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『最新 教育課題解説ハンドブック』Q&A 学校における働き方改革

NEW学校マネジメント

2020.12.11

『最新 教育課題解説ハンドブック』
〈スクール・マネジメント〉

教育課題研究会(代表:石塚等・横浜国立大学教職大学院教授)/編

『最新 教育課題解説ハンドブック』

◆学校における働き方改革

Q 教員の働き方改革については平成31年1月に答申が、そして同年3月にはその徹底を求める通知が出されています。各学校においては、どのようにこの取組を進めていくべきでしょうか。

1 教師の多忙化

 平成28年度に実施された教員勤務実態調査の結果から、10年前と比較してさらに教員の多忙化が明らかになりました。それを受けて中央教育審議会に学校における働き方改革特別部会が設置され、平成31年1月に答申が出されました。この答申は、新しい時代に向けて日本の教育を持続可能なものにするために、学校における働き方改革に関する総合的な方策を提示したものです。答申のうち、学校に直接関わるポイントは次の三つです(2⃣参照)。

 ➀勤務時間管理と健康管理を徹底すること

 ➁ 学校及び教師が担う業務を明確化・適正化すること

 ➂ 学校を組織として効率的に運営すること

 文部科学省と教育委員会に関わっては、④勤務時間制度改革について、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)が定める超勤4項目以外の業務についても勤務時間管理の対象とすること、1年単位の変形労働時間制を導入すること、教師に関する労働環境について中長期的に検討することが盛り込まれました。他には⑤働き方改革の環境整備のために、英語を担当する教師や、部活動指導員といった専門スタッフを充実させること、⑥校務支援システムの導入など勤務時間管理の適正化や業務改善・効率化への支援を行うことが盛り込まれました。加えて文部科学省には⑦学校における働き方改革の確実な実施のための仕組みの確立とフォローアップを目的として、学校における働き方改革の進展状況を市区町村ごとに把握し公表すること、教員勤務実態調査を3年後を目途に行うことが提言されました。

2 働き方改革の徹底通知―教育委員会が行うべきこと

 特に学校に関わりの深いポイントである①勤務時間管理と健康管理を徹底すること、②学校及び教師が担う業務を明確化・適正化すること、③学校を組織として効率的に運営することについて、教育委員会に求められる具体的取組を、平成31年3月18日付けで各都道府県知事・教育委員会教育長等宛に出された通知(「学校における働き方改革に関する取組の徹底について」)を参照しつつ紹介します。

 ➀勤務時間管理と健康管理を徹底することについての具体的な取組は以下の五つです。一つ目はICTの活用などによって客観的に勤務時間を把握するシステムの構築、二つ目は平成31年1月25日付けで出された(「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインの策定について(通知)」)を踏まえた取組を進めることです。この通知では、各教育委員会に勤務時間の上限に関するガイドラインを策定することが求められています。このガイドラインの策定に当たっては、「超勤4項目」以外の業務の時間も「在校時間」として勤務時間とし、その上で勤務時間の上限の目安時間は、1か月の在校時間等について超過勤務45時間以内、1年間の在校等時間について超過勤務360時間以内にするという目安があります。また、この通知ではガイドラインの実効性を担保するために教育委員会に各学校の実施状況について把握し、上限を超えた場合事後的に検証すること、文部科学省は各教育委員会の取組の状況を把握し公表することも述べられています。

 三つ目は適正な勤務時間の設定です。そのためには、児童生徒の登下校時間や部活動等について教職員の勤務時間を考慮した時間の設定と周知を行うこと、学校閉庁日の設定、留番電話の設置やメールによる連絡対応の体制整備が考えられます。四つ目は労働安全衛生管理の徹底です。労働安全衛生法に基づき、産業医を配置すること、全ての学校においてストレスチェックを行うことが言及されています。最後、五つ目には研修・人事評価の活用です。管理職の登用や教職員の評価に働き方改革の観点からも評価すること、管理職や教職員に対する研修を行うことが考えられます。

 ➁学校及び教師が担う業務を明確化・適正化することについての具体的な取組については以下のとおりです。まず、教育委員会は学校や地域で発生した業務の仕分けを行い、学校及び教師が担うべき業務を精選する必要があります。その上で、学校事務職員だけではなく、スクールカウンセラーや、スクールサポートスタッフ等の外部人材の参画・連携を図ります。さらに、児童生徒の命と安全を守るためには、スクールロイヤーの配置、福祉部局・警察関係機関との連携体制を構築することも今後は重要になってくるでしょう。業務の精選については先に述べた中央教育審議会答申(平成31年1月)の14分類が参考になります。

