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押さえておきたい 最新「教育法令」トピックス15選 Topics5 児童生徒・保護者の感染不安にどう応えるか

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2021.01.15

押さえておきたい 最新「教育法令」トピックス15選
Topics5 児童生徒・保護者の感染不安にどう応えるか
民法820条(監護教育権)と学校の安全保護義務

『新教育ライブラリ Premier』Vol.4 2020年11月

感染リスクを理由とする登校忌避

 安倍晋三総理大臣(当時)の要請に基づく一斉休校は約3か月に及び、学校が再開されたのは6月上旬だった。しかし、感染リスクへの懸念から子を登校させない保護者は多かった。名古屋市では感染リスクを理由に欠席する児童生徒が1校1人の割合でいたという。

 こうした事態について、文部科学省は、「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」(2020年6月5日)で、「感染経路の分からない患者が急激に増えている地域であるなどにより、感染の可能性が高まっていると保護者が考えるに合理的な理由があると校長が判断する場合には、指導要録上『出席停止・忌引等の日数』として記録し、欠席とはしないなどの柔軟な取扱いも可能である」と通知している。

 これに対して、保護者には子を就学させる義務があるのだから、保護者の判断による欠席は認めるべきではないといった意見もある。しかし、民法第820条には「親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」として、保護者の未成年の子に対する監護教育権を定めている。これは子の監督・保護・教育に関する親の第一義的権利と責任を定めたものだ。登校を不安視する合理的理由があって、欠席させることが子の利益にかなう場合は、親の監護教育権行使は就学義務に優先すると考えるべきだ。

課題は不安解消

 しかし、疑問も残る。新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令第6条によれば、感染患者等の感染経路が特定できない場合、政府はその地域について緊急事態を宣言し、都道府県知事は必要な措置を講じることになる。したがって、「感染の可能性が高まっていると保護者が考えるに合理的な理由があると校長が判断する場合」とは、緊急事態宣言が出されているにもかかわらず休校措置がとられていない、といった事態を言うのではないか。とすれば、ガイドラインは柔軟というより、むしろ限定的な基準にも読める。

 さらに大きな問題は、上記ガイドラインは、欠席扱いにしないという小手先の運用で、親とのトラブルを回避することに終止していることだ。「感染の可能性が高まっていると保護者が考えるに合理的な理由がある」と認めるのであれば、教育委員会・学校はその不安を解消するよう必要かつ合理的な措置を講ずる必要がある。欠席を希望する児童生徒だけでなく、通常どおり登校している他の児童生徒も同じ危険にさらされているのだから。

 教育委員会・学校には児童生徒の学校生活上の安全を確保する義務がある。「感染の不安があるなら、欠席していい」ではなく、「感染の不安があれば、可能な限り改善するから申し出てほしい」という姿勢が必要ではないだろうか。

 

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