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Q&Aスクール・コンプライアンス

菱村幸彦

最新 Q&A スクール・コンプライアンス120選 Q79 フリースクールで学習している生徒を指導要録上、出席扱いにすることができますか。

NEW学校マネジメント

2020.12.31

最新 Q&A スクール・コンプライアンス120選
第3章 生徒指導のコンプライアンス

菱村 幸彦
国立教育政策研究所名誉所員

『最新 Q&Aスクール・コンプライアンス 120選』2020年10月

Q79 フリースクールで学習している生徒を指導要録上、出席扱いにすることができますか。

◯多様な教育機会

 平成28年に制定された「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が定めるように、不登校の児童生徒には、多様な教育機会が確保されることが必要です。現在、不登校児の教育機会としては、教育支援センター、不登校特例校、民間のフリースクール、夜間中学、ICT活用の学習支援などがあります。これらの教育機会を利用して学習している場合は、一定の要件のもとで指導要録上の出席扱いとすることが認められています。

 この点について、文部科学省通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」(令和元年10月25日)は、別添の「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」で、次のように示しています。

(1)学校外の施設において相談・指導を受けている児童生徒については、一定の要件を満たす場合、これら施設において相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができる。

(2)その要件は、次のとおりとする。

①保護者と学校の間に十分な連携・協力関係が保たれていること。

②教育委員会等の設置する適応指導教室等を原則とするが、公的機関がないか、公的機関に通うことが困難な場合は、民間の相談・指導施設も考慮されてよいこと。

③当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること。

 教育委員会が設置する教育支援センター(適応指導教室)については、問題はありませんが、民間の学習施設(いわゆるフリースクールなど)には、様々な施設があるので、どこまで認めてよいかが問題となります。

◯民間施設のガイドライン

 そこで、文部科学省は、参考指針として、上記通知に「民間施設についてのガイドライン(試案)」を添付し、出席扱いが認められる要件として、次の諸点を示しています。

(1)実施者が不登校児童生徒に対する相談・指導等に関し深い理解、知識、経験を有し、社会的信望を有していること。

(2)事業運営が不登校児童生徒に対する相談・指導を行うことを目的とし、著しく営利本位でなく、入会金、授業料、入寮費等が明確にされ、保護者等に情報提供されていること。

(3)相談・指導について、①児童生徒の人命や人格を尊重した人間味のある温かい相談や指導が行われていること、②指導内容・方法等があらかじめ明示されており、適切な相談や指導が行われていること、③体罰などの不適切な指導や人権侵害行為が行われていないこと。

(4)相談・指導スタッフについて、①スタッフは教育に深い理解を有するとともに、不適応・問題行動の問題について知識・経験をもち、指導に熱意を有していること、②心理学や精神医学等の専門的知識と経験を備えた指導スタッフが指導に当たっていること。

(5)学習、心理療法、面接等種々の活動を行うに必要な施設、設備を有していること。

(6)学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。

 民間の学習施設については、学校と施設と保護者が話し合い、活動内容を確認して出席扱いとする必要があります。

 

 

Profile
菱村 幸彦(ひしむら・ゆきひこ)
京都大学法学部卒業。昭和34年文部省入省。教科書検定課長、高等学校教育課 長、総務審議官、初等中等教育局長、国立教育研究所長、駒場東邦中学校・高等 学校長などを歴任。現在、国立教育政策研究所名誉所員。
著書に『校長が身につけたい経営に生かすリーガルマインド―身近な事例で学ぶ 教育法規』(教育開発研究所)、『管理職のためのスクール・コンプライアンス』(ぎょうせい)、『戦後教育はなぜ紛糾したのか』(教育開発研究所)、 『はじめて学ぶ教育法規』(教育開発研究所)、『やさしい教育法規の読み方』 (教育開発研究所)など多数。

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最新 Q&Aスクール・コンプライアンス120選 ハラスメント、事件・事故、体罰から感染症対策まで

2020年10月 発売

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菱村幸彦

菱村幸彦

国立教育政策研究所名誉所員

京都大学法学部卒業。昭和34年文部省入省。教科書検定課長、高等学校教育課長、総務審議官、初等中等教育局長、国立教育研究所長、駒場東邦中学校・高等学校長などを歴任。著書に『校長が身につけたい経営に生かすリーガルマインド―身近な事例で学ぶ教育法規』『はじめて学ぶ教育法規』『やさしい教育法規の読み方』(いずれも教育開発研究所)など多数。

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