新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の学習指導について(通知) 2 文科初第87号 令和2年4月10日
トピック教育課題
2020.04.11
目次
2.家庭学習について
(1) 家庭学習に関する基本的な考え方
新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒に対しては、指導計画等を踏まえながら、主たる教材である教科書に基づく家庭学習を課すことが求められること。したがって、入学式や始業式の中止・延期等により児童生徒に新年度の教科書が給与できていない場合については遅滞なく給与すること。
加えて、児童生徒の発達の段階など学校及び児童生徒の実態等を踏まえ、教科書と併用できる教材、動画等を活用した以下のような学習を組み合わせて行っていくことが重要であること。
<家庭学習の内容の例>
・教育委員会や学校作成のプリントを活用した学習
・NHK E テレ等のテレビ放送を活用した学習
※NHK E テレでは、本放送において児童生徒向けの番組を放送しているほか、令和2年5月1日(予定)まで、マルチ編成のサブチャンネルにおいて、臨時休業中等の児童生徒向けの番組を特別編成で放送している。
・教育委員会や教科書発行者などの民間事業者等が提供するICT 教材や動画を活用した学習
・文部科学省ホームページ「子供の学び応援サイト」(*1)に掲載されている教材や動画等を活用した学習
・パソコンやタブレット端末等による個別学習が可能なシステムを活用した学習
・一定のテーマについてインターネットを活用して調べまとめる学習
・テレビ会議システム等を活用した教師による同時双方向型のオンライン指導を通じた学習
その際、家庭学習で活用する教材等の児童生徒への提供については、オンラインのシステムを通じた提供のほか、教育委員会や学校のホームページに掲載する、電子メールや郵送等で配付する、保護者や児童生徒の登校日を設定してその際に配付するなどの工夫が考えられること。
また、児童生徒の規則正しい生活及び学習習慣の維持、学習の流れの分かりやすい提示等の観点から、例えば、一日の学習のタイムスケジュールや一週間の学習の見通しなどを併せて示すことで、可能な限り計画性をもった家庭学習を促すこと。
*1 https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/index_00001.htm
(2) 学習評価への反映
新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒に対しては、指導計画等を踏まえながら家庭学習を課し、教師がその学習状況や成果を確認し、学校における学習評価に反映することができること。
家庭学習の学習状況及び成果の把握に当たっては、例えば以下のような方法が考えられるところであり、児童生徒の発達の段階や活用する教材等を踏まえて、これらを適切に組み合わせて行うこと。
<学習状況及び成果の把握の方法の例>
・ワークブックや書き込み式のプリントの活用
・レポートの作成及びそれに対する教師のフィードバック
・ノートへの学びの振り返りの記録
・登校日における学習状況確認のための小テストの実施
教師による確認については、電子メールやFAX等を通じた提出、パソコンやタブレット端末等による個別学習が可能なシステムによる学習履歴の確認、テレビ会議システム等を活用したオンラインでの確認、登校日や学校に登校できるようになった後における対面での学習状況の確認等を通じて行うことが考えられること。
(3) 家庭学習におけるICT の活用に関する留意事項について
既にICT 端末や通信環境の整備が進んでいる地域、学校等においては、児童生徒の発達の段階など学校及び児童生徒の実態等を踏まえつつ、家庭においても積極的にICT を活用することが求められる。家庭学習におけるICT の活用については、以下に示す留意事項に留意すること。
<留意事項>
① ICT を活用した家庭学習を課すに当たっては、各家庭における端末の保持や通信環境の状況について十分配慮することが重要であり、各学校で可能な限りその状況を把握することが望ましいこと。例えば、家庭が保有するスマートフォンやパソコン、タブレット端末等の利用も考えられる。家庭の通信環境に十分配慮しオンライン教材の動画、画像、文字の適切な配分を行い容量の低減を図る、必要な家庭には可能な範囲で学校の端末の貸出を検討するなど、各自治体や学校の状況に応じた取組を工夫いただきたいこと。また、各家庭においてICT 端末や通信環境の活用が困難な場合は、家庭学習用のプリント等を配布するなどの代替措置を行うこと。
