絶対満足できる!新しい英語授業

菅正隆

新教育課程実践講座Ⅰ 絶対満足できる!新しい英語授業[第3回]大きく変わる中学校英語! 指導力不足の教師が白日の下に

トピック教育課題

2019.09.23

全国学力テストをにらんだ授業改善とは

 プレテストからも分かるように、授業改善は急務である。現行の国語や数学、理科の全国学力テストのように、本意ではないが、点数によっては教育委員会や保護者、議会までもが右往左往する。英語に関しても同じようなことが予想される。しまいには、指導してきた先生は誰か、どのような指導してきたのかなどと問われることにもなりかねない。悲しいことではあるが現実である。その際、中学校の教師は、「小学校のときに、しっかりと基礎基本を積んできていないから」などと抗弁するべきではない。今の中学生は、小学校時代には、コミュニケーションの素地を育てられてきているに過ぎない。したがって、生徒の成績全ては、教師の指導の賜物であることを理解する必要がある。では、どのような授業改善が求められるのであろうか。

 

1.英語を使っての授業を行う

 授業を日本語で進めていると、生徒の脳は日本モードとなっており、急に「では、英語で話しなさい」と言われても、早々に転換できるものではない。つまり、生徒の脳を英語を使う状況に追い込んでいく必要がある。そのためには、教師が英語で生徒をリードしていく必要がある。

 

2.ある程度の長さの英文を聞くことに慣れさせる

 普段は短めの英文の聞き取りに慣れていたとしても、少し長くなった場合には、ついていけなくなる生徒が増えてくる。それをなくすためには、ある程度の長さの英文に慣れ親しませる必要がある。一番の特効薬は、教師のスモールトーク(Teacher’s talk)である。毎時間、様々なテーマや、生徒の関心を引くテーマを話すことである。その場合のネタは、ネットのニュースなどから掘り起こすことである。

 

3.技能統合を考えた授業をする

 先のプレテストの聞き取り問題のように、聞くことと書くこととを組み合わせた授業やテストを繰り返し行うことである。英文を読んでサマリー(要約)を書かせる、スピーチを聞いてそれに対する質問を書かせる、物語の読み聞かせをする、など様々な工夫を凝らして、授業を活性化することである。

 

4.テストを変える

 プレテストを参考に、テストのあり方を変えていくことが必要である。これまでは、教科書の確認として、テストでは教科書本文を提示し、英文の訳やカッコ補充をさせるなど、まるで教科書の暗記問題になっている。これでは、真の英語運用能力を計るものにはなっていない。テストでは、教科書本文を提示するのではなく、初出の英文を提示して(教科書で指導した文法事項や語彙が含まれているもの)、指導事項が理解できているかどうかを計るのが真のテストとなる。そのためにも、是非、プレテストを真似て、テストを作ってみることである。

 

5.訳読、文法指導を改める

 日本語訳をしないと生徒が納得しないという教師も多い。それならば、授業の最初や最後に日本語訳を渡すなどの工夫をしたい。生徒は日本語に訳すことで、全て理解したと勘違いしている。本題は、授業を通して英語を使えるようにすることである。したがって、英文を読んで、その表現を真似てみたり、使ってみたりすることができるようにすべきである。文法とて、使えるようにするために様々な活動を工夫することが求められるのである。

 

Profile
大阪樟蔭女子大学教授
菅 正隆
かん・まさたか 岩手県北上市生まれ。大阪府立高校教諭、大阪府教育委員会指導主事、大阪府教育センター主任指導主事、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官並びに国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官を経て現職。調査官時代には小学校外国語活動の導入、学習指導要領作成等を行う。

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岩手県北上市生まれ。大阪府立高校教諭、大阪府教育委員会指導主事、大阪府教育センター主任指導主事、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官並びに国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官を経て現職。調査官時代には小学校外国語活動の導入、学習指導要領作成等を行う。

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