ミドルリーダーが創るこれからの学校
ミドルリーダーが創るこれからの学校 第10回 チームマネジメントの基本
トピック教育課題
2019.07.22
リーダーシップの要諦
スクールリーダーもまた、上記の「構造づくり」と「配慮」という二つの軸を意識してリーダー行動を取ることが求められる。古川久敬によれば、前者は①チームの課題を見極めること、②チームの状況や対外関係(リンケージ)を動態的につかむこと(「基軸づくり」と表記)として展開され、後者は③周りの人をその気にさせること、④コミュニケーションをよくとること、として展開されている。
まず、チームの課題について、チームが置かれている状況や環境との関係においてしっかり把握することが、基軸づくりのスタートであり、またゴールであると強調する。そして、チームの課題を文章にして明文化することが大事であるとする。
次に、チームの課題を安定実現の課題と、次の創造や変革の課題とに峻別する。さらに、実現すべき課題の優先順位をつける。また、各メンバーに対する具体的期待を整理し、組織の内外の連携協力の取り方を整理する。これは、スクールリーダーが基軸づくりに取り組む第一歩となる。
さて、学年・学級づくり、教科経営、分掌運営を考えると、チームの課題をどのように設定するか、課題をメンバーが内面化するためにはどうすべきか、組織の安定性と変革性の両面から具体的に検討していくことが求められる。
Profile
大阪教育大学連合教職大学院教授
大脇康弘
おおわき・やすひろ 教育経営学・教師教育学専攻。大学・教育委員会の連携事業としてスクールリーダー・フォーラム事業を組織し、日本教育経営学会実践研究賞を受賞。『学校をエンパワーメントする評価』『「東アジア的教師」の今』『学校を変える授業を創る』など。