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押さえておきたい 最新「教育法令」トピックス15選 Topics11 合理的な配慮か、社会的障壁の温存か

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2021.02.12

押さえておきたい 最新「教育法令」トピックス15選
Topics11 合理的な配慮か、社会的障壁の温存か
障害者基本法、障害者差別解消法

『新教育ライブラリ Premier』Vol.4 2020年11月

合理的な配慮の義務づけ

 障害者基本法第4条は、「障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為」を禁止するとともに、「社会的障壁の除去」を目的とする「合理的な配慮」を義務づけている。また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)でも、行政機関等及び事業者に対して、「社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮」を義務づけている(第5条、第7条、第8条)。

 かつては、障害がある人の社会参加に伴う困難は、その当事者自身が抱える問題に由来するとされ、教育や訓練を通じて社会参加可能な状態にすることが必要だと考えられていた。

 しかし、今日では、障害がある人の社会参加は社会的障壁の除去を通じて確保しなければならない、と考えられるようになってきた。上記二つの法律は、障害のある人の社会参加を拒み続けてきた社会的障壁を合理的な配慮を通じて除去していこうとするものだ。

負担過重という言い訳

 障害者基本法第4条第2項には、合理的な配慮を実施する際の要件として、①合理的な配慮を必要とする人が現に存在すること、②「実施に伴う負担が過重でない」ことをあげている。このうち、合理的な配慮はそれを必要とする人の個別具体的な状態を考慮して行われなければならないことを踏まえれば、①を要件とすることは適切かつ必要なことだろう。他方、②には、合理的な配慮の実施に必要な財政負担が過大だとして、必要な合理的な配慮を実施しないことを正当化しかねない危険性がある。

 たん吸引が必要な児童の保護者が、学校に吸引器の購入・設置を求めたが受け入れられず、地域の通学班から排除されたにもかかわらず、学校が適切に対処しなかったことなどを理由に、教育委員会を相手取って訴訟を提起した。第一審は、被告が主張した負担過重などをほぼ全面的に認めて保護者の請求を棄却した。

 しかし、法律上、合理的な配慮を実施するため必要な負担が荷重であるとする判断基準を明示しているわけではないし、原告の請求を退けた第一審判決もその判断基準を示していない。現に、この訴訟で保護者が求めた程度の吸引器の購入・設置を実施している地方公共団体が存在することからも、負担過重を正当化することは難しい。

 障害のある人に対する合理的な配慮の目的は、社会的障壁を除去し社会的参加を促進することにある。合理的配慮が必要であることを認めつつ、負担過重を理由にその実施を回避することは、障害のある人に対する社会的障壁を維持し続けることにほかならない。この原点に立って考えれば、障害者基本法の「負担が過重でない」との要件は限定的に理解されなければならないはずだ。

 

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