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特別支援教育の課題と展望 ─中教審の提言より

NEWトピック教育課題

2019.07.29

特別支援教育の課題と展望─中教審の提言より

『新教育課程ライブラリ Vol.8』2016年8月

■中央教育審議会教育課程企画特別部会論点整理

(平成27年8月26日)〔抜粋〕

1.2030年の社会と子供たちの未来

(1)新しい時代と社会に開かれた教育課程

(「学校」の意義)
○ 学校とは、社会への準備段階であると同時に、学校そのものが、子供たちや教職員、保護者、地域の人々などから構成される一つの社会でもある。子供たちは、学校も含めた社会の中で、生まれ育った環境に関わらず、また、障害の有無に関わらず、様々な人と関わりながら学び、その学びを通じて、自分の存在が認められることや、自分の活動によって何かを変えたり、社会をよりよくしたりできることなどの実感を持つことができる。

○ そうした実感は、子供たちにとって、人間一人一人の活動が身近な地域や社会生活に影響を与えるという認識につながり、これを積み重ねることにより、地球規模の問題にも関わり、持続可能な社会づくりを担っていこうとする意欲を持つようになることが期待できる。学校はこのようにして、社会的意識や積極性を持った子供たちを育成する場なのである。

2.新しい学習指導要領等が目指す姿

(2)育成すべき資質・能力について

【3】発達の段階や成長過程のつながり
○ また、近年は特別支援学校だけではなく小・中・高等学校等において発達障害を含めた障害のある子供たちが学んでおり、特別支援教育の対象となる子供の数は増加傾向にある。障害者の権利に関する条約に掲げられたインクルーシブ教育システム(注1)の理念を踏まえ、子供たちの自立と社会参加を一層推進していくため、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある「多様な学びの場」において、子供たちの十分な学びを確保していく必要があり、一人一人の子供の障害の状態や発達の段階に応じた指導を一層充実させていく必要がある。

○ そうした発達の段階に応じて積み重ねていく学びの中で、地域や社会と関わり、様々な職業に出会い、社会的・職業的自立に向けた学びを積み重ねていくことが重要である。

○ 加えて、幼小、小中、中高の学びの連携・接続についても、学校段階ごとの特徴を踏まえつつ、前の学校段階での教育が次の段階で生かされるよう、学びの連続性が確保されることが重要である。

5.各学校段階、各教科等における改訂の具体的な方向性

(1)各学校段階の教育課程の基本的な枠組みと、学校段階間の接続

【4】高等学校
○ また、一人一人の生徒の進路に応じた多様な可能性を伸ばす「多様化への対応」の観点からは、学び直しや特別な支援が必要な生徒への指導や、優れた才能や個性を有する生徒への指導や支援など、様々な幅広い学習ニーズがあることを踏まえつつ、各高等学校が、それぞれの学校や学科の特色に応じた魅力ある教育課程を編成・実施し、子供たちの進路に応じて必要となる資質・能力を育成できるようにする必要がある。

【5】幼稚園、小学校、中学校、高等学校等における特別支援教育、特別支援学校
○ 全ての学校や学級に、発達障害を含めた障害のある子供たちが在籍する可能性があることを前提として、一人一人の子供の状況や発達の段階に応じた十分な学びを確保し、障害のある子供たちの自立や社会参画に向けた主体的な取組を支援するという視点が重要である。

○ このため、幼稚園、小学校、中学校、高等学校等においては、個々の学びの特性に配慮した、きめ細かな授業等が実施できるよう、幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園教育・保育要領、小・中・高等学校学習指導要領において、特別支援教育に関する記述の更なる充実を図ることが求められる。その際、各教科等の目標を実現する上で考えられる困難さに配慮するために必要な支援を示したり、通級による指導や特別支援学級の意義、それらの教育課程の取扱い、合理的配慮の提供も含めた「個別の教育支援計画」(注2)や「個別の指導計画」(注3)の位置付け、特別支援教育コーディネーターを中心とした支援体制の確立等の観点等を明確化したりすることが必要である。あわせて、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催等も契機としながら、共生社会の形成に向けた障害者理解の促進を明確に位置付け、交流及び共同学習の更なる充実を図ることも必要である。

○ また、特別支援学校においては、近年特に高等部生徒数の増加や、在籍する知的障害のある児童生徒数の増加がみられるなど、障害の状態の多様化に対応した特別支援学校学習指導要領の改善・充実が必要である。特に、幼児児童生徒の発達の段階に応じた自立活動の改善・充実、これからの時代に求められる資質・能力を踏まえた、障害のある幼児児童生徒一人一人の進路に応じたキャリア教育の充実、知的障害のある児童生徒のための教科の改善・充実を図ることが求められる。

○ こうした改善・充実を図るとともに、連続性のある「多様な学びの場」における子供たちの十分な学びを確保していく観点から、一人一人の子供たちが、それぞれの障害の状態や発達の段階に応じた学びの場における教育課程を通じて、自立や社会参画に向けて必要な資質・能力を身に付けていくことができるよう、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等との間で、教育課程が円滑に接続していけるようにしていくことが重要である。通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校それぞれにおける教育活動の在り方と相互の連続性を改めて可視化し、全ての学校現場において共有していくとともに、前述の「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」の作成・活用を通じて、子供たち一人一人の学びの連続性を実現していくことが求められる。


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(2)各教科・科目等の内容の見直し

【1】総 則
○ 加えて、学校の教育活動全体を通じて実施することが求められる事項(道徳教育、体育・健康や安全等に関する指導、特別支援教育、キャリア教育、生徒指導、海外から帰国した子供や外国人児童生徒への日本語指導・適応指導等、優れた才能や個性を有する児童生徒への指導や支援、情報機器やネットワーク等の活用、学校段階間の接続、地域社会との連携や社会教育施設等の活用、学校図書館を活用した読書活動、部活動の位置付けと留意点、美術館や音楽会等を活用した芸術鑑賞活動等)についても、既存の記載事項を踏まえつつ、総則において、育成すべき資質・能力や各教科等との関係性をより明確に示していくことが求められる。

(注1) 障害者の権利に関する条約第24条によれば、インクルーシブ教育システムとは、人間の多様性の尊重等を強化し、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な限り最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能にするという目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が一般的な教育制度から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供されること等が必要とされている。

 また、中央教育審議会初等中等教育分科会の報告(平成24年7月)では、インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要である、小・中学校における通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある「多様な学びの場」を用意しておくことが必要である、とされている。

(注2) 医療、保健、福祉、労働等の関係機関との連携を図りつつ、乳幼児期から学校卒業後までの長期的視点に立って、一貫して的確な教育的支援を行うために、障害のある幼児児童生徒一人一人について作成した支援計画。

(注3) 学校における教育課程や指導計画、当該幼児児童生徒の個別の教育支援計画等を踏まえて、より具体的に障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応して、指導目標や指導内容・方法等を盛り込んだ指導計

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