021.12.01
プレミアムPOCKET BOOK 伝わる! 信頼される! 「学校だより」のデザイン術
7:3の法則でデザイン
佐久間 智之
(『新教育ライブラリ Premier』Vol.3 2021年8月)
人が美しいと感じる比率に「黄金比(1:1.618)」と「白銀比(1:1.414)」がある。特に日本人が美しいと思う比率は白銀比でA4などA規格である。しかし比率を細かく覚えなくとも筆者が編み出した「7:3の法則」で紙面をデザインすることをおすすめする。
人は1秒足らずで情報を判断
駅の看板やポスター、まちなかの掲示物など無数に情報があふれているが、目に留まるポスターや掲示物はどのようなデザインがされているだろうか。
まず、自分に関心があるかないかを判断し、瞬時に「なんだろう」と感じる時間は1秒足らず(0.3秒)と言われている。裏を返せば「1秒足らずで関心をもってもらうデザイン」にしなければ保護者に情報が届かない可能性があるのだ。
上部7割は「見る」・下部3割は「読む」
紙面の上部7割には「見る情報」を入れる。これは画像や写真、イラストを全面に使い注意と関心を引くための手法だ。さらにキャッチコピーやイベントであれば日にちなど、伝えたい優先順位の高いものをこの7割のゾーンに入れる。
残りの下部3割は「読む情報」を入れる。詳細や注意書き、申込方法など読まなければ伝わらない情報を入れていく。また、保護者や児童にとって優先順位が高いとは思われない「後援:教育委員会」などの情報はこの3割のゾーンに入れるべきである。
ここがNG
①パッと見てとっつきにくく、読まないと内容をつかめない。
②伝えたい情報が渋滞している。優先順位が不明瞭。
③画像のメリハリがないので関心をひきつけにくい。
改善ポイント
イラストを7割ゾーンに大胆に配置
目を引くために上部7割に大きくイラストを使用して関心をひきつける。
情報の順序をつける
内容と開催日時など読み手が知りたい情報、つまり優先順位の高いものを上部7割のゾーンに入れる。
読む情報は下部3割に集約する
上部7割で関心をひきつけ、下部3割を読んでもらう。情報の優先順位をつけることが大事だ。
Check
□ 見る情報を上部7割のゾーンに配置しているか
□ 読む情報は下部3割のゾーンに配置しているか
□ 情報の優先順位が読み手目線になっているか
POINT:7:3の法則に向かないもの
文字だけのものや情報が多くなってしまうものについても無理をして7:3の割合を順守する必要はない。通知文書などはレイアウトよりも内容を精査することが大事であり、チラシやポスターには7:3の法則を考慮する。
Profile
佐久間 智之 さくま ともゆき
早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員 厚生労働省年金広報検討会構成員 PRDESIGN JAPAN株式会社代表取締役
1976年生まれ。東京都板橋区出身。埼玉県三芳町で公務員を18年務め税務・介護保険・広報担当を歴任。在職中に独学で広報やデザイン・写真・映像などを学び、全国広報コンクールで内閣総理大臣賞を受賞、自治体広報日本一に導く。「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2019」受賞。2020年に退職し独立。現在は早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員、自治体の広報アドバイザー、厚生労働省年金広報検討会構成員などを務めるほか、企業のサポートをはじめ全国で広報、デザインや人材育成の研修講師として活動。著書に『Officeで簡単!公務員のための1枚デザイン術』『公務員1年目の仕事術』『PowerPointからPR動画まで!公務員の動画作成術』など多数。研修講師の依頼など問い合わせは『https://prdesign-japan.co.jp/service-seminar』まで。