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押さえておきたい 最新「教育法令」トピックス15選 Topics9 児童虐待の通報を躊躇してはならない

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2021.01.19

押さえておきたい 最新「教育法令」トピックス15選
Topics9 児童虐待の通報を躊躇してはならない
児童虐待防止法

『新教育ライブラリ Premier』Vol.4 2020年11月

早期発見の努力義務

 2019年度中、65人の児童が家庭内の虐待で死亡した。その半数以上は0歳児だが、小中高校生に対する虐待が少ないわけではない。児童相談所は心理的虐待、身体的虐待、ネグレクト、性的虐待を扱っており、児童虐待相談件数は約16万件にもなる。

 児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)第5条第1項は、学校等に対して、「児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない」と定めている。学校は多くの児童生徒と日常的・恒常的な接点をもっていることから、児童虐待を早期に発見する役割が期待されているのだ。

 その際、様々な内容と形態の児童虐待の兆候を早期に発見し、遅滞なく福祉事務所・児童相談所等に通告できるよう、教育委員会には職員研修の実施が義務づけられている(第4条第2項)。また、学校にも、児童及び保護者に対する児童虐待の防止のための教育・啓発を実施するよう努力義務が課されている(第5条第5項)。

児童相談所等への通告義務

 児童虐待防止法第6条第1項は、「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、(中略)福祉事務所若しくは児童相談所(中略)に通告しなければならない」と定め、発見者に対して重い通告義務を課している。重要なことは、(1)児童虐待の事実確認は通告の要件ではなく、児童虐待の疑いがあれば通告しなければならないこと。(2)発見後、速やかに通告しなければならないこと。(3)「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者」自身が通告義務を負うこと、である。

 早期発見を児童相談所等による適切な措置につなぐためには、発見者による通告がきわめて重要である。また、児童虐待の通告は本法に定める義務の履行にあたるため、児童虐待の事実がなかった場合も含め、保護者等のクレームから学校や教職員は保護される。仮に通報内容に誤りがあっても、事実を故意に歪めたものでない限り、責任を問われることはない。

 また、職員が校長等に相談なく児童虐待を児童相談所等に通告した場合でも、守秘義務違反(地方公務員法第34条)として扱うことはできない(第6条第3項)。児童虐待の深刻さから、児童の最善の利益(児童の権利に関する条約第9条)が優先的に保護されなければならないからだ。

 他方、学校等は「正当な理由がなく、その職務に関して知り得た児童虐待を受けたと思われる児童に関する秘密を漏らしてはならない」(第5条第3項)ことは言うまでもないが、この守秘義務は「国及び地方公共団体の施策に協力するように努める義務の遵守を妨げるもの」ではないから、頑なに情報を抱え込むこともまた適切でない。

 

[ライブラリシリーズ関連記事]
・リーダーズ9/特集「子供の危機管理」
・新課程6/巻頭インタビュー「昨日までのことはもういい、今日から変わればいい(島田妙子)」

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