コロナ禍で変化する言葉とコミュニケーション―「令和2年度 国語に関する世論調査」の調査結果発表を受けて

トピック教育課題

2021.09.24

 2021年9月24日、文化庁は「令和2年度 国語に関する世論調査」の調査結果を発表しました。それを受け、当社は調査結果をまとめた『令和2年度 国語に関する世論調査 生活の変化とコミュニケーション』を刊行しました。ここでは、本書の制作・編集担当者がその内容の一部を紹介します。

 

「国語に関する世論調査」とは

 「国語に関する世論調査」をご存じだろうか。新聞やテレビ、クイズ番組の解説などでその名を耳にしたことがある人も多いのではないだろうか。「国語に関する世論調査」は、国語施策の立案に資するとともに、国民の国語に対する興味・関心を喚起することを目的として、平成7年度から毎年、文化庁が実施しているものである。変化する社会における日本人の国語に対する意識の現状を捉えるため、その年ごとに調査内容を少しずつ変えている。今年は、《生活の変化とコミュニケーション》をメインテーマに、「マスクを着けると話し方や態度などが変わることがあると思うか」「情報機器を利用したビデオ通話やウェブ会議等で気を付けていること」などについて調査している。

マスクの有無でコミュニケーションに変化は?

 マスク必須の生活に入って約2年。慣れてきたとはいえ、息苦しさや煩わしさを感じることも多い。

 今回の調査では、「マスクを着けると話し方や態度などが変わることがあると思うか」について調査。この調査項目に対して「変わることがあると思う」と答えた人は全体の62.4%だった。マスクを着けることで、コミュニケーションになんらかの変化があると感じている人が多いことが読み取れる。

 具体的にどんなところが変わるか尋ねると、「声の大きさに気を付けるようになる」(74.1%)、「はっきりとした発音で話すようになる」(57.5%)「相手との距離に気を付けるようになる」(45.1%)という結果だった。割合は低いが、「意味が通じやすいと思う言葉を使うようになる」(15.0%)、「相手の話を最後まで聞くようになる」(20.0%)との回答もみられた。

 コロナ禍は、コミュニケーションの在り方に大きな変化をもたらした。その中でも、コミュニケーションが円滑になるような良い変化は、コロナ禍が終息しても継続させたいものである。

会議の在り方の変化

 コロナ禍を経て、会議の在り方が大きく変わったように感じる。皆さんはどのように感じているだろうか。

 「情報機器を使ったビデオ通話やウェブ会議等をしたことがあるか」という調査項目では、46.2%の人が「ある」と回答した。

 年齢別に見てみると、「ある」と回答した人の割合は年代が下がるに従って高くなっており、最も割合が高い10代以下(79.9%)と最も低い70歳以上(13.5%)の間には、約66ポイントも差がある。

 一方、「ない」と回答した53.2%の人に「ビデオ通話やウェブ会議等をしたいと思うか」を尋ねたところ、「まったくそうは思わない」(23.0%)と「あまりそうは思わない」(48.3%)を合わせた「そうは思わない(計)」が71.2%という結果だった。

 ウェブ会議は、相手の反応や空気感がダイレクトに伝わってこないため、物足りなさを感じることもある。しかし一方で、移動の時間を短縮できたり、遠方の人とも簡単にコンタクトが取れたりとメリットを感じる場面も多い。状況や相手に合わせて、ウェブ会議と対面の会議を使い分けることが大切かもしれない。

コロナ禍を機に使われ始めた言葉

 「コロナ禍」「ソーシャルディスタンス」「3密」「濃厚接触」「クラスター」「不要不急」「ステイホーム」「ウィズコロナ」の八つの言葉について使われ方の印象を調査した。回答の選択肢は、「この言葉をそのまま使うのがいい」「この言葉を使うなら、説明を付けたほうがいい」「この言葉は使わないで、ほかの言い方をしたほうがいい」の三つである。

 「この言葉は使わないで、ほかの言い方をしたほうがいい」の回答割合が「この言葉をそのまま使うのがいい」の回答割合を超えた言葉はなかった。しかし、「ウィズコロナ」に関しては、「この言葉をそのまま使うのがいい」が29.7%、「この言葉は使わないで、ほかの言い方をしたほうがいい」が29.4%と拮抗しており、「この言葉を使うなら、説明を付けたほうがいい」は40.1%に上った。

 よりわかりやすい言葉がある場合はその言葉で代用したり、分かりにくいと思う場合には説明を付けたり、使う場面や状況に応じた柔軟な工夫が必要かもしれない。

 

『令和2年度 国語に関する世論調査 生活の変化とコミュニケーション』の刊行

 当社は、「令和2年度 国語に関する世論調査」の調査結果をまとめた『令和2年度 国語に関する世論調査 生活の変化とコミュニケーション』を刊行しました。毎年、テレビ・新聞・ニュースで話題になる世論調査の結果を収録した唯一の書籍です。ここではその内容の一部を紹介してきました。本書では、他にも長音のローマ字表記についての意見、地名のローマ字表記、慣用句等の意味・言い方など全ての調査項目と結果を収録しています。国語教育に関わる学校教育関係者にとって、活用シーンの多い一冊です。

 

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令和2年度 国語に関する世論調査 生活の変化とコミュニケーション

2021年9月 発売

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