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押さえておきたい 最新「教育法令」トピックス15選

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押さえておきたい 最新「教育法令」トピックス15選 Topics10 子どもの現在と将来を豊かに

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2021.02.09

押さえておきたい 最新「教育法令」トピックス15選
Topics10 子どもの現在と将来を豊かに
子どもの貧困対策法

『新教育ライブラリ Premier』Vol.4 2020年11月

依然として高い子どもの貧困率

 OECDの調査で、日本の子どもの貧困率が国際的に見ても高い水準にあり、6〜7人に1人の子どもが貧困な状態で日常生活を送っていることが明らかになった(2017年4月「対日経済審査報告書」)。これに衝撃を受けて、自ら学習支援や子ども食堂を立ち上げた人々も多い。しかし、残念ながら、子どもの貧困問題の解決を、学校として取り組まなければならない課題であると認識し、自ら積極的に取り組んでいる教育関係者はまだ多くない。

 子どもの貧困対策の推進に関する法律(子どもの貧困対策法)の目的は、子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されないようにすることにある。子どもは親や生育環境を選べない。選択できないものによって、現在や将来が制約されるのは理不尽だ。しかも、経済的に困窮している親に「子育てと教育に責任を果たせ」と言うだけでは問題は解決しない。そこで、国や地方公共団体の手で、①全ての子どもが心身ともに健やかに育成され、②教育の機会均等が保障され、③子ども一人一人が夢や希望を持つことができるようにしようというのが、この法律の趣旨である(第1条)。

「子どもの将来」から「子どもの現在と将来」へ

 この法律の第1条には、制定当初、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう」と定められていたが、2019年の改正で「将来」の前に「現在及び」が加えられた。この改正で、この法律の趣旨が一変した。改正前は、子どもの貧困対策の重点は、子どもの「将来」を切り開くための教育機会の充実や学習支援に置かれていた。しかし、2019年の改正により、貧困問題の解決を「将来」にゆだねることなく、子どもの「現在」の生活を改善し、速やかに貧困状態から離脱させることがこの法律の課題になった。問題は、教育関係者がこれは社会福祉や児童養護の課題であると捉え、子どもの貧困問題の解決を自らの課題として受け止めきれていないことにある。

 文部科学省は、「学校をプラットフォームとした総合的な子供の貧困対策の推進」を強調し、教育相談を充実させるためのスクールソーシャルワーカーの配置、地域未来塾による学習支援の充実、高校生等の就職・就学支援、要保護児童生徒に対する学用品費・修学旅行費・学校給食費等の援助単価引き上げを目的とする市町村等への補助などを展開している。

 しかし、これだけでは、法の趣旨に照らしてまったく不十分だ。児童生徒の学業成績や学習意欲が生活環境や親の所得によって左右されることは、多くの調査研究で明らかにされている。このことは学校・教師が努力しても無意味だということではない。児童生徒がその制約を乗り越えることを支援し、「子ども一人一人が夢や希望をもつことができるよう」にすることを、学校教育の優先課題として取り組まなければならない。

 

[ライブラリシリーズ関連記事]
・プレミア2/Leader’s Opinion「子どもの貧困を考える」

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