⑴ 基本的には学校以外が担うべき業務

  ①登下校に関する対応、②放課後から夜間などにおける見回り、児童生徒が補導されたときの対応、③学校徴収金の徴収、管理、④地域ボランティアとの連絡調整

⑵ 学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務

  ⑤調査・統計等への回答等、⑥児童生徒の休み時間における対応、⑦校内清掃、⑧部活動

⑶ 教師の業務だが負担軽減が可能な業務

 ⑨給食時の対応、⑩授業準備、⑪学習評価や成績処理、⑫学校行事の準備・運営、⑬進路指導、⑭支援が必要な児童生徒・家庭への対応

 これに関わって、文部科学省の令和2年7月17日付け通知(「教諭等の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について」)が出ました。

 ③学校を組織として効率的に運営することについての具体的な取組は以下のとおりです。一つ目には、教育委員会は所管する学校に対して以下の取組の促進・支援をするよう求められました。その内容は、校務分掌の見直し、ミドルリーダーの活躍促進、声掛けや教材の共有等による若手教員への支援、事務職員の校務への一層の参画です。校務分掌の見直しに際しては、委員会の合同設置や構成員を統一すること、業務の偏りをなくすことが考えられます。

 二つ目として、働き方改革に当たり管理職に求められる能力の明確化、育成及び適正な評価をすること、指導主事等による働き方改革の観点からのアドバイスの実施、事務職員の質の向上、庶務事務システムの導入などによる学校事務の効率化、学校に人材を配置するための人材バンクの整備などです。

3 学校が行う働き方改革

 2⃣で取り上げた通知では、基本的に教育委員会に求められることについて説明しました。これに加えて、各学校の管理職にも教職員の働き方改革を進めることが期待されています。それでは学校単位ではどのような取組ができるでしょうか。

 ①勤務時間管理と健康管理を徹底することに関わって、以下の取組が考えられます。一つ目は教師の意識改革にアプローチすることです。管理職が、働き方改革の検討内容について職員会議等で情報提供を行うことや、校内研修会を実施することが挙げられます。また、働き方改革を進める際には、担当教師が一人で進めるのではなく、全教師から校務の効率化に関するアイディアを募るなど、全教職員を巻き込む形にすることが大切です。二つ目は勤務時間を意識してもらうことです。定時退庁日の設定だけではなく、職員室の黒板への掲示やBGMの放送による定時退庁促進、定時完全消灯日の設定、各教師が定時退庁日を設定し机上に表示し職場全体で配慮するといった取組が考えられます。

 ➁学校及び教師が担う業務を明確化・適正化することに対しては、以下の取組が考えられま す。一つ目は行事についてです。行事については、精選と同時に、実施するかしないかという二択ではなく、授業公開と学校説明会を同一日に開催するといった複数の学校行事の統合や、準備の簡素化も考えられます。二つ目は、部活動についてです。部活動について部活動指導員の活用がすぐに難しい場合は、休養日を設けることや、時間の短縮が考えられます。

 ③学校を組織として効率的に運営することについては以下の取組が考えられます。一つ目は 業務の分担です。例えば、若手教師とベテラン教師とのペアで校務を担当させたり、各校務・行事のマニュアルを作成して情報共有・引き継ぎを重視したりしましょう。

 二つ目は、各種会議の効率化です。まず朝の打ち合わせや会議の開催回数を減らすことを考えましょう。これは、内容の似た会議を統合すること、必要最低限の人数で開催すること、軽微な連絡事項はメールや職員室内のホワイトボード等を活用することで実現します。会議を開催する場合は、会議の開始時刻及び終了時刻を会議資料に明記するなどして時間を意識させます。さらに、会議の準備の業務を減らすために、パソコンやタブレット端末を活用し、会議のペーパーレス化を図ります。

 このように、教員の働き方改革は学校単位の工夫で、日常的なことからも着手できます。教員の働き方改革にはあらゆる方面から、小さな取組の積み重ねを行うことが非常に重要です。

 こうした学校における働き方改革を行う際は、教師間だけではなく、保護者や地域住民の理解を得る必要があり、困難もあるかもしれません。しかし、保護者や地域住民に働き方改革の重要性を周知する役割は文部科学省や教育委員会が積極的に担うこととなっていますので、学校は過度に恐れることなく働き方改革を進めていけるようになっています。

◉ポイント
1.教員の働き方改革のためには、①勤務時間管理の徹底、②学校及び教員が担う業務の明確化・適正化、③学校運営の見直しが求められている。
2.働き方改革に特効薬はなく、各学校においても教員が担うべき業務の精選、日常的な業務の見直し、簡素化を行うなど、あらゆる方面から取り組む必要がある。

 

                                   [伊藤 愛莉・青木 栄一]

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