プレミアムPOCKET BOOK 伝わる! 信頼される! 「学校だより」のデザイン術 学習障害の子への配慮UDデジタル教科書体
『ライブラリ』シリーズ/特集ダイジェスト
2021.11.29
プレミアムPOCKET BOOK 伝わる! 信頼される! 「学校だより」のデザイン術
学習障害の子への配慮UDデジタル教科書体
佐久間 智之
(『新教育ライブラリ Premier』Vol.3 2021年8月)
20人に1人の児童が読み書きが苦手な学習障害「ディスレクシア」と言われているのをご存じだろうか。普段子どもたちに配布する連絡通知に使用する書体によって格差が生まれているかもしれないが、その子たちに配慮した「UDデジタル教科書体」を紹介する。
正しい画数で読みやすいUDデジタル教科書体
MSP明朝など一般的な書体では「ハネ」や墨だまりのような「うろこ」があり、ディスレクシアの子たちはそれらを図形として認識してしまうほか、細い書体は「突き刺さる」と感じてしまう。さらに上記「比」という字の左は本来「2画」であるがハネの部分が突き出しているため「3画」と誤認してしまうのだ。これらに配慮がなされたのが「UDデジタル教科書体」であり、Windowsに標準装備されているので、積極的に使用することをおすすめする。
ここがNG
①子どもたちが読むものにもかかわらずディスレクシアの子どもへの配慮が足りない。
②文字が小さすぎて読みにくい。
③紙面のメリハリがなく、表が非常に読みにくく見づらい。
改善ポイント
UDデジタル教科書体を活用する
読みやすく見やすい「UD(ユニバーサルデザイン)フォント」を使い可読性を高める。
フォントにメリハリ
UDデジタル教科書体の細いものと太いもの(Bold)を使い分けることで紙面にメリハリが生まれる。
1行ごとに表内を色分け
白とグレーを1行ごとに配色することで自分がどこを見ているのかが分かりやすくなり、情報の迷子を防ぐ。
Check
□ ディスレクシアの子どもへの配慮を意識しているか
□ UDデジタル教科書体を活用しているか
□ 表内の見やすさへの工夫はなされているか
POINT:GIGAスクール構想・デジタルに対応
UD「デジタル」教科書体の名前のとおり、紙に印刷したものだけはなくタブレットやディスプレイ上などの「デジタルデバイス」でも読みやすい工夫がなされている。
Profile
佐久間 智之 さくま ともゆき
早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員 厚生労働省年金広報検討会構成員 PRDESIGN JAPAN株式会社代表取締役
1976年生まれ。東京都板橋区出身。埼玉県三芳町で公務員を18年務め税務・介護保険・広報担当を歴任。在職中に独学で広報やデザイン・写真・映像などを学び、全国広報コンクールで内閣総理大臣賞を受賞、自治体広報日本一に導く。「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2019」受賞。2020年に退職し独立。現在は早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員、自治体の広報アドバイザー、厚生労働省年金広報検討会構成員などを務めるほか、企業のサポートをはじめ全国で広報、デザインや人材育成の研修講師として活動。著書に『Officeで簡単!公務員のための1枚デザイン術』『公務員1年目の仕事術』『PowerPointからPR動画まで!公務員の動画作成術』など多数。研修講師の依頼など問い合わせは『https://prdesign-japan.co.jp/service-seminar』まで。