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講座 単元を創る

齊藤一弥

講座 単元を創る[第9回]「単元のまとまり」が意味すること

NEW授業づくりと評価

2020.04.01

講座 単元を創る
[第9回]「単元のまとまり」が意味すること

島根県立大学教授
高知県教育委員会事務局学力向上総括専門官
齊藤一弥

『学校教育・実践ライブラリ』Vol.9 2020年1月

■ summary ■
新学習指導要領では、単元のまとまりを意識した学びづくりが重視されている。教科目標の柱書の主旨を踏まえ、見方・考え方を働かせた学習活動の充実へ、単位時間の枠を超えて単元でいかに学びを構成していくかが問われる。

見方・考え方を働かせた学習活動のまとまり

 これまでに、新学習指導要領に基づく資質・能力ベイスの授業づくりには、教科目標の柱書で示された主旨の実現が重要であることを確認してきた。この実現に向けて新学習指導要領の総則においては、学校の創意工夫を活かしながら調和のとれた具体的な指導計画の作成が欠かせないと指摘されている。特に、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら、そのまとめ方や重点の置き方を工夫することで主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を進めて、資質・能力を育む指導を充実させることが強調されている。また、そのために教科等や学年相互間の関連を図り系統的かつ発展的な指導をすることや子供の成長を考慮した効果的・段階的な指導、そして指導内容の関連性等を踏まえた合科的・関連的な指導に取り組むことも重視されている。これらから、新学習指導要領の主旨実現へ向けた指導計画の在り方を問う必要を読み取ることができる。

 この中で注目したいことの一つが「単元や題材など内容や時間のまとまりを見通す」ということである。資質・能力ベイスの学びづくりに向けて、なぜ「単元のまとまり」を意識することが強調されているのであろうか。

 見方・考え方は、日々の学びの積み重ねにより成長するものであり、その結果として資質・能力が育成されていくが、その見方・考え方をいかなる学習活動によって鍛えていくかに関心をもつ必要がある。ここに「単元のまとまりを見通す」ことの意味があり、単位時間等で何を指導し、それをいかに配列するかといったこれまでの内容ベイスの単元観ではなく、資質・能力ベイスの新たな単元のまとまりをいかに描くか、また、そこにはいかなる学習活動を組織するかを問うことが必要である。

単元ゴールを意識した単元のまとまり 中学校外国語科の単元づくりから

(1)単元づくりの基本

 高知市立義務教育学校土佐山学舎の外国語科では、資質・能力ベイスの単元づくり(中3「卒業に向けて、今、考えていることを即興で伝えよう」)を次のような手続きで進めている。

 まずは、「身に付ける力の設定」である。資質・能力ベイスの付けたい力を明確にし、それに対する既得の知識、技能、体験を把握する。次に、「単元のまとまりを組織する言語活動の設定」である。生徒が3年間一緒に過ごしてきた友達に自分のことを伝えるためのスピーチ大会やメッセージ集の作成に向けて、自分の思いをクラスの友達に伝え、自分のことをもっと知ってもらうという目的を実現するための「言語活動」を設定し、それを確実に推し進めていく「見方・考え方」を確認する。既得の知識、技能、体験を基に、生徒が働かせる見方・考え方について明確にする。この3つの視点は、教科目標の柱書に示された資質・能力ベイスの授業づくりの原則とも言えるが、この実現のためにいかに単元を描くかが極めて重要である。

 義務教育学校土佐山学舎では、自分の考えや思いを整理して即興で伝えられるようになるために、単元を通して、毎時間即興で話したり書いたりする活動をテーマや伝える相手を替えながら続けること、さらに、単位時間においても言語活動を繰り返して行うことを重視している。コミュニケーションを終えると、聞き手や読み手からのフィードバックを受け、それを基にして表現や伝え方、伝える情報や内容などを整理、形成、再構築し、次のコミュニケーションにつなげる活動を重視している(右図参照)。このように、毎時間の見方・考え方が働かせた言語活動の積み上げにより、見方・考え方が成長するとともに資質・能力が身に付いていくという単元のまとまりで学びをとらえることを大切にしている。

 

(2)単元のまとまりの具体

 まず、単元の入口では「即興で話したり書いたりする」というゴールに向かって自分自身が「今できること」と「これからできるようになること」を確認するために即興スピーチを体験する。その後、生徒が見方・考え方を働かせ自分のスピーチをよりよくするために情報を整理したり、伝えることの内容を形成、再構築したりする。このプロセスを毎時間行っていく。また、単元の終わりでは、見方・考え方の成長を自ら確認し、次のコミュニケーションの目的を明確にしていくための振り返りの時間を設定する(下図参照)。

 このように見方・考え方を働かせた言語活動を繰り返すことによって、見方・考え方を成長させるとともに資質・能力の獲得にもつながっていく。教科目標の柱書の主旨を実現するために、改めて単位時間を超えて単元のまとまりという枠を意識した学びづくりが期待されている。

 

Profile
島根県立大学教授
高知県教育委員会事務局学力向上総括専門官
齊藤一弥
さいとう・かずや

横浜国立大学大学院修了。横浜市教育委員会首席指導主事、指導部指導主事室長、横浜市立小学校長を経て、29年度より高知県教育委員会事務局学力向上総括専門官、30年10月より現職。文部科学省中央教育審議会教育課程部会算数・数学ワーキンググループ委員。近著に『新教育課程を活かす能力ベイスの授業づくり』。

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島根県立大学人間文化学部教授

横浜国立大学大学院修了。横浜市教育委員会首席指導主事、指導部指導主事室長、横浜市立小学校長を経て、29年度より高知県教育委員会事務局学力向上総括専門官、30年10月より現職。文部科学省中央教育審議会教育課程部会算数・数学ワーキンググループ委員。近著に『新教育課程を活かす能力ベイスの授業づくり』。

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