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解決!ライブラちゃんのこれって常識?学校のあれこれ

岩瀨 正司

解決!ライブラちゃんのこれって常識? 学校のあれこれ 修学旅行ってなぜやるの?[後編]

NEWトピック教育課題

2020.04.10

解決!ライブラちゃんの
これって常識? 学校のあれこれ

修学旅行ってなぜやるの?[後編]

『学校教育・実践ライブラリ』Vol.10 2020年2月

前回、修学旅行の事始めが軍隊式だったことを聞いたライブラちゃんは大いに驚きました。そして、安全・安心な修学旅行を実現させるために多くの人の努力があったことを知ったのです。「わー、ミッキー!」「ハリーポッター最高!やっぱUSJだね!」なんて浮かれている中高生のなんと多いことか。でも、岩瀨先生のお話を聞いて、修学旅行には、深〜い目的があったり、問題もあったりして、よりよい修学旅行を創るために頑張っている団体もあることも分かりました。今回は、修学旅行をめぐる課題とこれからの展望などについてライブラ記者が切り込みます。

「安全性」「教育性」「経済性」が柱

――ところで、先生がいる全修協ってどんなことをやっているの?

 全国修学旅行研究協会(公益財団法人)では、修学旅行の実施状況調査をはじめ、各種セミナー、ホームページコンクール、修学旅行専用列車の調整など様々な事業を行っていますが、私たちが大事にしているのは、設立以来の理念である修学旅行の「安全性」「教育性」「経済性」という三つの柱なんですね。安全・安心で、確かな学びがあって、そしてできるだけ経済的な負担のない修学旅行を目指しているわけです。

 「安全性」については、かつてに比べて大きく改善されましたが、国際社会の動向や自然災害、食
物アレルギーなど、対応すべき今日的な課題もあり、常に子どもを守るということにも心を砕かなければなりません。そのための情報発信も必要だと考えています。

 「教育性」については、修学旅行も学習指導要領に位置付けられている以上、今回の改訂にうたわれた「何を学ぶのか」「どのように学ぶのか」「何ができるようになるか」といったことを、修学旅行においても実現させなければなりません。この三つの視点を大事にした修学旅行を創っていくということを学校現場と協働して進めていきたいと思っています。

 そして、「経済性」については、実は課題となっていることがあります。現在、交通費も宿泊費も高騰しており、中学校で二泊三日で約6万円、高校では三泊四日で約10万円かかっています。そうした中で、修学旅行に行かない子どもが増えているのです。その中には、経済的な理由と思われるケースも多い。ここ数年の私たちの調査でも増えていることが分かっています。そこで、全修協では現在、校長会をはじめ他の関係団体と連携して国に対して、就学援助金増額のための陳情活動にも取り組んでいます。幸い、少しずつ成果は出始めていますが、できれば子どもたちにはタダで修学旅行に行かせてあげたい。修学旅行の完全無償化をいつか実現できればと思っています。

修学旅行は学びの集大成

――前回の終わりに修学旅行にも感性が必要だと言ってましたよね。

 はい。私たちが目指しているのが、修学旅行に行くことによって子どもたちの感性を高めていくということなんです。

 子どもたちが中学校3年間、高校3年間にわたって友達と学んだり感性を高めたりしてきたことを存分に発揮できるのが修学旅行だと考えています。つまり、修学旅行は学びの集大成なんですね。

 例えば、私が教員時代に行った修学旅行で、子どもが何気ない景色に「おお、ビューティフル!」って言ったんです。何も教えていないことに子どもたちは感動したりするんですよ。それをみんなで共有するわけです。こうした機会をたくさん与えてあげるのが、教師・学校の役目であり、修学旅行の役目でもあるのではないでしょうか。感性には、自然に対するものもあるし、人間に対するものもあります。そういうものをより広く、より深く気づかせてあげる機会が修学旅行なのではないかなと考えています。

――先生の子ども時代の修学旅行ではどうでしたか。

 う〜ん。僕らのころは、大部屋で枕投げっていう“伝統的”なものでしたね(笑)。ただ、一度、修学旅行先で重度の障害者の方とすれ違ったことがありました。当時は日常的に障害のある方を見ることはあまりなかったので、衝撃を受けた記憶があります。自分は五体満足で好き勝手に生きているのに、ハンデがありながら頑張っている人がいることを知って、何か震えるような思いがしました。本来の修学旅行の目的とは違う体験でしたが、非日常の中での出会いで心を揺さぶられるということも修学旅行という機会があったからこそだと思っています。

 これからの修学旅行も、新しい展開が見えるかもしれません。今は大抵学年単位で同じ時期に行っていますが、より小集団で自分たちなりの旅先や時期をチョイスして、自分たちなりのテーマを持って行ってくる修学旅行というものも出現するかもしれませんね。

 いずれにしても、日本の若者たちにできるだけ素晴らしい体験をさせてあげたい。その方法論の一つが修学旅行です。修学旅行で学んだことが人生の大きなバックボーンになってくれればいい。そんな思いで、私たちもよりよい修学旅行を創るために努力していこうと思っています。

――ありがとうございました!

Profile
岩瀨 正司 先生
昭和25年生まれ。東京都の公立中学校で社会科教師として教職をスタート。平成21年に全日本中学校長会長、(公財)日本中学校体育連盟会長、中央教育審議会臨時委員を歴任。24年より(公財)全国修学旅行研究協会理事長。

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