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ホンキの『カリマネ』実現戦略

村川雅弘

ホンキの『カリマネ』実現戦略[最終回]カリマネの要「PDCAサイクルのD」授業研究のポイント

NEWトピック教育課題

2021.06.17

言語活動を子どもに委ねる

 資料2は平成20(2008)年の中教審答申で示されたもので、前学習指導要領が目指した「思考力・判断力・表現力を育むための言語を通した活動」として例示された。この10年余りの全国各地での講演等で確認したが、存在さえ知らない教員が少なくなかったのが実状である。

 筆者がかかわった学校で比較的短期間で学力を向上させた、例えば、東京都東村山市立大岱小や広島県福山市立新市小は、これを意識して授業づくりを行った2、3

 また、地域貢献型の総合的な学習の時間の充実を図ることと並行することで、総合的な学習と言語活動との間で相乗効果が起きている。子どもたちは身近な地域で様々な体験活動を通して感じ取ったことを他者に伝えたくなる。調べて分かったことを正確に伝えようとする。様々に集めた情報を整理・分析し、それらを基に論を立てようとする。地域の課題解決や活性化のために、構想・計画を立て、実施・評価・改善を繰り返す。様々な活動場面で互いの考えを伝え合い、自己や集団の考えを発展させる。言語活動が必然を伴って活性化することで総合的な学習の時間が充実するとともに、言語力が定着してくる。各教科や道徳科等の授業においても言語活動に必然性を持たせる取組が求められる。

 大岱小や新市小では、言語活動を子どもに委ねていた。資料3は新市小の『新市スタディ&マナー』(中高学年用)所収の「39高学年司会名人」の一部である。グループでの話し合いの際、その日の司会が活用する。「『語り合い』5か条」(資料1)をより具体化したものと言える。話し合いの質が担保される。グループ活動の際の言語活動の定着は重要なポイントである。

[注]
2 村川雅弘・田村知子・東京都東村山市立大岱小学校編著『学びを起こす授業改革』ぎょうせい、2011年
3 村川雅弘・野口徹ほか編著『「カリマネ」で学校はここまで変わる!』ぎょうせい、2013年

ICTを効果的に活用する

 GIGAスクール構想の推進により、1人1台端末を常時利用できる状態になる。授業の中で文房具の一つとして日常的に利用することが理想であるが、使うこと自体が目的化することがないように配慮したい。

 もう30年ほど前になるが、山形県のある小学校で、授業に初めて小型のビデオカメラを用いた年配教師に出会った。実に適切な使い方をされていた。算数の授業だったと記憶しているが、子どものノートを撮影し、それを全体学習の際にテレビに映し発表させていた。机間指導中に一人一人の考え方・解き方を把握し、それを全体の話し合いで生かすという日頃の指導・支援の考え方・あり方に当時の最先端技術がうまくはまったのである。

 ICT活用の前提は授業のデザインである。様々な機能を有する端末を、計画された授業の中で適切に活かしていきたい。アナログとデジタルを効果的に組み合わせていきたい。

「IMETS Web」で会いましょう

 新学習指導要領が目指す学校づくり・授業づくり、GIGAスクール構想の実現等、課題は尽きない。これからも学校現場と共に開発に勤しんでいきたい。今後は、「IMETS Web」を通して、その成果を意味付け・価値付けて発信していきたい。当然、「ん?」「IMETSって何?」となる。

 IMETSは公益財団法人「才能開発教育研究財団」の中の「教育工学研究協議会」の愛称である。IMETSは「Improvement of Media Education and Teaching Studies」の頭文字を取ったものである。IMETSは主に教員向けのフォーラムや教員免許状更新講習を企画・運営している。同講習は対面とeラーニングの二つがある。筆者は両者に登壇している。IMETSがこの度、「先生の学び応援サイト〜IMETS Web〜」を立ち上げた。趣旨は「教員支援に特化した教員のための支援、教育、研修、継続的で新たな学びの場を無料で提供する」である。

 資料4はこの4月1日に公開予定の動画コンテンツのラインナップである。筆者も計3本提供している。

 一つは、日本福祉大学の原田正樹副学長との鼎談(司会・進行は同大学の野尻紀恵教授)である。原田先生は社会福祉の立場から、筆者は主に総合的な学習の時間の福祉にかかわる事例を基に、福祉における学校と地域のかかわりの意義や具体的な取組のあり方を熱く語り合った。一つは、HONDA技研工業の「子どもアイディアコンテスト」の魅力について、これまで連載でも何度か共同執筆した石堂裕先生と八釼明美先生とで具体的な事例を取り上げ、いかに新学習指導要領が目指す教育、GIGAスクール構想に合致しているかを確認し合った。一つは、「学級開き」の考え方やノウハウである。ここでも石堂裕先生と八釼明美先生にご登壇いただいた。「学級開きの初日ってどんな言葉かけします?」「教室環境はどのように整備していきますか?」「初めての授業参観や懇談会、どう取り組んできました?」「初任の時、どうでした?」などの質問に具体的に答えていただけた。何とか新年度に間に合わせることができた。周りの新任教員・若手教員に是非ご紹介いただきたい。

 気になる視聴方法であるが、URL(https://sainou.or.jp/senseimanabi/)に入り、登録画面から、ID・パスワードを登録し、視聴可能なマイページへ移動する。関心のある動画コンテンツを好きな時に好きなだけ無料で視聴できる。スマートフォンやタブレットでも視聴可能なので、例えば、通勤時間をうまく活用できる。途中で止めても、そこから再視聴できる。

 今後は、関連資料を添付したり、zoom等により視聴者との情報交換ができればと考えている。

 最後に。5年間、連載にお付き合いいただきありがとうございました。

 次は、「IMETS Web」でお会いしましょう。

 

 

Profile
村川雅弘(むらかわ・まさひろ)
鳴門教育大学大学院教授を経て、2017年4月より甲南女子大学教授。中央教育審議会中学校部会及び生活総合部会委員。著書は、『with コロナ時代の新しい学校づくり』(ぎょうせい)、『ワークショップ型教員研修 はじめの一歩』(教育開発研究所)など。

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甲南女子大学教授

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