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「チーム学校」を踏まえたこれからの組織マネジメント

NEW学校マネジメント

2019.07.29

「チーム学校」を踏まえたこれからの組織マネジメント
関係者総活躍学校に向けて

『新教育課程ライブラリ Vol.4』2016年4月

チーム学校と地域との協働により変わる学校マネジメント

 昨年12月の中教審答申で、「チームとしての学校」の構築が提言された。これは、多様な専門人材が適切な役割分担と協働のもとでの学校運営を目指すもので、教員がより教育活動に専念するため、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの増員と法令化や地域連携担当教職員(仮称)や部活動指導員(仮称)の法令化を求める内容になっている。

 また、「地域とともにある学校づくり」の推進に関する答申は、すべての学校が、地域の人々と目標を共有したうえで、地域と一体となって子どもたちを育てることを目指している。そのために、全小中学校をカバーする「地域学校協働本部」を新設し、コミュニティスクール設置の努力義務化に踏み込んでいる。

 これらの動きは、学校の組織マネジメントにも大きな影響を与えることは当然で、校長のマネジメント能力が問われることとなる。そこで本稿では、学校内の教員を中心とした学校マネジメントから、内外の多様な人材を活用するマネジメントへの転換に向け、組織の3原則である「目的・目標の共有」「コミュニケーション」「協働の意欲」をどのようにして実現すればよいか、特にビジョンの共有に焦点を絞って論を進めたい。

ビジョンの共有をどう実現するか

 組織の原則である「目的・目標の共有」とは、組織におけるビジョンの共有である。従来から学校で仕事をしている教職員を対象にした場合でも、ビジョンの共有は課題になることが多かった。今後は、新しく加わる職員や学校外部の関与者を含めたビジョンの共有が求められる。そこでまず、学校におけるビジョンの構成要素を明らかにしたい。

(1)目指す姿の共有

 企業や自治体の行政部局を含めて、ビジョンの定義は様々であるが、ビジョンには「目指す姿」が必須である。

 学校の場合は、まず「目指す子ども像」があげられる。これは、学校教育目標であり、「眼前の子どもについて、これを育て上げようとする望ましい人間についての具体的な目当て」(上滝孝次郎・山村賢明・藤枝静正共著『日本の学校教育目標』ぎょうせい、1978年)とされている。ただ、学校教育目標は、短い語彙で表現し、知・徳・体を盛り込むため、義務教育学校では、似た内容になりがちである。

 表1は、ベネッセが2011年に実施した「第5回学習指導基本調査:小中版」で、トップ5は、前回の2002年調査と変わらず、小中学校の普遍的な学校教育目標であるといえる。多くの学校は、学校教育目標を年度ごとに見直すことは少ないが、学校教育目標とは別に「目指す子ども像」を作成しているように思われる。特に、地域連携や小中一貫、中高一貫に取り組む学校は、単一の学校や教職員だけではない人たちにもイメージしやすい「目指す子ども像」をより具体的に設定している。

 「目指す姿」として、次に「目指す学校像」があげられる。これは、いわゆる組織の使命(ミッション)であり、存在意義を示すものである。使命とは、「〇〇に対して、〜〜のお役に立つ」「□□に対して、〜〜の貢献をする」「△△にとって、〜〜の場になる」といった文章で表現される。学校の目指す姿に、「通わせたい・通いたい学校」「信頼される学校」等を見かけるが、もう少し丁寧に「目指す学校像」を描く必要がある。

 「あらゆる組織が社会の機関である。組織が存在するのは組織自身のためではない。自らの機能を果たすことによって、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たすためである。組織とは、目的ではなく手段である」(P.F.ドラッカー『マネジメント[エッセンシャル版]』ダイヤモンド社、2001年)とあるように、「目指す学校像」とは、社会や地域や子どもたちにとってどのような存在でありたいのかを明示することである。事例を表2に記す。

 

(2)力の入れどころの共有

 ビジョンには、「目指す姿」とセットで盛り込むべき内容がある。それが、「力の入れどころ」である。これは、「目指す子ども像」や「目指す学校像」を達成するために、特に力を入れて取り組む事項である。

 学校では、重点事項・重点目標・努力点等、様々な言い方があるが、学校の持つ内外の経営資源や能力を結集して成果を上げようとする方向性である。

 この「力の入れどころ」である重点事項を設定する理由は、学校が経営資源を潤沢に持っていないからである。潤沢ではない資源をばらまいてしまうと、全部がうまくいかなくなる。そこで、「ここぞ」という点に集中して力を注ぎ、得られた成果を全体に波及させるやりかたが重点事項を設定する本質である。かつて、中国の毛沢東が言った「一点突破・全面展開」の発想である。

 ただ、重点事項を設定するだけでは、教職員をはじめとする関係者のベクトルは一致しない。それは、学校の重点事項は抽象度の高い表現が多く、「基礎基本の徹底」や「基本的生活習慣の確立」は、多様多義な意味を含んでいるからである。したがって、校長や教頭は、学校の重点事項の意味が分かるように説明することが求められる。数値化は、その目安や例示として効果があると思われる。

 また、重点事項には、子どもたちの学力や社会性、体力の向上に直結した「教育の重点」と、その実現のための職場の活性化や他校種連携等の「経営の重点」に分ける場合も多く見られる。

 さらに、「力の入れどころ」には、重点事項に加えて学校の特色がある。特色とは、他校と違ったことをすることではなく、わが校の強みや得意手を活用して、わが校ならではの教育活動・取組みを展開し、その結果、わが校ならではの子どもたちへの教育成果を獲得することである。

 ビジョンを構成する要素の2つめの「力の入れどころ」には、重点事項と特色がある。

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