「学校経営マンダラート」で創る教育目標と連動した教育活動

学校マネジメント

2019.08.05

学校教育目標や重点目標、研究主題などは「みんなで考え、みんなで創る」

 みんなで考え、みんなで創る必要性については、中央教育審議会でも言及している部分があるので紹介したい。

 校長又は園長を中心としつつ、教科等の縦割りや学年を越えて、学校全体で取り組んでいくことができるよう、学校の組織や経営の見直しを図る必要がある。そのためには、管理職のみならず全ての教職員が「カリキュラム・マネジメント」の必要性を理解し、日々の授業等についても、教育課程全体の中での位置付けを意識しながら取り組む必要がある。(中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校および特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」2016年12月)
(下線は筆者)

 そこで、嶺北中学校では、教職員全員でこうした目標設定ができるフレームワークとして大谷翔平選手が花巻東高校時代に「目標達成表」として実践していたことがマスコミに取り上げられ脚光を浴びた、いわゆる「マンダラート(曼荼羅チャート)」を活用し、全教職員で学校経営戦略について考えることとした。「マンダラート」を使って目標設定する意義は、とにかくみんなで考え、みんなで知恵を出し合い、みんなで創り上げることにある。

「嶺北マンダラート 2018」

 マンダラートの基本ルールは、9つのマスの真ん中に目標や到達点などを書き込み、周辺のマスに関連する内容項目を入れていくというとてもシンプルなものである。上の図は、「Mission(目標・到達点)」→「Strategy(戦略・重点項目)」→「Tactics(戦術・方策)」の順に、全教職員で経営戦略会議を行い、できあがったものが次の「嶺北中学校マンダラート2018」である。

 ここで注目したいのは、この8個の「Strategy」を、9×9の「マンダラート」のどこに配置するかということである。この配置をみんなで考えることができるのも、この「マンダラート」の面白いところと言える。

 本校の重点目標である「学力」と「表現力」については、8個の「Strategy」の中でも最上位目標であるので、マスの上段の左右に位置付けることにし、上位の課題である「学力」を左に、「表現力」を右に配置することにした。そうなると必然的に、上段は「子供に付けたい力」ということになってくる。そこで、真ん中に「知・徳・体」の「体」=「体力」を置くこととした。

 次は、中段である。「子供に付けたい力」の中でも、ここでは、「学びに向かう力・人間性」が今求められている喫緊の課題と捉え、「主体性」と「人間性」を配置した。その中でも「知・徳・体」の「徳」ということから「人間性」を上位目標とし、左に置くこととした。

 最後が、下段である。下段に教職員に関する内容を置いたのは、「教職員が子供たちをしっかり支えよう」という意思の表れである。下段の並びについては、教職員全員の力・結束力ということで、「チーム力」を真ん中に据え、左は「主に管理職や事務職員がリードして取り組むべき課題」、右は「主に教員が中心となって取り組むべき課題」として、「チーム力」の左右に配置することとした。

 次の二つは、今年の「学力向上対策」に関する部分の抜粋である。「学力向上」という目標を達成するためには、生徒に直接関わる様々な学力向上対策と、教師の授業改善の両面からアプローチしていかなければ、最大限の効果を上げることはできない。「嶺北マンダラート2018」では、8個の戦略のうち2個が「学力向上」に関する戦略となっており、このことが本校にとっての最重要戦略と考えた。

マンダラートの評価

 目標は、期日を決めて、定期的に「点検・評価」していくことが大切である。「やりっぱなし」(PDPDまたはPDDD)にせず、「点検・改善」(CA)というカリキュラム・マネジメントの視点を加え、組織的・効率的にPDCAサイクルを推進していかなければならない。

 嶺北中学校では、この「マンダラート」の評価については、あまり難しく考えず、「目標」に対して「結果」はどうだったのかというシンプルな評価で行った。あまりに評価を複雑にしてしまうと、「評価のための評価」に陥ってしまい、「目標と評価の一体化」「PDCAのスピード化」が図れなくなってしまうからである。

 目標の到達度を、十分達成できた方策(80%以上)をブルー、概ね達成できた方策(60%以上)をイエロー、今後まだまだ努力が必要な方策をピンクの付箋で示し、三段階の色で可視化していくというシンプルな「評価方法」で取り組んでいる。

 特に、点検・評価の場面では、「何が原因で達成できなかったのか」「目標を達成するための方法はこれでよかったのか」「目標達成のために何が必要だったのか」「目標が高すぎたのではないか」といった視点で協議してもらい、次の「計画・行動」につなげられる「評価」になるよう意識している。


[参考文献]
・田村知子編著『実践・カリキュラムマネジメント』ぎょうせい、2011年


Profile
高知県高知市立城東中学校長
大谷俊彦
おおたに・としひこ 高知県内公立中学校国語科教諭からスタートし、高知県教育委員会指導主事、文部科学省主幹等を歴任。「カリキュラム・マネジメント」「総合的な学習の時間」などを研究。本山町立嶺北中学校校長在職時に「学校経営マンダラート」を考案し話題を呼ぶ。平成31年4月より現職。著書に『「学校経営マンダラート」で創る新しいカリキュラム・マネジメント』(ぎょうせい)があり、書籍等にも研究成果を多数掲載。県内をはじめ、全国各地で講演活動も行う。

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