教師生活が楽しくラクになる魔法の作戦本部 [第2回] 「定時さん」でいい!

トピック教育課題

2022.10.07

教師生活が楽しくラクになる魔法の作戦本部
[第2回] 「定時さん」でいい!

明治大学教授 
諸富祥彦

『教育実践ライブラリ』Vol.2 2022年7

 私は、「教師を支える会」という会の代表として、月に1回ほど開催するサポートグループで先生方の悩みをお聞きしてきました。

 そこで話された20代後半の若手教員のお話です。

「教師になろう!」と決意

 この若手の先生は、教師になる前から、教師のあまりの忙しさには疑問を感じてきました。この先生のご両親も中学校の教師と、小学校の教師をされていたのですが、あまりの忙しさに、子どもながらに不満を感じていたのです。子どもとして、さみしかったのです。

 大人になっていくにつれて、なぜお父さんとお母さんが、それほどまでに忙しいのか、理解することもできてきました。クラスの子どもたち、部活動の子どもたちとの関係を大切にし、全力を注いで教師という仕事に勤しんでいる、その様子も伝わってきた。

 教師という仕事の魅力もビンビンと感じました。子どもたちと一体になって日々の活動に取り組んでいく。その大きな喜びを感じることができる仕事なんだ。そんなことも実感しました。それで、自分も教師になろう!」と決意したのです。

 ただ教師になるにあたって、「自分の家族を犠牲にしたくない」「自分の生活も大切にしたい」という思いも強くありました。「自分の子どもには、幼いころの自分のような、さみしい思いはさせたくない」──そんな気持ちも、もちろん強くありました。また趣味の音楽も続けたいとも思いました。

 つまり「教師という仕事」と「自分個人の趣味や家族との時間を大切にすごすこと」その両方とも、手に入れたい。どちらも失いたくない。そんな欲張りな、豊かな人生を生きたいと思ったのです。

 そこでこの先生が、教師になるにあたって決めたのが「定時さん」になる! ということ。定時になったら、とにかく帰る。定時を超えて学校に残ることはしない。そんなふうに心に強く決めたのです。そうしておかないと、いつまでも学校に残ってしまう自分の姿が思い浮かんできたからです。

「定時さん」

 実際、教師になって「定時」に帰宅していると、まわりの先生からの目が気にならなかったわけではないと言います。同じ学年の先生など「あら、もう帰るの?」と聞いてくる人もいたと言います。

 大学の同級生と会った時に、「実は私、毎日定時になると必ず帰ってる」「よく仕事なんとか、なってるね」と驚かれたと言います。

 その時についたニックネームが「定時さん」。

 最初は、なんだか、怠け者呼ばわりされているようで、違和感がありました。しかし毎回「定時さん」と呼ばれているうちに慣れてきました。

 今では、自分の決断と実行力の証としてお気に入りのニックネームになっているそうです。

 

 みなさんも「定時さん」になりませんか?

 

 

Profile
諸富祥彦 もろとみ・よしひこ
 明治大学文学部教授。教育学博士。日本トランスパーソナル学会会長、日本教育カウンセラー協会理事、日本カウンセリング学会認定カウンセラー会理事、日本生徒指導学会理事。気づきと学びの心理学研究会アウエアネスにおいて年に7回、カウンセリングのワークショップ(体験的研修会)を行っている。教師を支える会代表、現場教師の作戦参謀。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラー、ガイダンスカウンセラー、カウンセリング心理士スーパーバイザー、学校心理士スーパーバイザーなどの資格を持つ。単著に『教師が使えるカウンセリングテクニック80』(図書文化社)、『いい教師の条件』(SB新書)、『教師の悩み』(ワニブックスPLUS新書)、『教師の資質』(朝日新書)ほか多数。テレビ・ラジオ出演多数。ホームページ:https://morotomi.net/を参照。『速解チャート付き 教師とSCのためのカウンセリング・テクニック』全5巻(ぎょうせい)好評販売中。

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