学校教育法等の一部を改正する法律―学校教育法・文部科学省著作教科書の出版権等に関する法律・著作権法
トピック教育課題
2019.09.06
学校教育法等の一部を改正する法律〔例規整備〕
・公布年月日番号:平成30年6月1日法律第39号
・施行年月日:平成31年4月1日
概要
平成30年6月1日に学校教育法等の一部を改正する法律(平成30年法律第39号。以下「一部改正法」といいます。が公布され、平成31年4月1日から施行されます。
今回の改正は、教育の情報化に対応し、平成32年度から実施される新学習指導要領を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善や障害等により教科書を使用して学習することが困難な児童生徒の学習上の支援のため、通常の紙の教科書に代えて、必要に応じて「デジタル教科書」を使用することができることとする等の措置を講ずるものです。改正の概要は、次のとおりです。
1 学校教育法の一部改正
現在、小学校、中学校、高等学校等の授業において使用する教科書については、学校教育法第34条第1項において、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならないという使用義務が定められています。また、学校教育法附則第9条において、高等学校、中等教育学校の後期課程及び特別支援学校並びに特別支援学級においては、当分の間、上記の教科用図書以外の教科用図書を使用することができるという当該使用義務に対する特例が定められています。
<学校教育法に規定する教科書の種類>
- 文部科学省検定済教科書
民間の教科書発行者において著作・編集され、文部科学大臣の検定を経て発行される教科書
- 文部科学省著作教科書
高等学校の農業、工業、水産、家庭及び看護の教科書の一部や特別支援学校用の教科書については、その需要数が少なく民間による発行が期待できないことから、文部科学省において著作・編集された教科書
- 学校教育法附則第9条の規定に基づく教科書
高等学校、中等教育学校の後期課程、特別支援学校並びに特別支援学級において、適切な教科書がない等特別な場合に使用が許される①及び②以外の教科書
※参考:文部科学省HP「教科書Q&A」(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/010301.htm#02)
今回の改正により、次のとおり「デジタル教科書」等の使用について、所要の措置が講じられます。
(1)小学校、中学校、高等学校等において、文部科学省検定済教科書の内容を電磁的に記録した「デジタル教科書」がある場合には、教育課程の一部において、教科書の使用義務にかかわらず、通常の紙の教科書に代えて「デジタル教科書」を使用できることとする。【第34条第2項関係】
ただし、視覚障害、発達障害等の事由により通常の紙の教科書を使用して学習することが困難な児童生徒に対し、文字の拡大、音声読み上げ等により、その学習上の困難の程度を低減させる必要がある場合には、教育課程の全部において、通常の紙の教科書に代えて「デジタル教科書」を使用できることとする。【第34条第3項関係】
(2)特別支援学校、工業高校等の高等学校の専門教科等において、文部科学省検定済教科書が無い場合等に使用する図書についても、1と同様に、その内容を電磁的に記録した教材を使用できることとする。【附則第9条第2項関係】
なお、文部科学省HP「デジタル教科書の制度化について」において、デジタル教科書の制度化に関する資料が掲載されていますので、制度の理解に際して必要に応じ御参照ください。
2 著作権法の一部改正
通常の紙の教科書と同様に、掲載された著作物を権利者の許諾を得ずに「デジタル教科書」に掲載し、必要な利用を行うことを認めるとともに、当該著作物の利用に係る補償金等の規定について整備する等の措置を講ずることとする。【新設】
3 文部科学省著作教科書の出版権等に関する法律の一部改正
民間による教科書の発行がなく文部科学省著作教科書が発行される場合に、その「デジタル教科書」についても、文部科学省著作教科書と同様に、文部科学大臣が出版権を設定できることとする等の措置を講ずることとする。【第17条関係】