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[特集] practice 5 学習評価を充実させるために 東京都江東区立明治小学校統括校長 喜名朝博

NEWトピック教育課題

2020.04.08

[特集]新課程の学校経営計画はこうつくる practice 5

『学校教育・実践ライブラリ』Vol.10 2020年2月

●学習評価 学習評価を充実させるために

東京都江東区立明治小学校統括校長
喜名朝博

 新学習指導要領の全面実施に伴い、文部科学省より新しい学習評価の在り方が示された。学校経営計画のスタートラインを揃えるためにも、新しい学習評価について教員の理解を深め、4月に備えておきたい。

学習評価の基本

 学習評価の基本的な考え方は変わっていない。学習評価の目的は、教師の授業改善に資するものであること、子供が自らの学習改善につながるものであることの2点である。例えば、知識・技能の評価が低い子が多い場合、それはとりもなおさず指導内容や方法に課題があったと考えるべきであり、子供の姿を通して授業改善につなげていかなければならない。さらに、子供たちの進歩の状況や学習過程で見せる「よさ」を教師が捉え、積極的に評価していく必要がある。それにより子供たちは、学んだことの意義や意味、その価値を実感できるようになるだけでなく、自身の目標や課題が明確になり、学習への推進力が生まれるのである。

新学習指導要領における観点別学習状況評価の実際

 育成すべき資質・能力の三つの柱(下記【 】内)に対応して各教科等の目標が整理された。観点別学習状況評価の観点もその三つの柱と対応し、全ての教科等で3観点となった。従来のものよりも構造的で分かりやすくなっている一方、後述のとおり、「学びに向かう力、人間性等」の評価については2重構造となっており、留意しなければならない。

【知識及び技能】⇒〔知識・技能〕
 各教科等における個別の知識及び技能の習得状況について評価するとともに、それらを既有の知識及び技能と関連付けたり、活用したりする中で他の学習や生活の場面でも活用できる程度に概念等として理解したり、技能として習得したりしているかについて評価する。

【思考力・判断力・表現力等】⇒〔思考・判断・表現〕
 各教科等の知識及び技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等を身に付けているかどうかを評価する。

【学びに向かう力、人間性等】⇒〔主体的に学習に取り組む態度〕
 【学びに向かう力】に対応した観点であり、二つの側面から評価することになる。一つは、知識及び技能を習得したり、思考力・判断力・表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとする側面。もう一つは、自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなどの自らの学習を調整しながら学ぼうとしているかといった意思的な側面である。二つの側面は相互に関わっており、自分の学習を調整しようとしない状態では粘り強さは見られず、粘り強さがなければ自らの学習を調整することはできない。

 なお、【学びに向かう力、人間性等】における【人間性】に当たる「感性や思いやり」などの評価については、個人内評価によって見取っていくことになる。したがって、評価規準などは示されず、教師による日々の記録が不可欠である。

観点別学習状況評価の方法と留意点

 資質・能力のバランスのとれた学習評価を実現するためには、結果のみを評価するのではなく、学習の過程の評価を重視する必要がある。それは指導と評価の一体化の実現と重なるものである。多面的・多角的な評価によって、子供たちの成長やよさを見取り、実効性のある学習評価にしていきたい。

〔知識・技能〕
 事実的な知識を問う問題、概念的理解を問う問題は、従来のペーパーテストで対応することになるが、学習内容によって二つの問題のバランスを考える必要がある。さらに、知識や技能を活用する場面を設定し、教科の特性に応じて多様な方法でその活用状況を評価していく。

〔思考・判断・表現〕
 ペーパーテストによる方法以外にも、ワークシートの記述や発言内容、友達との話し合いの様子、多様な表現方法を取り入れるなどにより評価していく必要がある。また、学習の成果としての作品を集めたポートフォリオを活用した評価も有効である。

〔主体的に学習に取り組む態度〕
 学習への取組み姿勢を評価するには、ノートやワークシートの記述や発言、教師による行動観察、子供たちの自己評価の見取りなどが考えられる。特に、この観点での評価は、「知識・技能」「思考・判断・表現」の状況を踏まえて評価する必要がある。また、前述のとおり、この観点では「自らの学習を調整しようとする側面」と「粘り強い取組を行おうとする側面」で評価していくことになり、授業改善によって2つの側面が明らかになるような場を設定する必要がある。例えば、自らの理解の状況や学習への取組み状況を振り返ることができるような発問やワークシート、友達との話し合いなどを通して自分の考えを相対化する場面などを作っていくことが考えられる。

学習評価を充実させるために

 学習評価は子供たちの評定にもつながるものであり、その妥当性や信頼性が求められる。その精度を高めていくためにも、学校として評価規準や評価方法を明確にすることはもとより、事例研究によって評価についての様々な課題を共有することを通して教員一人一人の力量形成を図っていかなければならない。さらに学習評価は、指導要録によって連続性のあるものとなることから、学校全体で一貫した方針の下に全ての教員が学習評価に取り組むことが重要であり、校長として学校経営計画にその方針を明確に示していく必要がある。

 

●KEYWORD
自己調整学習 個人内評価 指導と評価の一体化 ポートフォリオ評価 指導要録

 

Profile
喜名朝博 きな・ともひろ
現・江東区立明治小学校統括校長。東京都公立小学校教諭、東京学芸大学附属大泉小学校教諭、町田市教育委員会指導主事、台東区教育委員会統括指導主事、中野区教育委員会指導室長を務めた後、江東区立枝川小学校、江東区立豊洲北小学校で校長・統括校長を務め現職。現在、東京都公立小学校長会会長、全国連合小学校長会会長。中央教育審議会教育課程部会・教員養成部会委員。

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