② ICT を活用した家庭学習を課すに当たっては、個人情報や著作権の保護、有害情報へのアクセス防止など、当該児童生徒に対して必要な指導を行うとともに、その活用状況について可能な範囲で把握を行うこと。その際、ICT の活用について保護者にも十分な説明を行うとともに、活用状況の把握について必要な協力を求めること。(*2)
*2 参考サイト:文部科学省ホームページ「情報モラル教育の充実」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1369617.htm
3.新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の指導要録上の出欠の扱い等について
新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い、やむを得ず学校に登校できない児童生徒について、指導要録上の出欠の扱いは以下のとおりとなり、登校できなかった日数を「欠席日数」としては記録しないこととされていること。
(1) 学校が臨時休業中である児童生徒
学校保健安全法(昭和33 年法律第56 号)第20 条の規定に基づく臨時休業を行った場合には、指導要録上の「授業日数」には含めないものとして扱い、「欠席日数」としては記録しないこと。
(2) 学校の再開後においてやむを得ず学校に登校できない児童生徒
学校再開ガイドライン及び令和2年4月6日付け初等中等教育局健康教育・食育課事務連絡「新型コロナウイルス感染症に対応した小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等に関するQ&Aの送付について(4月6日時点)」(以下「Q&A」という。)において示しているとおり、新型コロナウイルス感染症については現時点で未だ解明されていない点も多いなどの特性に鑑み、次の①から④までに示す場合においては、指導要録上「出席停止・忌引等の日数」として扱い、「欠席日数」としては記録しないこと。
① 児童生徒の感染が判明した場合又は児童生徒が感染者の濃厚接触者に特定された場合
② 児童生徒に発熱等の風邪の症状がみられる場合
③ 医療的ケアが日常的に必要な児童生徒や基礎疾患等のある児童生徒について、事務次官通知に示す内容に従い、登校すべきでないと判断された場合
④ Q&Aに示すとおり、校長が「非常変災等児童生徒又は保護者の責任に帰すことができない事由で欠席した場合などで、校長が出席しなくてもよいと認めた日数」として認めた場合
【参考】学校再開ガイドライン(抜粋)
1.保健管理等に関すること
(2)出席停止等の扱いについて
児童生徒等の感染が判明した場合又は児童生徒等が感染者の濃厚接触者に特定された場合には,各学校において,当該児童生徒等に対し,学校保健安全法(昭和33 年法律第56 号)第19 条に基づく出席停止の措置を取ること。なお,後者の場合において,出席停止の措置をとる場合の出席停止の期間の基準は,感染者と最後に濃厚接触をした日から起算して2週間とする。
また,児童生徒等に発熱等の風邪の症状がみられるときは,自宅で休養するよう指導すること。この場合の出欠の扱いについては,「学校保健安全法第19 条による出席停止」又は「非常変災等児童生徒又は保護者の責任に帰すことができない事由で欠席した場合などで,校長が出席しなくてもよいと認めた日」として扱うことができる。
これらの場合,指導要録上も「欠席日数」とはせずに,「出席停止・忌引等の日数」として記録を行うようにされたい。
なお,医療的ケアが日常的に必要な児童生徒等や基礎疾患等のある児童生徒等が感染予防のために欠席する場合の取扱いに関しては,「(3)医療的ケアが日常的に必要な児童生徒等や基礎疾患等のある児童生徒等について」を参照されたい。
学校保健安全法第19 条による出席停止の指示等を行った場合においては,当該児童生徒が授業を十分に受けることができないことによって,学習に著しい遅れが生じることのないよう,「2.学習指導に関すること」に記載の必要な措置を講じること等にも配慮すること。
(3)医療的ケアが日常的に必要な児童生徒等や基礎疾患等のある児童生徒等について
①登校の判断
医療的ケアを必要とする児童生徒等(以下,「医療的ケア児」という。)の状態は様々であるが,医療的ケア児の中には,呼吸の障害を持ち,気管切開や人工呼吸器を使用する者も多く,重症化リスクが高いことから,医療的ケア児が在籍する学校においては,地域の感染状況を踏まえ,主治医や学校医・医療的ケア指導医に相談の上,医療的ケア児の状態等に基づき個別に登校の判断をすること。
また,基礎疾患等があることにより重症化するリスクが高い児童生徒等注(以下,「基礎疾患児」という。)についても,地域の感染状況を踏まえ,主治医や学校医に相談の上,登校の判断をすること。