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押さえておきたい 最新「教育法令」トピックス15選

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押さえておきたい 最新「教育法令」トピックス15選 Topics12 変形労働制導入で問題が解決するわけではない

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2021.02.16

押さえておきたい 最新「教育法令」トピックス15選
Topics12 変形労働制導入で問題が解決するわけではない
給特法

『新教育ライブラリ Premier』Vol.4 2020年11月

労働基準法の例外としての給特法

 日本の公立小中高校等の教員は、世界でも屈指の長時間労働に従事している。そのため、長時間・過密労働が原因で心身に不調をきたす教員も少なくなく、ブラック職場と言われるほどの状況になっている。このことが、教職を志望する学生の減少にもつながっている。

 労働基準法は1日8時間・週40時間を所定労働時間と定め(第32条)、使用者がそれを超えて労働させることを禁止するとともに、事業場の過半数を超える労働者を組織する労働組合又は過半数代表者との協定を締結することにより、使用者は所定労働時間を超えて労働させることができる(第36条)。ただし、超過して労働させた場合には、時間外・休日・深夜の割増賃金を支払わなければならない。

 ところが、公立小中高校等の教員については、1971年に制定された公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)に基づき、給与月額の4%に当たる額を教職調整額として一律に支給し(第3条)、時間外勤務を命ずる場合を、①校外実習その他生徒の実習に関する業務、②修学旅行その他学校の行事に関する業務、③職員会議に関する業務、④非常災害時における児童生徒指導の緊急措置を必要とする場合に限定し、それ以外には時間外勤務を命じないこととした。しかし、実際には教員は週40時間を遥かに超えて働いているが、それらは自発的残業として処理される。

 さらに、労働基準法は、時間外労働の対価として割増賃金の支払いを命ずることで、使用者が労働者を所定労働時間を超えて労働させるのを抑制している。しかし、給特法の下で勤務する教員には、所定労働時間を超える業務量を命じたとしても割増賃金を支払う必要がないため、使用者である教育委員会には教員の長時間労働を解消しようとするインセンティブが働きにくい。ここに問題の本質がある。

変形労働制に労働時間を減らす効果はない

 2019年12月、給特法が改正され、2021年4月1日以降、一年単位の変形労働時間制を導入できることになった。変形労働時間制は、繁忙期(授業期間)には所定労働時間より長い時間勤務させ、その分だけ閑散期(夏季休業など)は所定労働時間を短くするというものだ。これにより、時間外労働手当を支払うことなく、年間を通してみれば教員の勤務時間を所定労働時間内に収められると説明されている。

 しかし、これでは、働かせる側には長時間勤務を解消するインセンティブは少しも働かず、授業期間中の長時間勤務が正当化されるだけに終わりかねない。他方、教員の業務量は夏季休業だからといってそれほど減少するわけでない。勤務時間管理の帳簿上は所定労働時間内に収まったように見えても、これでは教員の働きすぎは少しも解消しない。

 

[ライブラリシリーズ関連記事]
・プレミア1/Leader’s Opinion「働き方改革のリアル」
・実践12/特集「次代を見据えた学校教育の論点」
・リーダーズ11/特別インタビュー「学校・教委の連携で新たな働き方改革の創造を(小川正人)」
・リーダーズ1~12/連載「教職 その働き方を考える①~⑫」

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