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解決!ライブラちゃんのこれって常識?学校のあれこれ

ライブラリ編集部

解決!ライブラちゃんのこれって常識? 学校のあれこれ 「単」と「元」が合わさるとどうして「ひとまとまり」になるの?[後編]

NEWトピック教育課題

2019.11.20

解決!ライブラちゃんの
これって常識? 学校のあれこれ

「単」と「元」が合わさるとどうして「ひとまとまり」になるの?[後編]

『学校教育・実践ライブラリ』Vol.5 2019年9月

「単」って一つのこと。「元」は元素とかおおもととかのこと。どちらも小さいのに「単元」となるとひとまとまりって、どういうこと? ライブラちゃんは、そんな疑問をもって、宮城教育大学で教育実践史を研究されている吉村敏之先生を訪ねました。前回は、単元がどうやって日本に入ってきたか、どのように扱われてきたかについて学びました。今回は、単元学習を生み出した大村はま先生の実践に触れながら、単元の神髄についていろいろお話を伺うことになりました。「『単』と『元』」で『単元』?」というライブラちゃんの疑問は解き明かされるのでしょうか。

国語教育一筋77年、大村はま先生

 単元学習といえば、大村はま先生(故人)が思い浮かぶ方も多いかと思います。戦後の焼け野原で教材や文具にも事欠いていた時代に、生活に関連付けた言語活動を単元としてまとめ上げた伝説の国語教師ですね。

 今回は、大村はま先生が創り出した単元学習の一端をみながら、改めて単元について考えてみたいと思います。

 大村はま先生の考える単元とは、読書生活そのものに子供をのめり込ませて生活のレベルを上げていく試みでした。大村先生はその著書で、「人からみる単元学習は、自分からみれば言語活動の指導」と言っています。言語生活を豊かにするための言語活動、それが大村先生の目指した国語教育と言っていいでしょう。もちろんこれは、よく教師が陥りがちな“活動”中心の授業ではなく、あくまで言語能力を育てることが目指されたというところに着目したいと思います。

 ここで、大村はま氏の略歴に触れておきましょう(編集部)。

◆大村はま先生のプロフィール
明治39(1906)年生まれ。横浜市出身。昭和3(1928)年に東京女子大を卒業。長野県諏訪高等女学校に国語教師として赴任。後に東京府立第八高等女学校へ。戦後、新制中学校の発足とともに自ら希望して江東区立深川第一中学校に転任。苦闘の中から“大村単元学習”が生まれる。昭和55年、20年間勤めた大田区立石川台中学校を最後に退職。この間、東京都教育功労賞、ペスタロッチー賞(現・ペスタロッチー教育賞)を受賞、勲五等瑞宝章を受章。定年退職後に「大村はま 国語教室の会」を主宰。日本の国語教育の向上に努める。平成17(2005)年没。著書に『大村はま国語教室』(全16巻)『教えるということ』『授業を創る』『心のパン屋さん』など多数。

大村はま単元学習の神髄は言語生活の充実

 大村先生が取り組んだ単元学習の第1号は広告の言語表現の比較というものでした。

 子供向け雑誌に掲載された鉛筆の広告を比較検討するというものです。

 〈M社〉
 60年の歴史と最新の技術が保証するマーク

 〈K社〉
 世界を雄飛しよう 日本の鉛筆

 〈Y社〉
 いくらでも早くすべる―まったく気持ちのよい鉛筆

 〈E社〉
 王者の貫禄

 これらを比較してどれが易しく、心に響くかといったことを話し合ったり考えたりするのです。戦後間もないころにこのような実践が行われていたというのは驚異です。生徒たちは授業に夢中になったといいます。

 教師が教科書以外からも適切な教材を選んでくれば子供は授業に夢中になるわけですね。

 さらには、いくつかの福沢諭吉の伝記を批判的に読み比べるという単元も開発されました。

 子供がどんな文化に触れているかを見極め、生活に立脚した教材によって、言語生活を豊かにするというのが大村はま単元学習の神髄と言えるでしょう。

 この「大村はま単元学習」は、実は後から名付けられたものです。すでに有名になっていた大村先生の授業を見た国語教育の大家・倉澤栄吉氏が命名したと伝えられています。大村先生は、敗戦後の苦難の中で生きる子供たちを、言語生活を豊かにすることによって育てていこうと単元学習を進めたのです。言語能力を培うために生涯を通じて教材を探し、授業を創っていきました。子供の生活に立脚し、どのような力を身に付けさせたいかを考えることから単元は開発されていったのです。新学習指導要領で単元が注目されていますが、そのことを改めて確認しておくべきだと思います。

――ところで、「単」と「元」の話は?

 よくは分かりませんね。明治以降、多くの和訳が作られましたがその一環だったと思われます。そもそも「単」と「元」を合わせて「単元」かという疑問が妥当ではないという人もいます。

 それよりも、優れた実践には、教師の強い思いがあるということを単元を通して知ってもらいたいと思いますね。

 

Profile
吉村敏之 先生
1964年生。東京大学大学院単位取得退学。宮城教育大学教職大学院・教員キャリア研究機構教授。日本の教師の実践史を踏まえ、「深い学び」が成立する授業の原理と方法を研究。編著に『教師として生きるということ』など。

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