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『最新 教育課題解説ハンドブック』Q&A 社会に開かれた教育課程

NEW学校マネジメント

2020.12.08

『最新 教育課題解説ハンドブック』
〈スクール・マネジメント〉

教育課題研究会(代表:石塚等・横浜国立大学教職大学院教授)/編

『最新 教育課題解説ハンドブック』

◆社会に開かれた教育課程

Q 新学習指導要領(平成29年告示)では、社会に開かれた教育課程を理念としています。社会に開かれた教育課程とは何か、それを実現するためには、学校はどのように取り組んでいけばよいでしょうか。

1  新学習指導要領の理念について

 平成29年3月に改訂された小学校及び中学校の学習指導要領は、平成28年12月の中央教育審議会答申を踏まえ、「社会に開かれた教育課程」を基本的な理念として掲げています。

 答申では、2030年頃の社会の在り方とその先も見通した姿を考えることが重要とし、近年の社会変化が人間の予測を超えて加速度的に進展し、将来の社会変化を予測することが困難な時代になったと分析しています。

 これまでの学習指導要領の改訂においても、当時の社会情勢、社会の変化や動向は強く意識され大きな影響を与えてきました。

 今回の改訂では、将来の社会変化が予測困難な時代と位置付けた上で、予測できない変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合い関わり合い、その過程を通して、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手になっていけるようにすることを求めています。

 小学校の令和2(2020)年度を始めとして順次実施される新学習指導要領は、子供たちが、社会の変化を乗り越え、人生を切り拓き、2030年頃以降、社会に出て活躍する時代の創り手となることを求めているのです。

 新学習指導要領の実現に向けては、「社会に開かれた教育課程」の理念の下、「主体的・対話的で深い学び」やカリキュラム・マネジメントなど授業や教育課程の改善を通した学校づくりが必要となります。

2 「社会に開かれた教育課程」の実現のために

 今回の改訂の理念である「社会に開かれた教育課程」について、新学習指導要領において新たに設けられた前文では次のように示されています。

 

 教育課程を通して、これからの時代に求められる教育を実現していくためには、よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し、それぞれの学校において、必要な学習内容をどのように学 び、どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら、社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという、社会に開かれた教育課程の実現が重要となる。

 

 「社会に開かれた教育課程」の「社会」の捉え方については、2030年頃及び以降を視野に入れた将来の社会という側面と、理念の共有や連携・協働の対象としての地域社会という側面が考えられます。学習指導要領の記述を踏まえ「社会に開かれた教育課程」については、次の三つの視点から分析的に整理することができます。

⑴学校と社会との理念の共有化

 よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と地域社会とが共有化することです。子供たちの人間形成は、学校だけでなく家庭や地域社会との連携の中で育まれるものです。このため学校においては、家庭や地域住民と理念の共通理解を進め、一体となって子供たちを育てていくことが大切となります。

⑵育成すべき資質・能力の教育課程における明確化

 子供たちに育成すべき資質・能力とは何か、それら資質・能力と社会がどのようにかかわるのかなどを教育課程において明らかにしていくことです。従来は、各教科等の視点からどのような資質・能力を身に付けるかということに重きが置かれる傾向がありましたが、教育課程全体の視点で何ができるようになるかという教科等横断的な視点に立って育成すべき資質・能力を明確にすることが大切となります。

⑶社会との連携・協働の推進

 学校での授業補助、ICT活用等による学習支援など地域と学校が連携・協働した学校への支援活動が全国各地で行われており、こうした活動をさらに積極的に推進していくことです。そのためには、地域で学校を支援する仕組みづくりを促進させ、学校教育の目指すところを社会と共有し連携・協働しながら実現に向けて取り組むことが大切です。

 各学校においては、「社会に開かれた教育課程」の実現のため、家庭や地域社会との理念の共通理解の下、社会とのつながりを意識しつつ教育課程の編成・実施を行い、家庭や地域社会との継続的・計画的・組織的な連携・協働の仕組みを構築していくことが大切となります。

3 「次世代の学校・地域」創生プランとの連携について


 中央教育審議会は、平成27年12月に、教員の資質・能力の向上を目指した改革、チーム学校を目指した改革、地域と学校の連携・協働を目指した改革の三つの答申をとりまとめました。文部科学省は、答申の提言を実現するため、平成28年1月に「次世代の学校・地域」創生プランを策定しました。

 同プランは、教員の資質・能力の向上を目指した改革では、教員に求められる資質・能力に関する指標(教員育成指標)や教員研修計画の策定など、チーム学校を目指した改革では、教師と事務職員の役割分担を見直すこと、教師と専門スタッフとが連携・分担する専門性に基づくチーム体制の構築など、地域と学校の連携・協働を目指した改革では、地域とともにある学校への転換に向けたコミュニティ・スクールの推進などが盛り込まれ、これらの改革を進めるために必要な制度改正が行われています。

 これらの改革は、「社会に開かれた教育課程」を実現するために必要な制度改正ということが言えるでしょう。新学習指導要領が目指す教育を実現するために教員の資質向上は不可欠ですし、多忙を極める教員が授業に専念できるよう、教員をバックアップする多様な専門スタッフとの連携・役割分担を明確にすること、地域と学校との連携・協働を一層進めるためのコミュニティ・スクールを全国的に展開(努力義務化)していくことも重要です。これらの一体的改革とあわせて、新学習指導要領が目指す教育を実現するためには教職員定数の改善充実が必要不可欠なことは言うまでもありません。

 新学習指導要領の理念である「社会に開かれた教育課程」の実現に向け、これら制度改革への理解も深めながら、学校を核としたまちづくりに、学校・行政、家庭や地域社会が一体となって取り組んでいくことが大切です。

◉ポイント
1.新学習指導要領(平成29年告示)は、将来の変化を予測することが困難な時代を生きる子供たちがよりよい社会と幸福な人生の創り手になっていけるようにすることを求めている。
2.新学習指導要領(平成29年告示)では、「社会に開かれた教育課程」の理念の下、学校と社会との理念の共有化、育成すべき資質・能力の教育課程における明確化、社会との連携・協働の推進を求めている。
3.「社会に開かれた教育課程」の実現のためには、「次世代の学校・地域」創生プランの改革と合わせて、学校・行政、家庭・地域社会が一体となって取り組むことが大切である

 

                                       [石塚 等]

 

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